映画監督が推薦する「後味が悪すぎる究極の映画30本」から選んで鑑賞会を開いてみた
今回呼んだのはたかや(@tky888tky)さん、シュゴウ(@shugou17)さん。編集部はふ凡社、K松、そしてわたし(紫蘇)の5名。
宮岡さんには話を伺った時「編集部で鑑賞会を開きたい」とお伝えしており、複数で観るのにオススメの作品も聞いた。それがこちら。
『縞模様のパジャマの少年』『ミスト』『レクイエム・フォー・ドリーム』『ファニーゲーム』『隣人は静かに笑う』あたりはみんなで観ても、謎の盛り上がりを見せるかもしれません。
とのことなので、今回観る作品は
- 宮岡さんのオススメ作品から1本
- その他から1本(ただし参加メンバーが全員、未見のもの)
をくじ引きで決めることにした。
決定~
引いたのは、宮岡さんの推薦作からは『レクイエム・フォー・ドリーム』、その他からは『愚行録』。洋画・邦画と揃い、嘘みたいにバランスよくなった。
なお、鑑賞会にあたっては、
- 上映中の声出しOK
- 観ていて途中で気分が悪くなったら離脱OK
という緩やかなルールを設けた。
『レクイエム・フォー・ドリーム』鑑賞開始
4人の登場人物が薬物に依存し、何とか生活を保とうとするが、手に負えない状況に陥り悲惨な結末を迎える。
あらすじに「薬物に依存」という言葉が入っている時点で確かに鎮魂歌が必要そうだ。宮岡さんのレビューはこちら。
第4位
「レクイエムフォードリーム」(2000年)
覚醒剤に溺れ破滅してゆく4人の人間の姿...その極限の恐怖と後味の悪さを味わえる唯一無二の傑作スリラー。鬼才、D・アロノフスキーの凄まじい映像演出と、豪華俳優陣の壮絶な怪演が完全融合。薬物の恐ろしさを神業的な手法で表現した超絶鬱映画 https://t.co/kLzkbuairR https://t.co/8NkRUzHVdb
— 90本後に究極の90分映画 (@kyofu_movie) 2023年5月6日
〜定点観測的に3人の様子をとらえた画像を貼っていきます〜
序盤
開始30分くらい。主人公の男性と恋人とのエロいシーンに湧く。でもまだ心の余裕は皆あった。
中盤
さっきまでワイワイ言ってたのに、だんだんと口数が減り表情が曇り始める。
終了
感想(微ネタバレあり)
一言ずつ感想を述べてもらった。内容はややネタバレありなので、作品未視聴で気になる方は注意して欲しい。
たかや「うちの母もネットに疎いので大丈夫かな…母に痩せたでしょ、って言われたら…母親と恋人がこんな目に合ったら辛すぎる…。」
シュゴウ「こいつのせいだ、ってやつがいない…終始、ジメジメとした感じが続く映画だった…」
一言でいうと誰もが『クスリダメ、絶対』という感想を持つ内容で、クスリなどとは縁遠いと思っているはずなのだが、なぜかこの作品は「もし自分の親が、友人が…」と身近な人が陥ってしまった場合を想像させる恐さがあった。
『愚行録』視聴開始
次は『愚行録』。
エリートサラリーマン家庭であった田向一家惨殺事件から1年経ち、事件は犯人が見つからないまま迷宮入りしていた。その時、ある記者が、田向夫妻の同僚や学生時代の同級生、元恋人などに、夫妻との思い出や人柄についてインタビューして回る。すると、一見理想的な夫婦と思われた二人の本性が現れてくる。
個人的に好きな満島ひかりに期待大。ストーリーがやばそうな分、満島ひかりなら絶対やってくれると信じられる。宮岡さんのレビューはこちら。
第30位
「愚行録」(2017年)
king of 胸糞邦画。嫌な気分になる映画は数あれど、ここまでリアルに、人間の愚かさと生々しさを描ききった映画はなかなかない。一家惨殺事件の謎を追う迫真のシナリオ。上手い人しかいないキャスト陣の圧倒的演技力。そしてラストのバスのシーンの凄味...隠れた傑作 https://t.co/zF9ziB8jU6
— 90本後に究極の90分映画 (@kyofu_movie) 2023年4月24日
〜ふたたび定点観測的に3人の様子をとらえた画像を貼っていきます〜
序盤
中盤
終了
感想(微ネタバレあり)
再び感想タイムへ。繰り返しになるが、作品未視聴で気になる方は注意して欲しい。
シュゴウ「見てる間にザラザラしてくる…さっきの『レクイエム~』とは別の種類の衝撃でした」
たかや「俺はこんなキラキラした大学生活は知らない」
紫蘇「陽キャだと命を脅かされるんですね、陰キャで良かった(そうではない)」
いろんな角度でお互いの胸中をざわつかせたようだ。細かく書くと本作のネタバレになってしまうので避けるが、物語が進むにつれて、じわじわと点と線がつながっていく。オチを知ると確かに救いようがない。後味が悪い。
2本を無事観終えたので「後味が悪かった度」を5段階評価でつけてもらった。作品としての評価とは別に、自分がどれだけ後味悪く感じたかの度合いだ。
たかやさん、シュゴウさんは2作品のうち、どちらかというと『レクイエム・フォー・ドリーム』に対する衝撃が強かったようだ。
後味が悪いことをわかっていても観たくなる映画リスト
ふ凡社はこう言った。
「後味が悪いと言っても『後味の悪さを感じるポイント』は映画によってさまざまなグラデーション、バリエーションがあるんだなと知りました。今回観た作品はもう2度と観たくないですが、不思議と『他の後味悪いやつは引き続き開拓してみたい』と感じる魔性の魅力がありましたね…」
そう、まさに「魔性の魅力」とはその通りで、今回観た2作品とも、映画館で観ていたとしてもある意味満足できただろうと思えるほど映画作品としては上質だったし、この調子で「後味の悪い映画30本」を全部制覇したくなった。
そして、こうして上映中や終わったあとも無制限に感想を言いあえる鑑賞会はとても楽しかった、というのが全員共通の感想だ。特にこの手の映画はどうしてもいろいろとツッコミや感想を言いたくなるので、映画館で観る時以上に爽快感が生まれるのかもしれない。皆さんもぜひやってみて欲しい。