着物作家の父とデザインを考えた「イカ模様の振袖」で成人式を迎える女性に制作エピソードを聞いてみた
成人式の前撮りで振袖を着た画像と共に投稿された「着物は父と一緒にデザイン考えて父に作ってもらいました」というツイートが話題だ。美しい振袖の柄にはなんと、大量の「イカ」があしらわれている。
成人式の前撮りでイカの振袖着ました!🦑
着物は父と一緒にデザイン考えて父に作ってもらいました
自分で作ったイカのぬいぐるみとイカモチーフのネイルとイカの半衿の刺繍と共に〜!!
イカに囲まれて幸せ、、、 https://t.co/WOQ9Hi3fd8
— ぴぴんいか (@_ika__squid) 2023年6月24日
投稿者のぴぴんいか(@_ika__squid)さんは、成人式を迎えるに当たり東京手描友禅の作家であるお父様に、大好きな「イカ」の模様の振袖制作を依頼。
親子で一緒にデザインを考案して作られた振袖には、優雅に泳ぐ美しいイカの群れが描かれている。
成人式の前撮りでは、お父様が作った振袖の模様をはじめ、ぴぴんいかさんのお手製ぬいぐるみ、半襟、ネイルもすべてデザインはイカという徹底ぶり。
写真を見たTwitterユーザーからは「すてきです! イカしてますね」「お父さん着物作れるのすごい!」「後ろ姿からルンルンさが伝わってきます」などイカした振袖姿を称賛する声が寄せられている。
ぴぴんいかさんにお父様が制作した振袖のことや、自作したイカの小物などについて詳しく話を聞いた。
父「人生でこれ以上イカを描くことはないな」
「イカの振袖を作りたい」と伝えた時のお父様の反応はどうでしたか?
驚いていたけど、十三参りの時も宇宙をモチーフにした柄の着物を染めてくれたので、珍しいモチーフでもなんとか着物にしてくれるだろうと思いました。
振袖の制作期間とエピソードを教えてください。
制作には1年半ほどかかりました。
モチーフをユニークにした一方で、着物としてしっかりとした「格」を持たせるのが大変でした。
最初はイカが横に流れるようなデザインでしたが、成人式なのでより華やかさを増すために縦向きの流れのデザインに変更しました。
本物と同じ大きさの紙でデザインの下描きを描き直ししてもらったせいか、「人生でこれ以上イカを描くことはないな」と父が言っていました(笑)。
八掛や振りの柄は、自分の描いた絵をそのまま使ってもらえたのが嬉しかったです。
「イカ」を好きになったきっかけは?
これといったきっかけがあるわけではないのですが、小学校の頃には美術や図工の授業でイカをモチーフに作品を作っていました。
ダイオウイカの撮影に成功した時のニュースをテレビなどで見たのもきっかけの1つかと思っています。
今回制作した中で特にお気に入りの「イカ」はありますか?
特に思い入れがあるのは、半衿にほどこしたイカの刺繍です。
日本刺繍は初めてだったため、デザインや縫い方などを先生と相談しながら、1年ほどかけて制作しました。
半衿の全体像! https://t.co/W6vl1Zf8OR https://t.co/GwbQoZwSIU
— ぴぴんいか (@_ika__squid) 2023年6月24日
東京手描友禅の伝統工芸士であるお父様のInstagramによると、手描きしたイカは全部で「319匹」という驚異的な数だったそう。
時間をかけて準備し、大好きな「イカ」のデザインを作り上げていったぴぴんいかさんと振袖を制作したお父様。ここまで時間をかけてでも完成することができたのは、深い絆があったからこそだろう。
親子の合作でもある唯一無二の振袖を着て、成人式を迎えるぴぴんいかさんの門出を心からお祝いしたい。