暗証番号で開く手作りの「鍵のからくり箱」がすごい!制作者に聞いてみたら、意外とシンプルな仕組みだった
「鍵のからくり箱」を自作した人の投稿がTwitterで注目を集めている。
とてもシンプルに作れる鍵の仕組み。スライダーが特定の動きをすることで箱が開きます。 https://t.co/Mp9pFTMsDj
— 池田洋介 (@ikeikey) 2023年7月11日
投稿主は、パフォーマー、数学講師、クリエイターと多分野で活動している池田洋介(@ikeikey)さん。
動画には、数字の目盛りと可動式のつまみがついた箱が。箱の側面には引き出しがついているようだ。
つまみは左右に動かせるが、ランダムに動かしても引き出しがロックされていて開かない。
次に池田さんが取りだしたのは「0735」と書かれたメモ。書かれた数字にしたがって、つまみの取っ手が、各数字の位置に来るよう順番にスライドさせると…
びくともしなかった引き出しが開いた!金庫のダイヤル錠のように番号の組み合わせと順番で開くようだ。かなり複雑に見えるが、池田さんは「とてもシンプルに作れる鍵の仕組み」とのこと。引き出し内部の中央に、デコボコの仕切りが設けられている点にもヒントがありそうだ。
内部の仕組みは、動画の続きで明かされる。箱の上蓋を開けると、箱の中にはつまみと連動して動く4枚のスライダーが設けられていることが分かる。4枚のスライダーを特定の順番に動かして位置を調整すると、引き出し内部の仕切りがひっかからずに動かせる空間が生まれ、開錠する作りになっている。逆に、間違った順番で動かしても4枚のスライダーが引っかかってロックされてしまうわけだ。
なるほど、仕組みを知ると「シンプル」だというのもうなずける。
池田さんが作った鍵の仕組みに、Twitterユーザーからは「これは面白い」「脱出ゲームに欲しい」といった声のほか「アナログダイヤル式の金庫鍵も突き詰めると同じ原理」など、仕組みを考察する意見も寄せられた。
池田さんが鍵のからくり箱を作った経緯を聞いてみた。
金庫の回転ダイヤル鍵から思いついたアイデア
今回の仕組みを思いついたきっかけはなんでしょうか?
特定の操作をすることで開く「からくり箱」に興味があり、自分なりに作ってみようと試行錯誤していました。そんなとき金庫の鍵に使われる回転ダイヤル鍵を知り、仕組みの単純さに驚きました。
「この仕組みをなんとか平面に落とし込めないだろうか」と考えてできたのが今回の機構です。
工作の流れを教えてください。
手前のスライダーを左右に動かすことで4枚のスライダーの位置が奥から順に決定されていくのが構造の肝になっています。そのため、まずは「スライダーがどのような形状であればいいのか」を紙に書いて厳密に計算しました。
次に考えたのが、4枚のスライダーが特定の配置になったときに引き出しが開く仕組みです。スライダーの下側にスリット(切れ込み)の入った板がついていて、そのスリットが一列に並んだときだけ引き出しが動く仕組みになっています。これらの構造を考えるなかで、各部品の形状が自ずと決まっていきました。
部品を平面の板から切り出すための設計図を書いたら、実際に作っていきます。パソコンのイラストソフトでデータを作成し、板をレーザーカッターで切り抜き、木工用ボンドで組み立てました。
製作にはどれぐらいの時間がかかりましたか?
設計に4時間、板を切るのに1時間、組み立てに15分ほどかかりました。
普段ならここから先に細かな調整ややり直しが必要なのですが、今回はほぼやり直しなく一発で動きました。頭の中でイメージしたものが、自分の思い描いた通りに動く瞬間はいつも感動します。
池田さんはこの仕組みのデメリットのひとつに「暗証番号の制約」があるとも話している。その「制約」についても聞いてみた。
@nishinojunji ですね。ダイヤルに比べて利点は実装が簡単なところ、欠点は暗証番号の並びに制約がつくことでしょうか。
— 池田洋介 (@ikeikey) 2023年7月12日
暗証番号の制約について詳しく教えてください。
金庫の回転鍵は暗証番号をどんな数字の列にすることも可能なのですが、今回の仕組みでは選べる数字の並びに制約があります。例えば、
・必ず「0」か「9」からスタートする
・数字が「増える」「減る」を繰り返す並びにするなどの原理上の縛りがどうしてもついてしまうのです。
とはいえ番号の組み合わせは100以上あり、簡単に開けられるわけでもありません。ちょっとした秘密箱にしたり、謎解きイベントに使ったりと、実用性は高いのではないでしょうか。何よりすばらしいのは簡単に作成できるという点です。
スマホの認証でおなじみのアレを機械的に実現してみた https://t.co/Wlcrjw7dJd
— 池田洋介 (@ikeikey) 2023年7月18日
池田さんは今回の鍵以外にもさまざまな自作からくりを、自身のTwitterアカウントで公開している。わかりやすく解説までしてくれているので、興味がわいた人はぜひフォローしてみては。