タンカー船では争奪戦になることも!?「バナナ箱」が重宝されるワケを海運会社に聞いた
海外からバナナを輸入する際に使われる、通称「バナナ箱」に大量の食品が詰められている動画が投稿され、Twitter(X)で話題になっている。
バナナが大好きな訳ではありません。タンカー船のバナナ箱。同じ大きさで重さにも強い。箱が上下に分割できてテープいらず。買い出しには欠かせない重要アイテム。スーパーでは他船と争奪戦。ヒモで縛って捨てずに何度も使います。それでも箱が足りない時はバナナごと買うこともあるとか無いとか…。 https://t.co/laAmcVnZHS
— 東幸海運🚢✨タンカーの船会社 (@tokokaiun) 2023年8月6日
動画を投稿したのは、タンカー船を運行する船会社の「東幸海運(@tokokaiun)」さん。この動画の一つ前の投稿では、食品で満杯のスーパーのカゴが合計6個も映されていた。
後ろに並ぶと大変です。タンカー船の食料の買い出し。これでだいたい3日分。スーパーに買い出しに行く事が多いです。1隻のタンカーの11〜14人分のごはんを作ってくれるのが司厨長さん。船舶料理士という資格が必要なのです。レシートは縄跳びできる長さになることもあります。 https://t.co/NXCxsoKe7l
— 東幸海運🚢✨タンカーの船会社 (@tokokaiun) 2023年8月5日
この大量の食品は、原油や液体を海外から運ぶタンカー船の乗員さんの食事用の材料で、1日3食のおよそ3日分に相当するそう。1隻あたりだいたい11人から14人ほどの乗員さんがいるため、1回分の買い物だけでレシートが「縄跳びできるほどの長さになる」こともあるというから、驚きだ。
東幸海運さんいわく、このバナナの箱には「同じ大きさでも重さに強い」「箱が上下に分割できてテープいらず」といった特長があり、買い出し先のスーパーでは他の船会社と争奪戦になるほど人気のアイテムのよう。
動画を見たユーザーからは「昔から変わらずスーパーに行くと必ずあるから、買い出しに必要な箱ですね」「このバナナ箱にガンガン詰めてらっしゃるのが気持ちよくて大好きなんで、(買い出しの光景に)出会うとボーっと見ています」といったコメントが寄せられた。
海運業界における「バナナ箱」の歴史や箱の耐用回数について、詳しく話を聞いた。
少なくとも6~7回は使いまわせる
買い出しの食料詰めにバナナの箱を使う習慣は、いつ頃生まれたのでしょうか?
社内で確認したところ、20~30年前にはすでに当たり前に使われていて、それ以降ずっと使用され続けているようです。当社の船だけでなく、どの船でもよく使用していると思います。
バナナの箱はどれくらい使いまわせるのでしょうか?
箱の傷み具合は、積んだときの中身の重さや水が出るかどうかにもよるのですが、少なくとも6~7回は使用し、劣化が見られたら交換しています。
ほかにもタンカー船で活躍している「市井のアイテム」はありますか?
・ビールケース(プラスチック製のもの。作業するときの土台などに使用)
・ストッキング(エアコンなどの空調ダクトの丸い吹き出し口から、ホコリが飛ばないようにかぶせる)
・家庭用の台所洗剤(タンカーの配管の漏れを確認するリークテスト用。配管に油を通す前に洗剤を塗ってから空気を張り込み、漏れているとシャボン玉のような泡が出るので気づくことができる)
などです。
20~30年前から形を変えることなく、使い続けられてきたという「バナナ箱」。それだけ当時から機能的で、丈夫な箱であったということだろう。
もしスーパーで大量の買い物をしたときは、段ボール置き場でこの箱を探してみるといいかもしれない。