2023年9月25日に京都市の安井金比羅宮で開催された「櫛(くし)まつり」。このイベントに参加した男性が、自身の画像をX(Twitter)に投稿し話題になっている。
撮って頂いた写真なんだけど、これが私的に面白い。
唯一?の男性として参加させて頂きました。
女性だけの祭なのに良いのかなぁ?と不安でしたが、暖かく迎えられ、感無量。
ありがとうございました。
#櫛まつり https://t.co/nhsUg3G0PP
— 森本勇矢@家紋の人 (@devilark666) 2023年9月25日
安井金比羅宮の櫛まつりは、女性の髪を美しく飾る櫛に感謝し、日頃使って古くなった櫛やかんざしを供養する祭り。
供養したあとは、女性モデルたちが古墳・奈良時代から大正時代・現代舞妓など、各時代の髪型・衣装をまとい祇園界隈を練り歩く、大変華やかな催しがある。
その時代風俗行列に、「唯一?の男性として」と古墳時代の装束で参加した男性モデルが、画像に写る家紋研究家・森本勇矢(@devilark666)さんだ。
髪を頭の中央から左右に分け、先を輪にして緒で結んだ角髪(みづら)と呼ばれる髪型で、堂々と先頭を歩いている。
「あたたかく迎えられ、感無量」とコメントしている森本さん。なぜ櫛まつりにモデルとして参加することになったのか? 詳しい話を聞いた。
私服でみづら https://t.co/vg44KuieSy
— 森本勇矢@家紋の人 (@devilark666) 2023年9月25日
角髪を結った自分の姿を見て「期待に添えそう」
櫛まつりに角髪のモデルとして参加することになった経緯は?
「せっかく髪が長いから、一度ネタとして自髪で日本髪をやってみたい」というような話を友人としていた時に「角髪が似合うと思いますよ(笑)」 と言われ、面白そうだなと思いました。
すると、話をしていたうちの一人が、共通の知り合いで髪結い師の琴音(@cotocotton_)さんに、角髪を結えるか聞いてくれました。後日連絡がきた際、櫛まつりに角髪の枠があるからとモデル依頼していただいたんです。
現代で角髪を結ってもらう機会を経験する人は圧倒的に少ないだろうとワクワクの気持ちが大きかったし、想像すると「絶対笑える」と思い、了承しました。
ただ、当日の体調や暑さが心配でしたし、「女性のお祭り」なのに男性の私が参加しても本当に良いのか? という点は気になってました。
当日、角髪を結い当時の衣装を着た自身の姿を見てどうでしたか?
想像通り「面白かった」です。
普段からエスニック系のファッションなので、多分違和感はないと思ったし、周りの人も「絶対にハマり役」と言ってくれたので、「期待に添えそう」と。
髪を結ってもらっている時、「実際、当時の角髪はどのようなもので、どのように結ってたのか?」を考えました。
当時の結い方は物証として残っていないそうで、埴輪(はにわ)や絵などから「想像の結い方」を再現しているのだと本職の琴音さんから聞き、感慨深かったです。
私は家紋研究家という特殊な事をしていますが、家紋だけでなく日本文化、特に古代文化に興味があります。現代に残っているソースが少なすぎて想像するしかない事柄は、やはりロマンです。
そのひとかけに触れているかも? と考えるのは楽しかったです。 衣装も、当時の物は今着るこの衣装とどう違いがあるんだろう? と探究心が湧きました。
男性モデルとして街を練り歩いたご気分はいかがでしたか?
行事が始まり、ますます男性である自分が「ここ」にいる違和感がすごかったです。運営や関係者がOKでも、櫛まつりファンはどう思うだろう? とも考えました。
ですので、余計に失敗はできないと気丈に振るまうよう努力し、なるべく楽しもうと歩きました。
見物客が特に注目していたのは、きらびやかで「日本」のイメージに一番近い、平安時代以降の女性たちであるような印象でした。インバウンドの方々もかなり多かったですから、なおさらかもしれません。
とはいえ、たくさんお声がけいただいたり、写真を撮ってもえたりもしました。 投稿した写真は角髪を提案してくれた友人が撮ったものです。その子に挨拶をした瞬間が、たまたまあのような感じで撮れたんだろうなぁと思います。
終わってから、関係者の方々からすごく褒めていただいて、受け入れられて、凄く嬉しかったです。参加して良かった、そう思えました。
男性モデルとして、時代風俗行列の先頭を務め上げた森本さん。
関係者からの賞賛もうなずける、違和感のない素晴らしい着こなしであった。