「発車の音が聞こえる…」京浜東北線をイメージして作ったカクテルが素敵!バーテンダーに話を聞いた

深くて濃い推しカクテルの世界
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あるものをイメージして作られた「推しカクテル」がX(Twitter)で注目を集め、3.6万いいねの大反響を呼んでいる。「あるもの」とはなんと「京浜東北線」。

「京浜東北線」をイメージしたカクテル。炭酸を使ったノンアルコールカクテルだそう

「推しカクテル」とは主に好きなアニメのキャラクターやアイドルなどをイメージして作ったカクテルのことだが、電車というのはあまりにも珍しい。

カクテルを作ったのは、東京・神楽坂のバー「Bar Pálinka」のぱーりんか(@BarPalinka)さん。本来はハンガリーの蒸留酒「パーリンカ」を専門に扱うオーセンティックバーだが、今回は余興として、お客として訪れたくろっしぃ(@a002102)さんの注文に応え「京浜東北線の推しカクテル」作りにチャレンジしたという。

とはいえ、京浜東北線というオーダーを受けた時は「思わず復唱してしまった」というぱーりんかさん。推しキャラや推し楽曲のイメージカクテルをオーダーされることは多くあったものの、さすがに「電車」は初めてだったそうだ。

こちらが実際のJR京浜東北線を走る車両(画像:写真AC)

実際の京浜東北線の車両と見比べてみると、雰囲気をよくつかんでいるのがわかる。注文したくろっしぃさんが「発車のチャイムが聞こえる!!!!!!」と興奮気味に語るのも納得だ。

ぱーりんかさんは、推しカクテルを作る際「推しに関する要素を複数取り入れたい」「なぜこの材料を使用したのか、明確な理由を持たせたい」といったこだわりを持っているという。だからこそ、このクオリティが成立したのだろう。

投稿を見たX(Twitter)ユーザーからは「電車がいけるならなんでもいけますやん」「ガチでオシャレ!」といった声が寄せられた。中には「あの路線でも作ってほしい!」という電車好きからの熱いコメントも。

今回はカクテルを作ったぱーりんかさんから「推しカクテル」について話を聞いてみた。

※ぱーりんかさんによる、バーのお客様に関するお話はすべて、事前にお客様の同意を取れたエピソードのみとのこと。

「推しカクテル」で推しをより身近に感じられる

京浜東北線のカクテルでこだわったポイントは?

こだわったポイントは、まず青色の濃さです。シェイクしたものをグラスに注いだ時点では「ちょっと青色が濃いのでは?」と思わせ、炭酸を注いだ段階で「京浜東北線の色合いだ!」と、二段構えで感動がある演出を心がけました。

また、京浜東北線の10両編成に合わせてグラスの氷を10個に調整したのもこだわりポイントです。お客様からいろいろな情報を聞き出し、咄嗟に思いついたのが氷の個数でした。

グラスにもこだわり、当店に数あるグラスの中から一番『京浜東北線っぽいグラス』を選ばせていただきました。もう生産中止してしまったバカラのネプチューンというタンブラーです。角張ったデザインで縦長なので「これしかない」と思い、選ばせていただきました。

印象に残っているユニークなカクテルの注文があれば教えてください

過去に「とあるアニメのキャラクターをイメージしたカクテルをお願いしたい」とSNSのDMで事前注文が入ったことがありました。キャラクターについて聞いてみるとものすごい量の情報、そして愛情を長文で送っていただきました。

「これには全力で応えねば!」と、そのアニメを見ることにしました。オーダーをいただいた推しキャラは2名いたのですが、そのうちの1名が120話くらいで登場するキャラだったのです。あのお客様は推しカクテルを注文し、アニメを見てもらうことで自然と布教を完了させる策士でした。

最終的には納得いく形で完成させることができ、お客様にも大変満足いただけました。コロナ禍による営業時間短縮などで時間があったからこそできたと思います。

「SNSのDMで注文」→「アニメの布教」という、カクテルのオーダーとは思えない工程が非常にユニークで印象に残っております。

推しカクテルの魅力について、自分なりのお考えをお聞かせください

自分自身も推している声優さんの楽曲をイメージしたカクテルを作成することがありますが、各々の解釈を織り交ぜ、思いを馳せながら飲むことができる、とても素敵な趣味だと思います。これはバーならではの楽しみ方だとも思います。

たとえば映画に登場したカクテルを飲んだり、小説の舞台になった国のお酒を飲んだりといった場合にも同じことが言えます。1杯のグラスを介してその世界に入り込み、“推し”をより身近に感じることができる。

”推し”によって次元を超えてトリップできるわけです。聖地巡礼に近いものがあるのではないでしょうか。その期待を自分のお店で注文していただけたのであれば、全力で応えるのが使命だと思っております。

個人的に推しカクテルとは、映画やドラマのワンシーンで見かける「私をイメージしたカクテルを」の現代版ではないかと思っています。

「推しカクテル」1杯にここまでのこだわりを持つぱーりんかさんは、正真正銘のおもてなしのプロといえるだろう。

くり返しになるが「Bar Pálinka」さんで作られる「推しカクテル」は、あくまで一部のお客さんへの余興とのこと。この記事を見て来店する際は十分なご注意を。

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ハチミツ

副業WEBライター。Twitterで初見実況ばかりやってます。