目一鬼は白蛇を恐れる

リエットさん(@rsr28083)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は尻尾付きとの遭遇のお話? 顛末はどのようになるか。 ぜひお楽しみくださいませ! 続きを読む
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リエット @rsr28083

「………あ!す、すまん浜風!無意識でやっちまったっ!」 自分の行いに気づいた兵頭はぱっと浜風から離れた。 浜風はもちろんだが兵頭もあまりに無意識かつ大胆でナチュラルに行ってしまった自分に動揺した。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:57:59
リエット @rsr28083

「も……もうっ!なんなんですかっ!促すにしても、やりかたがあるでしょうっ!?」 かなり赤面しながら大きな声で非難する浜風に、兵頭は素直に詫びながら心の中で考えた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 22:59:01
リエット @rsr28083

(なんだ…?俺今すごく…浜風にさわりたいっていうか…やましいとかじゃなくて、なんだ…安心するというか…いや、それがやましいって言うんだよオレ!あぁ~!夢遊病みたいなことになってめんどくせぇのにこれ以上おかしなことになってたまるかっ!) #落ちぬい二次

2016-07-15 22:59:34
リエット @rsr28083

と、心の中で己の頬を叩いた兵頭。 それからはいつもの距離感でいることを努めながら浜風と共に鎮守府へ帰るのだった。 その過程で、あのもやがかった空白は、見事に忘却の彼方へ消えていった。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:02:56
リエット @rsr28083

ツー、ツー、ツー、ツー、ツー… 片耳に向かって通話が切れたことを電話機が連呼する。 しかし電話の主は未だその音を聞き、受話器を置こうとしない。 そのまま立ち尽くして数分後、ようやく受話器を置いた。 ガチャ、という固い金属音が暗く湿った空間に反響した。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:04:12
リエット @rsr28083

「まさかの収穫でしたね…長電話はしてみるものです」 紫色の瞳を細め、彼女はそう一人ごちた。 彼女の名は「ヨークタウン」。深海棲艦にして唯一紫色に光る空母ヲ級だ。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:04:43
リエット @rsr28083

深海棲艦の親玉たる女王の傍に仕え、他の深海棲艦を統率する知的な存在にして、艦娘がまだ生まれていない時にアメリカ侵攻を指揮。その際にハワイ近海でアメリカが放った核に焼かれ、生き残った経歴がある。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:05:20
リエット @rsr28083

そして、それが原因であるかは分からないが彼女は他の深海棲艦には無いある能力を持っていた。 たった今、彼女は電話の形をした機械を使って、その力を使っていたところだ。 「なにしてたのー?」 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:06:01
リエット @rsr28083

このような場所で聞くには似つかわしくない朗らかな声が入り口から聞こえ、ヨークタウンはそちらを見やった。 そこには黒いレインコートに大きな尻尾を揺らす少女…深海棲艦の切り札・サウスダコタがニタニタ笑いながら近づいていた。 「サウスダコタ様…また抜け出して…」 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:06:28
リエット @rsr28083

慇懃に言いながらも心底辟易した様子でヨークタウンは言った。 「大丈夫、もう外に出たりしないから…もう女王様の説教聞くのこりごりしてるんだから…」 両手を大げさに広げながらサウスダコタは苦笑してみせる。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:06:49
リエット @rsr28083

「そうは申されましても、しっかり部屋にいて頂かなくては…」 「グロウラーが毎回すぐにでも本を持ってきてくれればあそこに居続けてもいいんだけどねぇ?」 そんなことを言いながらサウスダコタは興味を惹かれて電話に手を伸ばそうとする。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:07:21
リエット @rsr28083

が、ヨークタウンは手でそれを制止、サウスダコタはつまらなそうに少し離れて退屈まぎれに部屋を見歩いた。 控えめにため息を吐くヨークタウン。 と、ここで彼女はあることを思いついた。 多少のリスクはあるだろうが、これなら彼女を部屋にとどめさせることができるだろう。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:07:52
リエット @rsr28083

多少のリスクはあるだろうが、これなら彼女を部屋にとどめさせることができるだろう。 少しの時間思考し、決意を固めてサウスダコタに声をかけた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:08:18
リエット @rsr28083

「サウスダコタ様、貴方様はやはり私たちの英雄…そして敵にとっての死神ですな。私がアメリカで励んでいるときの貴方様の活躍は、私の想像を遥かに超えていました」 「…ん?」 サウスダコタは歩き回るのを止めこちらを見つめ始めた。 ヨークタウンはそのまま続ける。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:08:40
リエット @rsr28083

「艦娘のいなかったあのころ…追い詰められた人間たちは死にもの狂いで私たちに…主に貴方様に挑んだ…無力な砲を撃ち、鈍い艦艇を操り…しかしそれをあざ笑うように貴方様は艤装どころか素手で彼らを磨り潰した…」 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:09:16
リエット @rsr28083

「その場から生き残った方々にとっては…さぞ辛いトラウマとなったでしょうなぁ」 「ヨークタウン…生き残った、って…なに?」 その一点を聞いたサウスダコタは瞳の色を変えヨークタウンに素早く詰め寄った。 あまりの勢いに気圧されつつもヨークタウンは話を進めた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:09:41
リエット @rsr28083

「彼らは不運だ…貴方が分け隔てなく彼らに死を送っていれば、良かったでしょうにねぇ…」 「ねえヨークタウン!分かりやすく言って!ねぇ!」 両の肩を掴まれ、ものすごい勢いで振られる #落ちぬい二次

2016-07-15 23:10:02
リエット @rsr28083

「おおおおおおおおお落ち着いてください分かりました分かりましたからっ!!」 肩を放されるヨークタウン。頭の中身が遠心分離するかと思った。 考えていた事の運び方とだいぶ異なってしまうが、やむ負えない。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:10:34
リエット @rsr28083

「ふぅ…さてサウスダコタ様。私の目を見てくださいませんか?」 「ん?なになに?」 興味津々でサウスダコタはヨークタウンの紫の瞳を見つめる すると、ヨークタウンの瞳が妖しい紫色に光輝き、それを直に見たサウスダコタは呆けた表情になって自分の赤い目に紫の光を写していく #落ちぬい二次

2016-07-15 23:11:15
リエット @rsr28083

しばらくしてヨークタウンの瞳の光が消え、サウスダコタも我に返る。 が、サウスダコタは徐々にその口端を先ほどよりも大きく上に吊り上げていった。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:11:38
リエット @rsr28083

「あの鎮守府……不知火がいた鎮守府だ…!へえっ!そこの提督は、私のせいでっ…!」 「おや、ご存じだったのですか?」 喜びを露わにするサウスダコタにヨークタウンは意外な言葉を聞く。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:11:58
リエット @rsr28083

「あの近くにはよく潜水艦たちを行かせて写真とか撮らせてたんだ!ねえ、ねえヨークタウン!他にもない?他にも!ヒョウドウって人に関してさぁっ!!」 さらなる情報を求め、喜々として迫るサウスダコタ。 だがヨークタウンは右手で彼女を制止し、こう告げた。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:12:17
リエット @rsr28083

「残念ですが今彼やその身の回りで分かることはこれで全てです。しかしこれからは調査の一環として彼らのことは調べ、分かったことは一番に貴方様にお知らせします。その対価として、貴方様には部屋でおとなしくして頂きます。よろしいですね?」 「えー」 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:12:42
リエット @rsr28083

ヨークタウンの言葉にサウスダコタは不満を前面に出した。 しかしヨークタウンは彼女に対し頑としてその姿勢をくずさない。 サウスダコタは物乞いの視線を浴びせかけ続けたが、もはや無駄と理解し「はーい」と生返事をした。 #落ちぬい二次

2016-07-15 23:13:00
リエット @rsr28083

「…わかったら早く教えてね?」 「承知いたしました」 その言葉を最後に、サウスダコタは言われた通りに元の場所へすごすごと帰っていく。 大きな尻尾もやや不満げに揺れていた。 彼女の姿が見えなくなるところまで見送ったヨークタウンは一息つくと、電話に向き受話器を取った #落ちぬい二次

2016-07-15 23:13:20
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