7月の #僕のことを少年とよぶおねえさん 企画まとめ!
先輩にお金を払い、半年間僕のことを少年と呼んでもらっていた。それも今日でおしまい。「明日からまた名前呼びだな」何だかちょっと寂しそうな先輩に、僕はすっとお金を差し出す。「また……少年って呼んで欲しいっス」「少年、金をしまえ。ずっとそう呼んでやる」 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 22:48:09彼女は僕より5つ上のお姉さん。彼女のこんがりと焦げた逞しい背中をずっと追いかけてきた夏休み。31の日、背中を合わせてきた彼女が言った。「少年よ、私はこれからも君のおねえさんでいてもいいだろうか」その背中が小さく見えたのはきっと夕日のせいだろう。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:00:43企画 #僕のことを少年とよぶおねえさん に寄せていま作った曲です 夏休みの夜、先輩の奔放なおねえさんにいつものように急に呼び出されて ふたりで花火をしたって感じの情景を思い浮かべて下さい(お願い) soundcloud.com/shiba-13/c1grx…
2016-07-17 23:01:51「少年」村から出ることを許されないおねえさんは、花火を見に行く僕へ寂しそうに声をかけた。「はなび、どんなものだったかきっと教えてね」僕は頷く。教えてあげる。どんなに綺麗か、どんなにあなたと見たかったか。おねえさんが、水底に沈んでしまう前に。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:11:52派手な銃撃戦を背におねえさんがゲラゲラと笑っている。笑えない。「そういや花火を見たことがないと言ってたなァ、少年?」僕の手を握り、引っ張り起こしながら彼女は続ける。「あれが花火さ!見事なもんだろう!さぁ花火に背を撃たれないうちにズラかろう!」 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:14:38曲について言葉で語っちゃうのって恥ずかしいんだけど語っちゃいます メロディとコード進行はおねえさんの一筋縄でいかない人柄と「僕」の振り回されつつもちょっと期待してしまう気持ちをイメージしてます #僕のことを少年とよぶおねえさん twitter.com/shibacali/stat…
2016-07-17 23:35:21「引っかかってくれててよかったね」川から上がってきたおねえさんは拾った帽子をぼくに渡してくれた。感謝と困惑で上手く言葉が出せないぼくに微笑んでおねえさんはサンダルを自転車のカゴに入れて行ってしまった。風に煽られて流れる長い髪をぼーっと眺めていた #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:43:09かかとを浮かせて屈んでいるおねえさんが一心に見つめているのは線香花火だ。独特のにおいが鼻腔につんと伝わる。どうか、どうか、その視線のひとかけらでも僕にください。「少年?どうした?」僕は頭を振る。口には出せない。線香花火のように儚い恋心なんて。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:45:02#僕のことを少年とよぶおねえさん は働いていない。 煙管を吹かして僕をからかう。 「少年、私は安楽に暮らしたい」「うん」「甲斐性のある旦那を捕まえたい。できればお金持ちが良い」「うん。頑張る」「だが何より義者がよい。おねえさんが窮地になったら助けに来るような」
2016-07-17 23:47:28#僕のことを少年とよぶおねえさん は少し困ったように言う。 「困っているの? おねえさん」「う、うむ。実は政略結婚がな……さて。少年」「うん」「大好きなおねえさんが困っているぞ。ならば君のやるべきことは一つだ。わかるだろう、おねえさんを誘拐しなさい」「うん? ……うーん」
2016-07-17 23:47:49#僕のことを少年とよぶおねえさん は僕を小突く。 「痛い」「黙りなさい。おねえさんに意地悪をする罰である」「僕はお金持ちじゃない」「稼げ」「少年と言われるだけあって、おねえさんのほうが背が高い」「伸びる」「そんな色々足りない僕で良ければ、おねえさんを攫って行く」
2016-07-17 23:48:38#僕のことを少年とよぶおねえさん は獲物が掛かったと邪悪に微笑み、おねえさんを僕は抱え上げる。 「少年、意外と力があるな」「夢だったもの。おねえさんを攫うのは」「ふ、少年、実はわたしは気分がいい」「うん?」「私を抱えられるまでになった少年の成長の実感と、愛の逃避行がさ」
2016-07-17 23:48:54「いいか。少年。線香花火など邪道だ。花火の醍醐味はな。何と言ってもこれなのだよ」おねえさんはにやりと笑って銜え煙草の火を導火線に近づける。おねえさんの右腕が唸る。ロケット花火は逃げる僕の横顔を何度も何度もかすめて夜に弾ける。ああ。また夏が来た。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-17 23:59:14「下手だなあ」 線香花火をすぐに落としてしまう僕を、おねえさんは笑う。 「ほら、こうやるんだよ」 言いながら身を寄せ、手を重ねてくる。 「こら、そんなに揺らしちゃ、またすぐ落ちちゃうじゃない。動かさないで持っていて」 ……無理を言う。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 00:08:17「よお少年、生きてるかァ」 「今まさに死にかけました」 いくら僕だからって橋から予告無し紐無しバンジーは辛すぎる。水面が痛い。 「これで少年も一人前の男に近付いたかな?」 「……さあ?」 「おいおいあんまり謙遜してくれるなよ、惚れちゃうだろ」 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 00:44:29「少年よ、大志、抱いてるかい?」 そういって僕を覗き込んだおねえさんの体勢は、馬乗り。 大志というか別の気持ちを抱きそう「だとか思っちゃったろ、少年。」 地の文にまで口を挟んでこないで頂きたい。「で?なんですおねえさん。今度はなんの厄介ごとです?」#僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 00:50:02#僕のことを少年とよぶおねえさん 「少年、花火っていうのはね、とても沢山の火薬が詰まっているんだよ。まぁるい玉の中に沢山詰まっていてね、それが突然、火がついて大騒ぎ。狭くて暗い所を一斉に進み始めて、勢いよく放たれるの。ドンって、花咲いたら、成功。ねぇ少年、何のことかわかる?」→
2016-07-18 01:00:13「やぁ少年」花火大会で会った浴衣姿のお姉さん。「ちょっと付き合いなよ」と言って引かれた手を断れない僕。でも「奢るよ」との申し出は断った。お姉さんは「君は真面目だな」と言って視線をあげる。誰の事を思い出しているのだろう。見上げた夜空には儚い花が咲く。#僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 01:03:44#僕のことを少年とよぶおねえさん 「やあ、少年」 まろやかな声音と笑顔のおねえさんはあの頃と少しも変わらない。 「そう呼ばれるにはかなり無理のある歳ですよ」 彼女は肩を竦める。 「けれどもおねえさんは少しも変わらない」 僕が呟くとまろやかな返事が 「おねえさんは死んでるからな」
2016-07-18 01:09:30「久しぶりだね少年。」家の前で花火をしていたら、おねえさんが声をかけてきた。お盆休みで帰省してきたそうだ。「随分身長が伸びたねぇ。あの頃が懐かしいよ」そう言うおねえさんも随分綺麗になっていて、不思議だった。「ねぇ、私にも花火やらせてよ」 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 01:20:09しゅわ。円筒の先から火花が飛び散る。それを合図に、誰も居ないはずの正面に明らかな人の気配が生まれた。初めは怖かった。正味今も怖い。いつまでも滴る幻の血が顔を上げる勇気を奪う、でも。「少年、」青白い足の女性の切なげな声に、僕は恋してしまったのだ。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 09:34:45「ねぇ、少年」 お姉さんの柔らかな唇から僕を呼ぶ明るい声が零れる。 「私はこの景色が好きなんだ」 穏やかな海の中に朝陽が染み込み色付いていく。 僕は頷いて、お姉さんと同じ景色を瞳に映す。 次の瞬間赤い空の中心に白く煙る一線の音花火が上がった。 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 10:15:02「ほら少年、」海辺の花火大会、もっといい場所で花火を見たいと僕の手を引く。ここでも十分綺麗だと思うのだけど。「とっておきの場所があるんだよ。」そこは昔おねえさんと出会った小さな公園で、海辺の風が吹いている。「ほら、あのすべり台の上だよ」 #僕のことを少年とよぶおねえさん
2016-07-18 11:46:59