DAS BOOT

かの名作「Uボート」を艦これに改変してみました。いえ、改変しているところです。 取り敢えずはきれいな部分をちまちまとつぶやきつつ、完成を目指します。 ”あねさん=姉さん”の表記ゆれあり
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バア・ロワイアル

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

バア・ロワイアルは、元はトート機関の連中が持っていた保養施設だ。彼らはその優れた技術でリフォームし、何とも言えない雰囲気の建物を生み出した。 オーケストラボックスの上の壁画はなんだっけ。確か前にあねさんが、女神がどうのと言っていた気がする。 で、それを提督が取り上げた。

2016-07-30 14:46:19
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

提督は我々の休養に関して、素晴らしいアイデアを持っているようだった。 いわく 「Uボート戦隊の艦娘には息抜きがいる」 いわく 「栄えあるUボート娘がいつも男娼街でしけこんどるわけにはいかない」 いわく 「もっと上等な雰囲気が必要である」

2016-07-30 14:49:32
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

その雰囲気なるものはへりの擦り切れたカーペット、すり減った皮の肘掛け椅子、壁の白いラッカー塗料を塗った気の枠にはブドウの造りもの。赤いシェードの壁灯。窓には擦り切れた赤いカーテン。

2016-07-30 14:53:09

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

酔いしれたトルーマンは、自分の言葉にひとしきり感動したのち、続けた。 「つまり、大いなる艦隊エキスパート、無比なる海軍戦略家、その大いなる英知に……英知に…なんだっけ?」

2017-03-24 00:59:11
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「我らが偉大にして、崇められ、禁欲的、妻をめとらぬ、自称絵師から史上最大提督へと輝かしき出世をなされ……あれ、同人作家だっけ?」 禁欲的の部分で、姉さんはついに噴出した。すんでのところで避けるミルヒ。まだそんな反射神経が残っていたとは。

2017-03-24 00:53:23

上品な壁の模様

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「上品な模様ね」 三方の壁にかけた、戦死者たちの写真に人差し指を突きつける。ずらりと並べられた黒枠入りの写真、"かつて"の狼達。若き勇者達とは違う、本物の、誇り高き海の娘。

2016-07-22 19:20:01
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「そのうちドアのところにもかかるようになるわよ!」 私はこの次に黒枠に入る写真がもう見える気がした。一度に六枚、ベックマンの戦隊。 彼女達はとうに帰投してしかるべきだったのだ。喪失発表も間近だろう。

2016-07-22 19:20:29
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「上品な娘達はみんな沈んじゃった! 麗しきノブリスオブリージュ。貴族先生! ここに残ったのは? プロ……プロレタリアート。アル中とヤリマン、人間のクズ。カスの海軍の底辺、デーニッツ独立軍団!」

2016-07-22 19:21:01
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

ふと艦隊司令部のボーデ参謀のことを思い出した。寂しげな老人で、私達を孫娘のようにあつかう。私ももう十代も後半なのに、会うたびにあめちゃんをくれる。にくめない、みんなのおじいちゃん。

2016-07-22 19:26:56
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

彼はいつも夜遅くなってから士官食堂で酒を飲んでいた。Uボートが喪われない日はない。いつもどこがで誰が沈む。その情報を取りまとめているのは、彼だ。 「その度に飲んでいたら……アル中だとさ」

2016-07-22 19:27:24

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

トルーマンは新聞の切りぬきをヒラヒラさせながら演壇に立った。 彼女の手にあるのがなんだかわたしにはわかった。メンケベルク大尉の遺書。結果的に遺書になった。

2017-05-13 09:09:47
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

大尉は戦死したことになっていたが、実際には犬死だった。頸を折って。 艦娘母艦で補給を受けていたとき、酔った頭で泳ごうとして折ったのだ。

2017-05-13 09:11:32
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

ビール瓶を片手にすっぽんぽんになった彼女は、外舷から海に飛び込むつもりでテラスから下の甲板に飛び込んだのだ。 あまりにも突然なことで、誰も止めることは出来なかった。

2017-05-13 09:12:09
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

テラスから甲板を覗いた光景は、芸術作品のようだった。 甲板に咲いた血の華と、投げ出された白い肢体のコントラスト。妙な角度に曲がった頸と、満足げに笑う顔には、どこか浮き世離れした美しさがあった。

2017-05-13 09:13:40

明確な原則

同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「やはり原則というものがある……明確なる原則だ! 諸君、命令だ! 明確極まる命令!」 ペーラーの小理屈が聞こえた。 「原則だ、諸君! 明確な命令!」 トムセンが真似をした。 「笑わせないで。これ以上不明確なものってなかなかないわよ」

2019-01-20 10:47:58
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「こうなんだ、深海戦争における我が潜水艦隊の効果は……」 「論説か宣伝中隊のたわごとね」 ペーラーの喋りに、トムセンが被せ気味に嘲笑った。 「最後まで言わせてよ!」

2019-01-20 10:50:45
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「例をとってみて。深海仮装巡洋艦が、臨検したUG戦隊のボートを撃沈したわ。この戦隊は四度目だったってさ」 少し溜めて、周りを見回す。

2019-01-20 10:58:27
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

「どういうことなの? 私達、戦争してるんじゃないの? それともごっこ遊び? 本物と区別する為に臨検する、仮装巡洋艦はボートを沈める。で、司令部は新しいボートを一隻追加する……最後に数があってりゃそれでいいわけ!?」

2019-01-20 10:58:27
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

大変なことになった。重大なくせにタブーとされているテーマをペーラーがつついたのだ。誤射をある程度許容するか、それともボートを一隻差し出すか。

2019-01-20 11:04:12
同志雪の人@活動低下 @yuki_8492

確認手順は整備されているが、海では想定出来ない事態が幾らでもおこる。最後に臨検しなければ、仮装巡洋艦でないと証明は出来ない。 だが臨検すれば、本当に深海棲艦の仮装巡洋艦だったときには、臨検にいったボートは確実に撃沈される。

2019-01-20 11:04:12
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