安田章大①【先生】

まとめました
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クラゲの秘密のお部屋 @04_kurage

【先生 ①】 進路も決まって 冬休みに入る前の試験期間中 担当の先生が休みになって自習になった日 俺はそっと教室を抜け出して 屋上に上がる いつからか俺の指定席 こんな冬には誰も来んし 時々サボるのに使う場所 北風が扉を開けた瞬間吹いた

2016-05-02 23:46:07
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【先生 ②】 「寒っ…」 ポケットに手を入れて ネックウォーマーに顔を埋める 再び風が吹いて 一瞬匂った煙い匂い その方角を見ると そこには不釣り合いな人がいる 「先生…?」 めっちゃ綺麗で みんなの憧れ 健全な男子なら一度はおかずにしてるはず…

2016-05-02 23:46:10
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【先生 ③】 俺も一回…いや、三回くらい… 慣れた手つきでタバコの煙を細く吐き出す先生 敷地内喫煙やけど… ポケット灰皿まで… ちょっと影に隠れて様子を見てる 空を見上げて 『はぁ…つまんないなー。ね、そう思わない?』 そう言われてビクッとして その瞬間目が合った

2016-05-02 23:46:12
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【先生 ④】 出て行くと 『安田君隠れるの下手ね』 って言って笑った 『自習って言ったのに』 「先生やってタバコ…」 『じゃあお互い様って事で。内緒ね?』 俺は先生の隣に座った 「全然イメージないわ。タバコの」 『そう?私だってストレスくらいあるわよ』

2016-05-02 23:46:14
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【先生 ⑤】 「へぇー」 『職員室の親父も教室の生徒もみんなそんな目でしか人の事見れないみたいで。そんな中にいたらストレスだって溜まるわよー』 すみません って心の中でつぶやいた俺 『安田君もでしょ?』 見透かされてたみたいで 笑われる 『やっぱりー』

2016-05-02 23:46:16
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【先生 ⑥】 『安田君みたいにカッコいい子なら別にいいけどー』 また空を見上げて 微笑んでる先生 その顔に一瞬で俺は好きやって思った やのに現実は… 『安田君…初めて?私が教えてあげる。今日のお礼だよ』 下着姿でベッドの上にいる先生

2016-05-02 23:46:17
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【先生 ⑦】 「あ、あかんってっ…服着てくださいっ…」 『私じゃだめ?』 「いや、あの…そうやなくてっ…」 『はぁ…安田君つまんない。もういい。帰っていいよ』 そんなことになるなんて思ってもなくて それから屋上で先生と過ごすようになっていた

2016-05-02 23:46:19
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【先生 ⑧】 「あ、またおる」 『安田君だって』 「タバコ増えてない?」 『そんなこと…ないわ』 「タバコって美味しいん?」 『ダーメ。あと2年で吸えるんだから我慢さなさい』 「何やねん。先生みたいなこと言って」 『先生だもん』 先生と過ごす時間が俺の楽しみになってた

2016-05-10 01:11:24
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【先生 ⑨】 俺しか知らへん先生の秘密を知ってるっていう優越感 屋上以外で会っても 何でか他人のふりしたり でも屋上ではめっちゃ話すし 笑顔の素敵な先生が見れる めっちゃそれだけで浮かれてて 毎日学校行くんが楽しくなる 何となくこれが恋何かなって 初めて想た

2016-05-10 01:11:25
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【先生 ①⓪】 入試でちらほらみんなおらんくて 自習が増える 今日も屋上で過ごす 「職員室のおじさんも男子生徒もこの学校中の男子が先生がタバコ吸ってるん知ったらがっかりするんちゃう?」 『誰にも秘密。言わないでよ。付き合ってる人も知らないんだから』 あっさり言われてしまった

2016-05-10 01:11:27
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【先生 ①①】 何にもしてないのに失恋した気分 どんな人なのか聞いても教えてくれなくて 『年上よ。かなりね』 何てそれだけ教えてくれた けれど 嬉しそうに語るわけでもなくて どこか悲しそうに 雪が降りそうな空に向かって 煙を吐き出した

2016-05-10 01:11:29
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【先生 ①②】 『安田君はいい恋してね』 何て言う “好きな人に恋人がおったらどうしたらいいですか?” 何て聞けるはずもなく 「彼女何ていらんな」 ってつぶやいてた 『もったいないよ。女子力高いならもてそうだし。若いんだから』 「それ、意味わからんし」

2016-05-10 01:11:31
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【先生 ①③】 “ふふふ” って笑った先生 先生の笑顔が見れてるだけで 今はこの時間を楽しんでおこう 卒業して何年も経てば 先生も俺も こんな時間忘れてしまうんやろな その日家で夜に泣いたのは一生の秘密になった

2016-05-10 01:11:32
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【先生 ①④】 ある日の放課後 俺はオカンの誕生日プレゼントを買うために街を歩いてた 駅前の大通り 人混みの中やけど 信号待ちの向こう側に先生が居るのが見えた 嬉しそうに男に寄り添ってる あんな笑顔初めてみた 先生は全然俺なんか気づいてなかった

2016-05-13 00:29:46
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【先生 ①⑤】 彼氏らしいその人は スラッとした色黒の人 顔をよく見たくて 真横をすれ違う ちらりと見えた左手に 色黒だから目立つ薬指の指輪 翌日 「先生さ、昨日駅前におったやろ?」 『え?う、うん…何で?』 「俺見てん。彼氏とおるところ」

2016-05-13 00:29:47
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【先生 ①⑥】 段々と顔が曇ってく先生 『そう。見たんだ』 「先生の彼氏ってさ…」 『安田君には関係ないわ』 「せやけどさ…」 『安田君、お節介よ。余計なお世話』 突き放す様に言われてしまう “たまたま好きになった人に奥さんがいただけよ” なんて言った先生

2016-05-13 00:29:49
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【先生 ①⑦】 『学校にバラす?』 「そんなこと…せんよ…」 『ありがとう。助かるわ』 先生は一本もタバコを吸わずに そのまま校舎に入って行った その日から屋上に来ることはなくなって それどころか俺の事を避けてる感じやった

2016-05-13 00:29:51
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【先生 ①⑧】 全く話す事もないまま 学校生活は終わって行く 年が明けて 雪が降る季節 俺も屋上に上がる事は滅多になくなった それでもどこか先生を待つけど 全然来ることはなくて もうこのまま終わるんかな って思ってた 先生の授業 真面目に聞いてる生徒なんてこんな時期にいない

2016-05-13 00:29:52
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【先生 ①⑨】 俺もぼーっとしてて 先生がスラスラと英文を読みながら歩いてる気配を感じながらも 机に伏しってた 先生が通って行くのがわかる 腕と机の間 なんかをスッと置かれて 起き上がる “夜電話して” と先生の文字で書かれたメモ そのまま終わっていった授業

2016-05-13 00:29:54
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【先生 ②⓪】 俺は慌ててそのメモをポケットに入れる 教室を出る直前 一瞬だけ先生と目が合う その夜俺は 少し緊張しながら 先生に電話をした…

2016-05-13 00:29:56
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【先生 ②①】 翌朝俺は家から5駅位離れた 結構大きな駅前におった 『安田君?』 「あ、先生。おはようございます」 『ごめんね。呼び出しちゃって』 「いえ。」 『じゃあ行こうか』 昨日の夜 先生は電話で今日1日付き合って欲しいって言われた

2016-05-24 23:13:35
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【先生 ②②】 「先生。どこいくん?」 『んと、まずは洋服かな』 何も聞かされへんまま 雑誌で見た事のある名前の服屋に入る 『せめて20歳くらいに見えて欲しいからな…』 とか言って服を選んで行く 『よし。これ、お会計で。あと、そのまま試着室で着替えますので』

2016-05-24 23:13:36
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【先生 ②③】 店員にそんな事を言って レジに進む先生 『はい。着てきて。今のその服はこの袋に入れてね』 俺は試着室に追いやられて仕方なく着替える 『次は美容院ね』 もう予約してあったみたいで スムーズに通されて軽いカットと きっちりとセットされる

2016-05-24 23:13:38
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【先生 ②④】 先生は雑誌を適当に見ながら待ってて 『ん、いい感じね』 出来上がった俺を見ていった 「あの、先生?」 『ごめんね安田君。ここから先は彼氏のフリをして欲しいの』 「え?ここで?」 そういったのは遊園地の前 チケットを渡されて2人で中に

2016-05-24 23:13:40
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【先生 ②⑤】 手を繋いで歩くけど 全然乗り物には乗らんと キョロキョロしながら歩く先生 ふと止まった足 ジッと先を見つめる目 俺もその先を見る あー そういうことか 先生の目的が全てわかった 視線の先にいるのは一組の家族 父親は見覚えのある顔やった

2016-05-24 23:13:41
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