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調査をしていたのはだれ? 複数人で、「お姉さん」。芳香と弾幕ごっこできる。 首に包帯を巻いた自警団員の正体は赤蛮奇? 妹紅と蛮奇(?)の証言。不老不死を探している者がいた? 最初と最後の独白はだれのもの? 塗りつぶされた証言「殺害したのは○○の子。禁忌の魔法。人間として葬る。」
2016-08-07 23:43:59![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
全ての始まりは村塚家に男女の双子が生まれたことであった。地域によっては双子は忌まれるというが、残念なことに幻想郷もそうであった。しかし、子を思う親の思いに地方差はなく、片方を亡き者にできなかった夫婦は上白沢慧音に頼んで娘の存在を喰ってもらい、表向きに存在しないことにした。
2016-08-08 23:20:15![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし計算違いであったのは、娘の存在が想像以上に薄くなり、ぼんやりとした影にしか認識できなくなったことであった。時には存在そのものを忘れそうになるほどである。これが歴史を喰われた代走であった。
2016-08-08 23:23:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
だが、当の娘本人はあくまで幸福であった。自分が生きている時点ですでに両親に愛されていることが分かっているのだから。そんな娘が望むものは、このまま家族我ずつと仲良く暮らしていけること。それだけだった。 そのすべてを破壊した者こそ霧雨魔理沙である。
2016-08-08 23:25:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
商売先の霧雨家で紹介された、自分の娘と同じ程度の小娘に、村越清十郎は年甲斐もなく一目ぼれしてしまったのである。それも、ぞっこんであった。
2016-08-08 23:28:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
霧雨魔理沙をなんとかして合法的に自分のものにしたい、清十郎の欲は、ある意味で成功した。つまり、子供同士を婚約させたのだ。長年の付き合いから信用があり、財産的にも評判的にも特に問題のない村越家と縁をつなぐのに反対するほどの理由は、霧雨家には特になかった。
2016-08-08 23:34:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
この婚約について問題があるとするならば、それは清十郎の息子の健康だった。息子は、はっきりいって病弱だったのである。いつ流行病にかかってポックリ逝ってもおかしくない程度には。だがこの問題は、清十郎にとってはそれ以上の問題によって、なんとか解決した。
2016-08-08 23:37:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
親が親なら子も子という奴で、婚約した者同士、一緒の写真くらいは取っておこうと面通しをした際に、息子の方も一目ぼれしてしまったのである。無論、ぞっこんに。
2016-08-08 23:38:49![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
己が病弱ぶりを克服せんとする息子の情熱は凄まじいものであった。迷いの竹林に不死人がいると聞けば肝を奪いに行き、霧の湖に人魚がいると聞けばこれまた肝を奪いに向かった。愛の力である。とある邪仙は感動のあまりに墓地の死体を掘り返して妙薬を作って授けるほどであったという。
2016-08-08 23:43:41![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そしてこれまた愛ゆえに、息子は父親の心に潜む邪悪な欲望を見抜いてしまったのであった。 「魔理沙さんは僕が幸せにするんだ!」 「うるさい! 魔理沙ちゃんはわしの娘になるんだ!」
2016-08-08 23:46:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
男同士の醜い争いは延々続いた。そしてある一言が止めとなり、ついには殺意にまで発展してしまった。清十郎の妻が新たに妊娠したのである。息子の生来の病弱さに加えて、ここ最近の無茶を聞いてとうとう頭がやられたのかと心配した妻の実家からの、改めて男の子を生むようにとの要請からであった。
2016-08-08 23:50:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
息子は激怒した。しかし仙人の妙薬をもってしても生来の体質はいかんともしがたく、今の健康とて燃え尽きる寸前の灯火のそれに過ぎない。なんとか結婚はできても、焦がれた娘と褥を共にするとなれば、そりゃあもう盛大に張り切るのは自分のことだからよくわかる。新婚早々に死ぬ不安は、革新に近い。
2016-08-08 23:56:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
かくのうえは邪仙に頼み込んで夫婦ともどもキョンシーにしてもらい冥途の旅路を共に過ごそう。それが息子の決意であった。当然、それを言葉でなく心で感じ取った清十郎は激怒した。対抗するために用意したものこそ、魔理沙そっくりの人形である。
2016-08-08 23:59:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
無理心中なんぞ、いくらなんでもあんまりだ。死体相手にはふさわしい結婚相手を用意するべきだろう。山形のムカサリ絵馬や青森の花嫁人形のように、清十郎は死者になった息子と番わせるための人形の制作をを、魔法の森の奥に住むという人形師に依頼することにした。
2016-08-09 00:08:23![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
家を傾けるほどの大金を払っのは、息子に対する愛情のためだ。一時は怒りに眩みはしても、もう先は長くないと思えば憐みの情も湧き上がる。せめてもの、はなむけであった。 未亡人になった魔理沙の傷ついた心に関しては、自分が優しく癒すからどうか安心して眠ってくれ。それが清十郎の思いであった。
2016-08-09 00:12:20![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
余談だが、この依頼に対してアリスはどうにも嫌な予感を感じていたが、依頼料を吹っ掛けた後ろめたさと、紹介状を書いた稗田家には里での活動においてなにかと世話になっていることから、結局引き受けた。そして引き受けるからには全力を尽くさねば己の矜持が許さない。アリスの心に、火が付いた。
2016-08-09 00:16:09![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
というわけで家の奥に張った超強力な結界に魔理沙を監禁し、全身くまなく隅々まで徹底的に”採寸”を行うのだが、この辺りについては繰り返すが余談である。
2016-08-09 00:20:07![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そして、運命の日が訪れた。注文の人形が家に届いたのだ。流石にこんなものを衆目にさらして運ぶわけにもいかない。アリスは少女一人が丸々入る程度の大きさの鞄に人形を詰めて持ち込んだ。清十郎はその人形の出来栄えの素晴らしさに感嘆し、賞賛と代価を惜しまず送った。
2016-08-09 23:31:33![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
清十郎の支払う金額に驚愕したのは妻の方である。先立つ息子の連れ添いとして人形を作ること事態には賛成したものの、まさかこれほどの額だとまでは、たった今まで知らなかったのだ。こんな支払いをすれば村越家の破産は目に見えている。取引の中止を申し出ようにも、時はすでに遅すぎた。
2016-08-09 23:34:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
流石にこれにはついていくことはできない。そもそも清十郎との結婚とて、所詮は家同士の結びつきに過ぎない。長年の共同生活から多少の情は涌いていたとはいえ、素寒貧のどん底に陥ってなお、ともに生涯を過ごしたいと思えるほどの熱量には達していない。
2016-08-09 23:38:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
愛は冷めて、家は没落となれば、あとは離縁の三下り半を記すのみである。元夫については、例の小娘にのぼせているから、自殺などには走らないだろう。才覚についてはそこそこあるから、員がよければ、なんとか這い上がるかもしれない。内助の功をするつもりは毛頭なくなっているが。
2016-08-09 23:46:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
かくして、夫婦の仲は冷え切り、父子の間は険悪、小娘相手に熱を上げる男たちに対して妻は軽蔑を抱き、惚れた相手に悪感情を抱く女に対して、男たちの感情もまた悪化していく。もはや、家族の絆などは崩壊していた。
2016-08-09 23:50:55