フォビドゥンフォレスト・１話中編

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「フォビドゥン・フォレスト：プロローグ～１話前半まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1005249

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フォビドゥン・フォレスト1話・中編

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前回までのあらすじ：田舎町・風科(かざしな)に住む男子高校生・片桐は、幼馴染の神社の娘・北里瑠梨や的場絵里、永友礼太らと共に、生徒会をしている。そんな彼らの元に妖怪の出現兆候の情報が入る。彼らは人を襲う妖怪を倒す組織、「僚勇会」にも所属しているのだ。

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放課後。 夕方の会議も確認だけで滞りなく終わった。 僚勇会からの連絡はまだない。分析に半日もかかるとなると、よっぽど反応が微弱か珍しいってことかもしれねぇ。会長にまで情報が来たら9割型出動は確定だっつったけど、こりゃ残り「1割」の可能性もあるかもな。 1

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ひとまず元々の俺の仕事の予定だった20時まではフリーになった。急に妖怪の大群が進撃でもしてこなきゃこれは覆らねぇ。ってことで取り合えず普通に解散だ。 「絵里ちゃん達はどうするの？」 瑠梨が聞いた。 「今更バイトの人帰すわけにもいかないし、取り合えず予定通り先輩の家に行くわ」 2

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「瑠梨ちゃんはやっぱり来られませんか？」 「うーん。行きたいけど、どっち道お祓いは必要だからね。お父さん休ませたいし」 鳥姫神社は元々、巫女の瑠璃でも殆どの神事を宮司に代わって行える。そこから瑠璃がアイドルを始めたもんだから仕事の皺寄せが親父さんにも来ているらしい。 3

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瑠璃のために付け加えとくと、アイドル業はむしろ親父さん達が勧めたとか言うことらしい。細かい事情は聞いてねぇ。 「残念ですけど、仕方ありませんね。絵里ちゃんも混ざってのお泊りなんて良い機会と思ったんですけど。ソラちゃんも予定あるそうですし」 佐祐里先輩が心底残念そうに言う。 4

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「その代わり今度の週末は、予定通り泊まりにいけるからね」 瑠梨は先輩の手を握る。 「瑠梨ちゃん…楽しみにしてますからね！」 先輩も握り返す。 「あのぅ…先輩？つまり私が泊まるのはは楽しみじゃないってこと？」 絵里が拗ねたかのような口調で聞いた。 「い、いえ別にそういう訳では」5

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先輩は慌てたように両手をぶんぶん振って否定する。この人は何も恵理に興味が無ぇ訳じゃない。瑠梨が好き過ぎるだけの話だ。…そんなこんなで俺達は一度解散。恵理は剣道部の様子を見て、会長は教員室へ、ラッタはどこか寄り道していくってんで、俺達だけでバスに乗って、5時過ぎに風科に着いた。6

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既に結構暗いし、神社まで直行すべきだろうが、瑠梨が寄り道して行きたいと言うので、三本前の停留所で降りた。帰ってからも忙しいんだし、これくらいは神の奴もガタガタ言わねぇだろうぜ。ここは駄菓子屋の前だ。古びちゃいるが、何度も手直しされて窓や引きガラス戸のレールも掃除されてる。 7

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真冬だけあって、店頭のアイスケースの中身は殆どが冷凍の惣菜やら魚ばかりだが、右の手前にアイスが何種類か、二・三個ずつ入っている。瑠梨はケースの水滴を手袋で拭い、上から品定めしてから開けアイスを一つ取り出した。 「はる君はどれにする？」 「いらねぇよ！？」 8

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繰り返すが今は真冬、しかも夜だ。アイスとか奢られたっていらねぇ。俺は肉まんとコーンスープ缶、瑠梨はアイスとホットコーヒーを買って、店内の畳に腰を下ろした。民家を利用した店内の奥には、もう暗いってのにガキ共が7・8人いた。ゲーム機やらカードゲームで遊んでてちょっとやかましい。 9

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風科に何軒かある駄菓子屋の中で、ここが一番人気なのはアレのおかげだ。ここに置いてあんのを予約制で貸し出してる。実質ゲーセンみたいなもんだ。俺もたまにそっち目当てでも来る。ちゃんと片付けるのと、菓子なんかで汚れた手でゲームに触んねぇのがルールだ。 10

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肉まんにかぶり付く。表面は水気で少しふやけてるが、中身は温かくて上手い。ちゃんと肉を食ってる感じがある。隣の瑠梨はアイスを袋から出したところだ。ただでさえ寒ぃのによりによって青いソーダ味だ。寒々しい。 「ん？少しいる？」 俺の目線に気付いてこっちにに向けてきやがった。11

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「欲しくて見てたんじゃねぇよ…お前こそ食うか？」 「んーひと切れだけもらっていい？」 そう言うとアイスを旨そうにパクりだ。見てるこっちは寒くてかなわねぇ。食い終わるとコーヒーを一口飲んだ。 「ほいよ」 取っておいてやった一切れ(四分の一はあるぞ)を瑠梨の口の前に持っていく。 12

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これっぽっちとはいえ、夕食前の女、それもアイドルで巫女に食わせて良いのかと言われそうだが、食事はお祓いの後の21時以降の筈だ。いくらなんでも間食しなきゃ保たねぇ。ま、こういうのも初めてじゃねぇし大丈夫だろ。 「はる君、あーん」 瑠梨が口を開けたのでそのまま入れてやる。　13

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「あ！春夏と瑠梨ねーちゃん間接キスだ！」 後ろのガキが絡んできやがった。一人目がはしゃぐと他のも騒ぎやがる。 俺は元凶の頭をはたいた。 「フルネームで呼ぶなっつってんだろ！」 「痛って！」 いけね。本題が先だ。 「ちゃんと千切ってやったよ！」 「痛ってえ！？」　14

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ガキが頭を抑えて恨めしげにこっちを見てくる。 「 お前こっち向いてたから多分見てただろうがよ…」 ったくロクでもねぇ色ガキだ…。 「はる君、やめなよ」 「そーだそーだ！」 「君達もだよ。嫌がるの分かってるしょ」 「はーい」 瑠梨が後ろに隠れたガキ共を叱りつける。　15

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ああそうだよ。片桐春夏が俺の名前。ハルカの時点で女っぽくて嫌になるのに、こともあろうに春夏ってなんだよ。普通この音なら「遥」の字を使うだろ。なんならこれ一文字でも良いだろ。生命力に溢れた春や夏をイメージしたんだそーだが、まんま過ぎるだろうがよ。捻れよ。　16

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【中断】　●●●●■□■○○◇△

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再開は明日夜の予定です。