編集部イチオシ

誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくい東宝怪獣映画の対怪獣作戦&機材について振り返りましょう

東宝怪獣映画というと、人類の超兵器が怪獣相手に奮闘して…というイメージがある。がしかし、実は昭和期の作品群に限ればそのイメージは虚構でしかない。 ちなみにまとめタイトルはウッディ・アレンのパロディ(だからどうした?)。
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総統 @soutou_d

ゴジラでも魔王でもいいが、天災にも匹敵する武力攻撃に対し、現代日本でその対応を行うのは、何か凄い発明を隠し持っている博士でも、伝説の勇者でもなく、政府である。日本において政府とは、時の総理以下内閣を構成する大臣たちと、各省庁の実務を取り仕切る官僚という事になる。

2016-08-05 08:10:25
総統 @soutou_d

これまでのゴジラシリーズでは、故意にそこのところを無視している。正確に言えば、子ども向けである事を意識してか、政府は、いわゆるウルトラマンの対怪獣組織に毛が生えた程度のものとしてしか描かれない。結果として、ゴジラを倒すのに秘密兵器頼りで、まともな作戦もない。

2016-08-05 08:10:35

こうした勘違いは、TLに流れてきたこのツイの主だけの話ではない。ゴジラシリーズに限っても29作あると、どうしても勘違いが生じてしまうのだろう。そこで<昭和の東宝怪獣映画(新ゴジ除く)>に限って、超兵器なるものがどれだけ登場したのか、ざっと振り返ってみたのが以下のツイ。

囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『シン・ゴジラ』は未見だがこの意見には異論がある。『逆襲』『キンゴジ』『モスゴジ』では非現実的兵器の類はほぼ登場しない。しかも作品を経る毎に自衛隊の対ゴジラ作戦は巧妙且つ効果的になっており、『モスゴジ』では退治の一歩手前までいった。 twitter.com/soutou_d/statu…

2016-08-05 09:17:42
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

勘違いしている人が多そうな気がするンだけど、昭和の東宝怪獣映画では対怪獣作戦で非実在超兵器の類による退治というシチュエーションは、意外と多くない。『ゴジラの逆襲』における非実在兵器はせいぜいがポンポン砲で、ゴジラの封じ込めはF86戦闘機で行われた。『ラドン』も同様。この作品に

2016-08-05 09:22:03
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

登場する超兵器はクライマックスで阿蘇山の噴火を誘発したオネストジョンだけ。しかもこれは非実在兵器ではなく「政治的理由から自衛隊には配備され得ない、当時話題になっていたであろう実在兵器」だったりする。そして次は『バラン』。東宝怪獣映画第四作にして『ゴジラ』に登場した

2016-08-05 09:26:36
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

水中酸素破壊剤以来の非実在兵器が用いられる。TNT火薬に比して20倍の威力を持つ、岩盤掘削用に開発中の特殊火薬がそれ。非実在ではあるものの、極めて地味な兵器(実際は兵器ですらない)である。作戦も照明弾に括り付けて落下させ、バランに呑み込ませて体内から破壊せしめるという、これまた

2016-08-05 09:30:20
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

地味というか、現実感漂う内容だ。次は『モスラ』で、ここでやっと多くの人がイメージする非実在超兵器が登場する。モスラを繭ごと焼き尽くすそうと、ロリシカ国から貸与された原子熱線砲がそれだ(画像)。しかしご存じの通りトドメをさすどころか、 pic.twitter.com/4fEn1akzKw

2016-08-05 09:35:33
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

成虫への羽化を促進させただけであった。そして翌年に公開された『キングコング対ゴジラ』だが、ここには非実在兵器は一切登場しない。ゴジラの東京侵入を阻んだ10万ボルトは単なる高圧線だし、コングを空輸した東京製綱製の「鋼よりも強く、絹糸よりもしなやか」なニューポリプロピレンは

2016-08-05 09:42:03
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

メーカーと製品ともども実在するものだ。おそらくあれは初代ゴジラの尾形が乗っていたキャブトン製のバイクと同様のタイアップだったのだろう。翌38年を挟んで39年には怪獣映画が三本も製作、公開されているが、非実在兵器が登場するのは『ドゴラ』のみである。『モスラ対ゴジラ』に

2016-08-05 09:45:31
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

登場したのは非実在兵器ではなく、実在はするのだが劇中で見せた改造と運用は極めて(ほとんど)不可能な点が辛うじて非実在的だといえる程度の物だ。それが第一次攻撃でゴジラを爆撃したカーチスC46である。「C」とあるようにそもそも本機は輸送機なので、劇中で見せた機能――機体底部に

2016-08-05 09:53:28
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ウエポンベイは存在しないし(当然内部には爆弾架もない)、爆撃に必要な照準器も備えていなけりゃ、そもそも爆撃訓練を受けた要員がいるわけがない。しかもこの機体は台湾などからかき集めたオンボロばかりだったので、改造に耐え得るとも思えないのだ。あとはゴジラを抹殺する寸前まで追い込んだ、

2016-08-05 09:57:24
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

3000万ボルトの威力を誇る放電タワーくらい。海外版では国連艦隊が運用する新型ミサイルが登場するが、パラレルな物としてこれはカウントしない。で、次の『ドゴラ』でやっと明白な非実在兵器が登場する。それはドゴラを殺し石化せしむる蜂毒を噴霧するために開発・建造された

2016-08-05 10:08:09
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

噴霧器である(画像)。特に名称はない。これまた地味な機材だが、だってそうなんだもん!としか言い様がないのである。そして続くのが39年の年末、40年の正月を飾った『三大獣地球最大の決戦』なんだが……本作にはまったく非実在兵器といえる pic.twitter.com/uyD3QRt9pE

2016-08-05 10:13:30
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

機材が一切登場しない。まあ、本作の見所はゴジラ、ラドン、モスラの三大怪獣が宇宙大怪獣キングギドラに挑む点に尽きるので、非実在兵器どころか自衛隊そのものが碌に出てこないという、それまでの怪獣映画と比べると非常に特異なカラーの作品だったりする。

2016-08-05 10:16:50
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

さすがに面倒になってきたので、以降はざっと並べていく方法とする。 昭和40年公開 『フランケンシュタイン対地底怪獣』 非実在兵器なし 『怪獣大戦争』 Aサイクル光線車(画像)※P1号は非武装の探検用宇宙船のため兵器にカウントせず。 pic.twitter.com/Tv4WmpoZIf

2016-08-05 10:26:26
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和41年公開 『サンダ対ガイラ』 メーサー殺獣光線車、L作戦用固定式レーザー砲台 ※画像 『南海の大決闘』 非実在兵器なし ※そも赤い竹なる武装組織自体が架空なので論ずる意味がない pic.twitter.com/Cj4Y4fPXYh

2016-08-05 10:37:59
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和42年公開 『キングコングの逆襲』 メカニコング(画像) ※ヘリやホバークラフトはカウントせず 『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』 非実在兵器なし ※そも軍隊が登場しない作品である pic.twitter.com/cY5FnzZyUU

2016-08-05 10:43:54
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和43年公開 『怪獣総進撃』 ムーンライトSY3号 ミサイル戦車 ※共に画像 昭和44年公開 『オール怪獣大進撃』 非実在兵器なし 昭和45年公開 『決戦! 南海の大怪獣』 非実在兵器なし pic.twitter.com/9Xip8aBRDa

2016-08-05 10:55:24
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和46年公開 『ゴジラ対ヘドラ』 巨大電極板(画像) 酸素爆弾 昭和47年公開 『ゴジラ対ガイガン』 メーサー殺獣光線車改(画像) ミサイル戦車(怪獣総進撃の流用) pic.twitter.com/Favd159TZb

2016-08-05 11:04:55
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和48年公開 『ゴジラ対メガロ』 非実在兵器なし ※ジェットジャガーは兵器ではないのでカウントせず 昭和49年公開 『ゴジラ対メカゴジラ』 敵役のメカゴジラが唯一の“兵器”と思われる(画像) pic.twitter.com/DVQYND9uhU

2016-08-05 11:13:02
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囚人番号6 @F4EJ2Phantom

昭和50年公開 『メカゴジラの逆襲』 制御波攪乱超音波照射装置 以上である。こうして列挙すると、自衛隊のスーパー化は昭和40年代の一時期だけであることが良く分かるだろう。ちなみに言うまでもないことだが、宇宙戦争物やスーパーメカニクス物は「怪獣映画」ではないので取り上げなかった。

2016-08-05 11:22:41

以下はフォロワーさんたちとのやりとり。

脳が壊れた ねこかん @Nekokann

@F4EJ2Phantom モスゴジとキンゴジは本当に自衛隊頑張ってましたよね

2016-08-05 09:26:36
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

@Nekokann 『モスゴジ』でゴジラとモスラ、続く『三大怪獣』でラドンの世界観が連結されたことで、あの世界の自衛隊(防衛隊)は初代ゴジラの襲来以来、幾度も怪獣の襲撃を経験し、その都度対応策を向上させていき、ついにはゴジラを感電死させる寸前まで追い込むノウハウを手にしましたね。

2016-08-05 09:49:21