サイバー・スレイヤー【三殺目・ワームトキシン】前編

フライハイ・ニンジャスレイヤー
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劉度 @arther456

「ドーモ」ガラス越しに死神がアイサツした。23

2016-08-10 22:08:01
劉度 @arther456

「アイエエエ!?」少女が窓ガラスから飛び離れる。「どうし、なっ!?」ワームトキシンも現れた死神の姿に絶句する。2人が見つめる中、赤黒の死神はガラスを蹴って跳躍、屋上から吊るしたロープによる振り子運動でガラスを蹴り破る!「イヤーッ!」CRAAAAASH!24

2016-08-10 22:09:05
劉度 @arther456

分厚い防弾ガラスが砕け散り、死神は社長室へ侵入を果たした。前転着地を決めた後、ワームトキシンに向けアイサツした。「ドーモ、ワームトキシン=サン。ニンジャスレイヤーです。棺桶の中で待ち構えるとは殊勝な心掛けだな」25

2016-08-10 22:12:05
劉度 @arther456

「ドーモ、ワームトキシンです……!」焦燥を抑えながら、ワームトキシンはアイサツを返した。「オヌシの首から、私のソウルを取り返す。大人しくせよ」「ソウルだと……!?」狙いは命でないのか。思わぬ言葉だったが、同時にワームトキシンは、1つの策を思いついた。26

2016-08-10 22:15:04
劉度 @arther456

「俺が奪ったニンジャソウルが目当てか?なら、そいつだ!そのデスクに記憶素子が入ってるそのまま、手付かずだ!」ニンジャスレイヤーは横目でデスクを確認した。「オヌシはソウルの力を使わないのか?」「反射神経が上がった所で、ハッキングの役には立たねえよ!」27

2016-08-10 22:18:02
劉度 @arther456

ワームトキシンがアブラクサスから分け与えられたのは、ニンジャスレイヤーの反射神経だった。ニューロンとUNIXを直結させてタイピングを行うワームトキシンには無用の長物だ。「そいつは返すから、見逃して……」「そうか。殺す」「オイオイオイオイ……!?」28

2016-08-10 22:21:03
劉度 @arther456

ニンジャスレイヤーの殺気に気圧され、ワームトキシンは後ずさった。床にへたり込んだ少女に目を向ける。ニンジャスレイヤーはそちらには目もくれず、ワームトキシンだけに圧倒的殺意を向けている。「イ……イヤーッ!」苦し紛れのスリケン投擲!しかし死神は指で挟み止める!29

2016-08-10 22:24:02
劉度 @arther456

「グワーッ!?」突然ニンジャスレイヤーがのけぞった。スリケンのせいではない。その背中に突如、鋼鉄の杭が突き刺さったのだ!杭にはワイヤーが結び付き、その先には……ナムサン!少女のチャイナドレスのスリットから覗くサイバネ義足だ!「背中がガラ空きだよ、おじさん」30

2016-08-10 22:27:00
劉度 @arther456

「イヤーッ!」少女は更にクナイを投げつける!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはワームトキシンのスリケンを投げつけ相殺!そしてチョップで、背中に刺さったアンカーのワイヤーを断ち切った。少女は立ち上がり、ニンジャスレイヤーに向け両手を合わせた。「ドーモ、ラースヤです」31

2016-08-10 22:30:04
劉度 @arther456

「ドーモ、ニンジャスレイヤーです……冗談ではあるまいな?」ラースヤ。ニンジャスレイヤーのソウルを奪った5人の1人。だが、彼の記憶では、ラースヤは長髪を頭の後ろで束ね、濃緑色の装束を纏った男のニンジャだったはずだ。「んー?ああ、そうか。この前はメイクしてなかったもんね」32

2016-08-10 22:33:02
劉度 @arther456

「どう?ナチュラルメイクってやつなんだけど、カワイイ?女の子っぽい?」「拘るなら、今のうちに己の死化粧を考えておけ」怒りと共に、ニンジャスレイヤーはカラテを構えた。ワームトキシンは既に部屋を脱出している。追わばならないが、ラースヤを無視することもできない。33

2016-08-10 22:36:01
劉度 @arther456

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは踏み込み、鋭い右フックを放つ!「イヤーッ!」ラースヤはこれを弾き、右手をニンジャスレイヤーに向けた。サイバネ手首からアンカー射出!「イヤーッ!」首を捻り回避!アンカーは社長机に突き刺さる!34

2016-08-10 22:39:02
劉度 @arther456

「イヤーッ!」すぐさまニンジャスレイヤーはヤリめいたサイドキックを放つ!「グワーッ!」ラースヤは両腕をクロスさせて防ぐも、壁際まで吹き飛ばされた。「……っとと」高級タンスに手を付き、踏みとどまる。「やっぱり強いねえ。勝てそうにないや」35

2016-08-10 22:42:03
劉度 @arther456

「イヤーッ!」ラースヤがタンスを蹴り飛ばした。重いタンスは窓ガラスを破り、落下していく。意図の見えぬ行動に、ニンジャスレイヤーは眉根を寄せる。「ああ、そんなにボーッとしてていいの?」ラースヤが喋ると同時に、突然社長デスクが動いた!36

2016-08-10 22:45:02
劉度 @arther456

ナムサン!デスクは独りでに窓の方へ引きずられていく!注意深く観察すれば、先程ニンジャスレイヤーが避け、机に突き刺さったたワイヤーが、デスクを引っ張っていることが分かるだろう。ワイヤーの先端は、今し方蹴り落とされたタンスに突き刺さっている!37

2016-08-10 22:48:03
劉度 @arther456

「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーは咄嗟にデスクを掴んだ。デスクには、ナラク・ニンジャのソウルが封じられた素子が入っている。このまま落ちれば、記憶素子はソウルごと粉々に砕け散ってしまうだろう。「じゃ、オタッシャデー!」ラースヤが悠々と部屋を脱出する。38

2016-08-10 22:51:08
劉度 @arther456

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは間一髪、社長机を引き上げ、チョップでワイヤーを切断した。高級タンスが地上へ落ちていく。それを見届ける暇はない。ニンジャスレイヤーは机の中から目的の記憶素子を見つけ出すと、すぐさま2人の後を追って部屋を飛び出していった。39

2016-08-10 22:54:04
劉度 @arther456

【三殺目・ワームトキシン】前編おわり 中編へ続く

2016-08-10 22:55:20