すばると私

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S-1 同じ匂いがする。 初めてアイツに会ったときの感想。 俺の女だと思った。 人を介して、どうにか連絡先を手に入れて。 付き合っとるやつがいたみたいやけど、そんなん知らん。 押して、押して、押し倒した。

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S-2 それでも別れんから、暇があったら追いかけ回して、待ち伏せて。 しまいには、閉じこめて、体中痕だらけにして、強引に別れさせた。 涙を流すアイツを抱きしめて、ようやく手に入れたって思った。 何しても嫌がらへん。 俺の好きなように体を作り替えていく。

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S-3 だけど、その喜びも束の間。 体に残る男の影は色濃くて。 見え隠れするたびにドス黒い気持ちが沸き上がって、ただがむしゃらに抱いた。 キツく吸い付くたび、力任せに穿つたび、こみ上げる焦燥感。 たまらんかった。

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S-4 全部を俺のものにしたくて。 アイツの初めてが欲しくて。 文字通り、貫いた。 そこに俺の分身を穿つ。 紅く光るそれを見るたび、独占欲が満たされる。 ようやく、手に入れた。

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S-5 俺を刻みつける為やったはずやのに、囚われたんは俺の方。 口には出さんけど、お前がおらんとあかん。 おらんと、壊れる。 同じ匂いがする。 だから知ってる。 お前もそうやって。 そうやって、言え。

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M-1 初めから囚われていた。 まっすぐに私を見る目。 危ないと思った。 逃げるように、その場を離れた。 誰から聞いたのか、届いたメール。 断れず、他の人も一緒に何度か食事に行った。 初めて、二人だけでの誘い。 私には彼がいた。 大切だった。

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M-2 やっぱり断れなかった。 色んなものを見ないフリした。 そんな私を見抜かれていたのか。 何度目かのとき、部屋に強引に連れ込まれて、その場で抱かれた。 ううん、犯された。 罪悪感と、でも込み上げる喜び。 流した涙の意味はわからなかったけど、すばるが優しく拭ってくれて。

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M-3 もう、戻れなかった。 でも、大切だった彼。 どうしたらいいかわからなくて、関係を切れない私。 業を煮やしたすばるは、部屋から出してくれなくなった。 仕事に行く時以外はずっとベッドの中。 私の全部にすばるを刻みつけられて。 何の言い訳も出来ず、彼とはなし崩しに別れた。

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M-4 すばるは毎日私を抱く。 優しいときもあれば、何を見てるのかわからない乱暴なときもあった。 体がすばるに作り替えられていく。 何をされても悦びだった。 他人から見たら異常かもしれない。 それでも嬉しかった。

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M-5 でもすばるは満足しなかった、みたい。 文字通り、すばるの印を体に刻まれた。 すばるの手で。 その痛みはすばるの叫びに思えた。 私の体に、すばるは一生残る傷を残した。 私がすばるのものだっていう印。 すばるが私のものだっていう証。

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M-6 本当は、そんなものなくてもすばるに囚われていた。 初めて会ったあの時から。 ずっと、あの視線に絡め捕られたまま。 でもね。 それは私だけじゃないって、知ってる。 すばるも、そう…なんでしょ？