世界一難しい君

あみ @ami_qitt25

1 『あー、腹減った、、』 車を降りて、、 オフィス近くの良く行く定食屋 もう、30分もしたら締まってまう 慌てて暖簾を潜り 『まだ、大丈夫ですか？』 奥の厨房から顔馴染みの親父さんが 顎をしゃくって席を促す 『すんません、、いつもの...』 #世界一難しい君

よっこ(っ`ω´c)ｷﾞﾘｨ @eitototo888

2 少し待つと瓶ビールと冷えたグラスが運ばれてきて、手酌で注いでカラカラの喉に流し込んだ グラスを飲み干すと、喉が潤ってやっと落ち着く いやぁ、これはアカンな…空きっ腹にきく… シュルっと首元を締めたていたネクタイを外した #世界一難しい君

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3 直ぐ目の前に出された皿には いつものカツカレー 衣がサクッとしてて肉はジューシーで...あっという間に腹の中に納めて ビールを流し込み 『ハァ、、美味かった、、』 グラスをテーブルに置く カタン、、 音が向かいのカウンターから 聞こえた 『へ？』 #世界一難しい君

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4 バサバサバサ 音の方に目を向けると、床には大量の紙がばらまかれ、テーブルはビールがこぼれ、慌てふためく女が 「あーーもーー最悪っ！！」 ビール塗れの紙をバンバンとタオルで拭く 飯も食い終わったとこやし、しゃーなし、手伝うか 大量の紙を拾い集めた #世界一難しい君

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5 「あ...、ありがとう、ございます...」 目の前に拾った紙を差し出すと 上目遣いに俺を見上げて 『大丈夫なんか？』 「ん、大丈夫...作り直せばいい事だから」 全部拾ってトントンと纏めると 横に置いてあるバックに突っ込み 「ああ、ビールぅ」 #世界一難しい君

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6 零れた量をみるからに、殆ど飲んでなかった様で、そいつは悲しい顔をしとった どんだけビール好きやねん さっきまであーもーとかキレとったくせに、くるくる表情が変わるもんやな おもろいな… 初対面の女で、おもろい奴って思ったのは初めてちゃうか #世界一難しい君

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7 『飲み足らんやろ？』 「飲み足りないって言うより飲んでないもん...あ、でももう時間が、、」 腕時計にチラッ目をやる仕草は 流れる様で...さっき迄のガサツさは 微塵も見えへん、、 逆に優雅でさえあるのはなんでやろ？ 『付き合わへん？』 「へ？」 #世界一難しい君

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8 『せやから、飲みに付きあわへん？飲み足らんやろ？』 「え、だから、飲んでないってば！もう！」 ほら、また顔が変わっとる 席に置いてあった鞄を持って、レジ前に向かう 『すいません！おあいそお願いします。２人分纏めて』 「え？ちょっと！」 #世界一難しい君

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9 「待って、、 奢られる意味わかんない...し、、」 会計を済ませ店を出る俺の後を 文句言いながら付いて来る ほんま、おもろい女... こんな女周りに居らへん 俺の周りの女は奢られて当たり前 出さへんもんなら見向きもせいへん 「ねぇ？聞いてる？」 #世界一難しい君

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10 『俺の行きつけでえぇか？それとも君のおすすめの店にするか？』 「…やっぱり聞いてない…」 その後も文句をぶつぶつ言いながら後を付いてくる 俺の行きつけの店について、隣の席に座る 文句言いつつも何や従順でかわええやんか 勝手にビールを二つ頼む #世界一難しい君

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11 出されたグラスを軽く当てると 隣の女を横目で見ながら 喉に流し込む 女はグラスの水滴を指先で拭いながら ゴクッて唾を呑み込む 『飲まへんの？すんません、同じの』 空いたグラスを軽くあげれば バーテンが新しいグラスを持って来て 目の前に置いて行く #世界一難しい君

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12 新しいものに口を付けようと、グラスを持ち上げると、女が口を開いた 「ノコノコ付いてきた私も私だけど、私の名前も知らないこの状況で、よくそんなゴクゴク飲めますね」 女が片手で頬杖をつき、俺を睨んできた せやな、確かに 定食屋でナンパして #世界一難しい君

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13 ナンパな... 『じゃ、なんで付いてきたんや？』 一瞬怯んだ女に畳み掛けるように 『嫌なら、来んでええやろ？ 俺に興味があったんやないの？』 俺を見る女の頬が紅く見えたのは ライトのせいやろう #世界一難しい君 pic.twitter.com/3Wsgi1kd3P

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14 押し黙ったかと思いきや、目の前のグラスを一気に飲み干した 「すみません。テキーラ、ショット」 やはりライトのせいやな さっきの顔とは全然違い、挑発的な目付き 思った通りそのへんの女とは違う ええやんけ、その勝負乗ったるわ #世界一難しい君

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15 何杯目かのショットグラスを カウンターに置くと 「あなたさぁ、、何様なの？」 顔色一つ変えずに新しいグラスの 液体を喉に流し込みライムを口に咥えながら... その濡れた唇をペロッ舌で舐めて 挑発するん？ 『何様な、、何やと思う？』 #世界一難しい君

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16 「んー、着ている物や身につけてる物をみると只者ではなさそうよね」 ほぉ、ええもんって事はわかんねや よお見とるやん 「あと、上から目線なのと強引なとこからみると…」 『褒め言葉をどうも』 そう言うと吹き出した 「あははは！！」 #世界一難しい君

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17 「褒めて無いし、、面白い人、、」 そう言うと更に挑発する様に 「嫌いじゃ無いけど、、もう少しスマートに誘ってくれたら合格だったのにね」 はあ？ この俺が落第やって言いたいん？ 『じゃ、どんなんなら合格なんや？』 #世界一難しい君

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18 「そうだな…」 グラスの縁を人差し指で何度か擦り、その指をぺろっと舐めながら 「零れたビールの分、俺と飲まない？とか？」 それが合格点かよ…阿呆くさ… と口から出るのを止め、わざとらしくニヤリと笑う 『せや、お前なら俺を上手く誘えるんやな？』 #世界一難しい君

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19 紅い舌が唇の端をチロっと舐めて 「あたしに口説けって？」 俺に向き直ると頬に手を添え 唇を重ねて来た 『...っ、、』 不意討ちのKissに動く事も忘れて ...こんな女、初めてやな...全く読めへん 「どう、、気に入った？」 #世界一難しい君

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20 あかん…めっちゃツボや こういう掴みどこのない女を落としたいって思うのが、男の性やろ 右手を耳の後ろに差し込んで、後頭部を掴んでぐっと引き寄せる 脚と脚の間に膝を割り込んで、耳元で囁く 『全然足りひん。こんなもんしかできひん？』 #世界一難しい君

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21 スーッと顔を離してふわっと笑うと 逆に俺の耳元に身体を伸ばして 唇を軽く付けるように... 「此処でして良いの？、あなた... 止まらなくなるわよ、そんな趣味なんだ」 そう言うと、 ペロッと耳朶に舌を這わしたかと思うと 甘噛みをして俺を見つめる #世界一難しい君

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22 『俺は別にここでもかまへんよ。お前がええなら。どうする？』 膝をぐっと押し込んで、付け根に当てる さすがにここまで来たら引けへん どうするかお前が決めろや 頬が赤く染まって、眼が潤んできた気がした あと一歩か？ #世界一難しい君

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23 「...此処じゃ、、」 言い終わる前にバーテンに目配せして 女の手を掴み立ち上がり歩き出すと 慌ててバックをつかみ取り 小走りに付いて来る 店を出て通りに止まる車に押し込んで 『さぁ、 ええで、、どうしてくれるん？』 #世界一難しい君

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24 スーツのした襟をぐっと捕まれ、軽く口付けされ 「…あなたの好きにしていいよ」 潤んだ瞳で上目遣いをされ、降参宣言ともとれる ここで行かなあかんやろ 押し倒したくなるのを飲み込んで、行き先を運転手に伝える 『すんません。ウエスティンホテルまで』 #世界一難しい君

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25 ホテルのフロントで鍵を受け取り エレベーターで部屋に向かう時間も もどかしい 隣に並ぶと軽く手と手が触れて まるで静電気で飛び跳ねる様に ビックと身体が揺れるから 触れた指を絡めて引き寄せる 指定階に着いて扉が開くと 自然と早足になる #世界一難しい君