- tsutsujishika
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チョロ松はあからさまに言いよどんだ。あー、俺には言えない感じのやつか。あっそう。休みを満喫して、楽しく遊んでたわけね。どういう遊びか知んねえけど。
2016-08-16 12:41:05天候を理由に定時退勤を促されたのでそそくさと会社をあとにする。 久々に会ったおそ松は、なんだか眩しかった。……まあ、会えない日が長かったのと恋の病による相乗効果でそう見えるだけで、あいつ自身はいつも通りだったと思う。
2016-08-16 18:04:04……誘われなかったなあ、と思ってしまう僕は、爛れた関係に慣れすぎなんじゃないだろうか。この数日間、実家にいたのとイベントの疲れとで、欲を発散するタイミングが無かった。だから今日誘われたら、なんて馬鹿な空想をしていたんだ。
2016-08-16 18:05:04なんというか、自分で自分が哀れに思えてくる。色々な意味で。 どんよりと重たい空の雲は、まるで今の僕の気持ちを表すように、暗い色をしていた。
2016-08-16 18:06:02休みを終えてすぐなんて、あからさますぎる気がして誘うのを躊躇した。台風もきてるらしいし。あーでもやっぱ誘えばよかった。昼休み、あの焼けた肌に触れたいとどれだけ思ったか!休みの間、あの体にだれか他の奴が触れたかもなんて考えるとめちゃくちゃむかつくし!
2016-08-16 20:55:20自分の思考の勢いにまかせて、初めてのラインを送る。「明日良い?」それだけ。真っ新な背景にぽこんと浮かぶ最初の吹き出し。既読は意外に素早くついて、けれど返事はしばらく経って。それでも「いいよ」としてあった。
2016-08-16 20:56:04予報では明日の夕方にもなれば台風による風雨は収まるそうだ。多分問題はないだろう。窓の外の雨に反して、気持ちはにわかに高揚するのだった。
2016-08-16 20:57:13おそ松から初めてラインがきた。ごくごくシンプルな夜の誘い。どんなに味気ない文字でも、渇いた僕にはとんでもない甘露で、いけない毒だった。
2016-08-16 21:31:03前の失敗も考えて、明日はもうちょっと上手くやろうと思う。どこに連れて行かれるのかはわからないが、多分ホテルだろうし。すこし待ってもらって、そこで準備をさせてもらえばいい。……じゃあなんで今こうやって、なりあわぬところを触っているのかというと、単純に溜まっているからだった。
2016-08-16 21:32:11今更ながら、ひとりでこんなところをいじるなんて、自分がとんでもなくはしたない人間になったみたいだ。しかも思い出しているのは、「早くしろ」だなんて強請ったあの夜のこと。心底恥ずかしい。でもその羞恥による熱は、僕の下に降り積もって今か今かと解放の時を待っている。
2016-08-16 21:33:06男の体というのは、どうしてこう、欲に正直にできているんだろう。胸の奥にしくしくと雨を降らしながら、けれど体は確実に、高まっていくのだった。
2016-08-16 21:34:02休みが明けて一日、休みボケのような空気が漂っていた社内も、ようやく本来の騒がしさが戻ってきた。台風の雨も過ぎ去ったみたいだ。忙しくなりそうだな、と思った。
2016-08-17 09:52:07おそ松からのラインだった。これから社に戻るけど、急ぎの案件が入ってまたすぐに出るらしい。終わるのが遅くなるから、今日の夜はムリそうだ、ということだった。
2016-08-17 16:29:01朝からずっと頭の中にいた淡い熱が、すうと降りていくような感覚がする。そしてその熱はスマホに触る指へとたどり着き、「遅くなっても、待ってる」と文字を打った。
2016-08-17 16:30:06ちょいちょいと手招きをして、チョロ松を廊下に呼び出す。息荒いけど大丈夫?と言われた。正直大丈夫じゃない。それもこれもお前があんな可愛いラインを送ってくるからだ―…とは言わず、代わりに家の鍵を渡した。
2016-08-17 16:47:02「ほんと忙しくてさ。ホテルとかいくのめんどくさいから、お前俺の家で待っててよ」ほんの思い付きだった。あのラインの返事を見て、こいつをもっと自分のテリトリーに入れたくなった。もちろんOKを貰える確証はない。
2016-08-17 16:48:01