【姫騎士ゾンビVSサムライオーク】前編

ドージョー・コケラオトシ 企画。短編。 後編:http://togetter.com/li/1016012
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南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

【インフォメーショーン】 姫騎士×ゾンビ×オーク×サムライ(仮)ついに完成。明朝ないし夜、ドージョーコケラオトシ記念作品として投下予定。

2016-08-22 22:56:22
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

【内容は?】 死したる姫騎士がゾンビとなり、日本刀めいた刀を持つ変わり者のサムライ(っぽい)オークと斬り合う。以上!

2016-08-22 23:01:03
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

なお、改稿後カクヨムにも決断的投稿行為を予定なので是非ともコメントを頂きたい。タグは #NGM_DJ だ。面倒ならリプライ行為も歓迎する。 ヨロシクオネガイシマス!

2016-08-22 23:06:30
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

どうも、南雲麗です。この道場はツイッター小説用アカウントです。オリジナル創作を中心に投下していきたいと思います。 普段はこんなものを書いています。 kakuyomu.jp/users/nagumo_r…

2016-08-23 07:12:09
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

昏い洞窟の奥深く。そこには『かつてヒトだったモノ』の山が形成されていた。うず高く積まれた腐肉と骨の山に今、一糸まとわぬ女が投げ込まれた。 洞窟の肌と衝突する音。 肉と骨に塗れる音。 そして無惨に着地してなお、女は悲鳴すら上げようとはしなかった。否。上げることはもう叶わなかった。①

2016-08-23 07:18:50
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

時折滴る水の音、腐肉を貪る蛆の音。むせ返る、という言葉すら生半可と言える凄絶な腐臭。 その中にあって死したる女の目は、今なお戦意を失ってはいなかった。 今こそ真実を明かそう。この地はオークの住まう洞窟。集う躯は皆オークに苛まれた者の成れの果て。五体満足、1人とてなし。②

2016-08-23 07:21:13
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

そして今。怨念の力か、はたまたなにかの媒介か。或いはいかなる術によりてか。見開いたままの女の目に、暗い光が宿った。 その直後。口にするのも憚られるおぞましい光景が! 肉が、骨が。異様な音を立てて女を飲み込んでいく! おお、女が肉と骨に埋もれてしまう。奏でる音は汚濁の極み……。③

2016-08-23 07:23:11
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

そして幾つの時が過ぎ去ったのか。そこには既に腐肉も、骨もなかった。在るのはただ1人。 骨と肉を赤黒い装束と鈍い光を持つ刀に変え、暗き瞳を宿した姫騎士のみ。それは女の生前の姿。誇りを汚された女が、汚濁に塗れた鎧を纏う。 かつて光に満ちていた姫騎士は、狂乱の腐肉姫騎士となった。④

2016-08-23 07:25:09
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

腐肉姫騎士。いや、読者の皆様に通ずる言葉で言うならば姫騎士ゾンビが適当であろう。その最初の犠牲になったのは哀れな下っ端オーク2匹と、彼等が持ち来たった死骸であった。 飛んで火に入る夏の虫。獲物を見つけた姫騎士ゾンビの動きは、まさに神速であった。誰にも捉え得ぬものであった。⑤

2016-08-23 07:30:41
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

「ヴァアアアアアア!!」 「PUGYYYYYYYYYY!!」 かつて彼女が得ていたであろう、誇り高き剣術もへったくれもない蛮声と悲鳴が交錯した後。立てる者は姫騎士ゾンビのみであった。 彼女は自らの周りに倒れる死体を一瞥した後、人の形をしたソレに目をつけた。腕の部分を持ち上げる。⑥

2016-08-23 07:33:40
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

そして……おお、何たる冒涜的行為か! 彼女はその肉を噛み千切った! まだ鮮度を保った『それ』を、噛み砕き、咀嚼し、飲み込む。 その度に腐肉と骨で構成された装束が不気味な音を上げ、強引な運用で千切れた肉体が再生されていく! そして噛み切られた死体の方を見て欲しい! 嗚呼、嗚呼!⑦

2016-08-23 07:36:05
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

死体が泡立ち、腐って行く! そしてズルリ、とのたうち、起き上がる! 生命への冒涜! 地獄絵図!  おぼつかない足取りだ。今なら殺せるだろう。だが、ここはオークの塒の奥底であった。 「ヴァヴァヴァ……」 気味の悪いうめき声を上げながら、増えたゾンビは肉を求めて洞窟を彷徨い始めた。⑧

2016-08-23 07:39:02
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

その光景を見届けた姫騎士ゾンビは、更に洞窟を入口目指して歩き始めた。その足取りは、もう1匹のそれよりも遥かに意志に満ちていた。 髪は既に痩せ、肌は浅黒い。身体はやがて朽ちる運命。 暗い瞳。赤黒い姫騎士装束。意志は怪しく光り、美しささえ覚えさせる。人に在らざるにも関わらず。⑨

2016-08-23 07:43:20
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

次に彼女の来る先は生贄の牧場であった。かつて彼女も通った、口にするのもおぞましい光景。人の尊厳を奪い、ただの仔袋へと変えていく不浄の過程。 しかし今の彼女はその光景を一瞥したのみで。汚濁の太刀を振るい、薙ぎ払う。人もオークも平等に。悲鳴さえ上げられず。ただただ肉片と化した。 ⑩

2016-08-23 07:47:19
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

そこから先は地獄の釜が開いたが如き惨劇であった。姫騎士ゾンビに喰われた人間がゾンビへと変貌し、オークを襲った。 弱きオークは岩肌や裏道に身を隠した。しかし数々のヒトを貶めた強きオークは果敢にも立ち向かった。だが無情。同族までもがゾンビと化していた。彼等もまた、喰われたのだ。⑪

2016-08-23 07:51:07
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

戦闘経験はともかく、数こそが力であった。ヒトとオークが揃ってゾンビとなれば数は2倍。その為にオーク達の抵抗はあっけなく瓦解した。 僅かに残った者達は隠れて散発的な戦闘を挑むのみとなった。そんな中、2匹のオークが住まいを飛び出した。彼等は連れ立ち、近くの池へと向かった。⑫

2016-08-23 07:55:27
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

『変わり者』と呼ばれた1匹のオークがいた。 彼は、女を辱めることや男を嬲り殺すことに興味を示さなかった。それよりも収奪した武器を扱い、ヒトで言う『武技』を磨くことに執心していた。 多くのオークは彼を侮蔑した。しかしその強さは明らかであった。ヒトを殺す時、彼は非常に重宝したのだ。⑬

2016-08-23 08:05:39
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

そのオークは、池で釣り糸を垂らしていた。これもまた、ヒトから奪った道具であった。幾つかの使用法を試し、辿り着いたのだ。そして辿り着けばそれもまた、修練となった。 不意に男の目が光った。アタリを感じ取ったのだ。素早く竿を上げようとした瞬間、声が響く。魚が、逃げた。⑭

2016-08-23 08:10:08
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

男は顔を顰めた。竿を上げ、立ち上がる。その手に持った魚籠には、数匹の魚が跳ねていた。 視線の先では、2匹のオークが駆けていた。酷く狼狽しているように見えた。彼も駆けた。魚と竿は、一時置いておくこととした。3匹が顔を合わせた。 まずは落ち着かせ、話を聞く。⑮

2016-08-23 08:13:03
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

プギィ。プギャ。プギョ。 彼等のみに伝わる言葉で、緊急事態を告げる2匹。それを聞くにつれて、男の顔は曇っていく。やがて、話が終わった。 「PUGYU……」 男は一声唸り、2匹を連れて森へ向かう。少し分け入ると、そこには武具の山があった。男はその内の刀を3本、手にすることとした。⑯

2016-08-23 08:17:48
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

2匹を森で待機させ、男は洞窟へと向かった。普段はその乱痴気騒ぎから寄り付かぬ場所であったが、異常事態ともなれば話は別だった。 道中、命からがら脱出を果たしたオークが彼にすがりついた。それすらも引き剥がし、森へ行くように言い含めた。そうして彼は、死地に立つ。 ⑰

2016-08-23 08:20:26
南雲麗/基本的に宣伝垢/不定期更新マン @nagumorei

「PUUAAHH!!」 蛮声を一声響かせた後、彼は洞窟を駆けた。見知った土地に遠慮はなかった。 「ヴァッ!」 「ブゴッ!」 雄叫びに気付いたゾンビ共が、僅か1匹のオークに隊伍を連ねて襲いかかる。しかし。 「BUHUUU!!」 彼は容赦も慈悲もなく、グレートソードで一薙ぎにした。⑱

2016-08-23 08:24:51