外科医師が麻酔中の女性患者にわいせつ行為で逮捕→医学クラスタが関係論文の翻訳や考察を展開

医学クラスタの本気を見た。 それだけこの事件が医学界に及ぼす影響が大きいということのようです。
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Takashi Okumura @tweeting_drtaka

「鎮静・麻酔中、ならびにその後の性的な幻覚」の仮訳、完了しました。20:41 からちょうど4時間。手術後に見る性的な幻覚に関するレビュー論文を、多くの方々の善意で翻訳できました。かなり驚くべき内容が書かれています。 docs.google.com/spreadsheets/d…

2016-08-27 00:42:11
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

手術に要する麻酔により惹起される性的な幻覚に関するレビュー論文、「鎮静・麻酔中、ならびにその後の性的な幻覚」の仮訳です。作業にご参加下さった方々、ありがとうございました。今回実名報道報道された事件の背景情報として、お役立て下さい。 docs.google.com/spreadsheets/d…

2016-08-27 01:20:53
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

おはようございます。おかげさまで既に相当数の閲覧があるようです。タイトルの和訳がこなれていなかったので、「鎮静と麻酔における、処置中ならびに処置後に生じる性的幻覚」と訳しなおしてみました。よろしくお願いします。 docs.google.com/spreadsheets/d…

2016-08-27 11:19:49
リンク Google Docs 鎮静と麻酔における、処置中ならびに処置後に生じる性的幻覚 (仮) 作業シート B. Balasubramaniam and G. R. Park, Sexual hallucinations during and after sedation and anaesthesia 「 鎮静と麻酔における、 処置中ならびに処置後に生じる性的幻覚」 仮訳 http:// onlinelibrary. wiley. com/ doi/ 10. 1046/ j. 1365-2044. 2003. 03147. x/ full 原文, 翻訳, コメント, クレジット Sum 167
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

【外科医師が麻酔中の女性患者にわいせつ行為で逮捕→病院側から抗議、逮捕に疑問の声も】まとめがありました。報道により、医師が既に相当な非難の対象になっている。「ほんとだとしたらしゃれにならない。医者失格というより人間失格。」 togetter.com/li/1016694

2016-08-27 11:53:30
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

この件、部外者には真相は分かりません。ただ、事実も確定しておらず薬物影響の可能性も高い状況で、名前の出た医師とその家族、勤務する医療機関に入院・通院する患者と所属する医療従事者に加え、手術をしている全国すべての医師患者関係に与える影響と引き換えて報道するだけの正当性があるのか。

2016-08-26 20:05:03
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

日本は、年功序列、通勤地獄、サービス残業と、抑圧が強い社会。皆、不満の捌け口を求めていて、政治家の不祥事、芸能人やその家族の違法行為、企業の不正、教師や医師の不貞行為といった「絶対悪」を見つけると、熱狂して誰かが死ぬまで石を投げ続ける。これは、マスコミもネットも、変わらない。

2016-08-27 14:48:24
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

そうした際、どう冷静さを取り戻すか。ネットによって、専門家や普通の方々のちょっとしたスキルを繋ぎ合わせ、質の高いカウンターを作り上げる環境が整った。それであれば、匿名で石つぶてを投げ続けるのではなく、理性に基づく連帯をはかることこそ、ネットに求められる社会的機能だと思います。

2016-08-27 14:57:13

医療行為中の唾液飛沫

Takashi Okumura @tweeting_drtaka

外科医の逮捕、患者の体から唾液が採取されたという物証がある、という情報を目にしました。定量的に計ることは難しいでしょうから、患者の体から医師の唾液のDNAが出たということでしょうか。でも、術前、術中、術後診察とずっと接触してる人物の唾液飛沫があること自体は自然だと思うのですが。

2016-08-27 22:27:00
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

手術中、医師は固く縛れるマスクをつけます。これは術場を出るときにはふつう取る。帰室した患者の診察に病棟に上がる際、マスクを着けずに行くこと自体は外科病棟なら大いにありうる。仮にマスクを着けていたとしても、くしゃみをしたら小さな飛沫はマスクを超える。

2016-08-27 22:35:23
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

くしゃみや咳がまったくまく、マスクを一切取らなくても、唾液が患者皮膚に付く可能性はあるか?参考になる考え方として、SSI(手術部位感染)というものがあります。手術では、感染しないように徹底的な清潔操作を行います。それでも一定確立で手術部位に感染が生じます。その原因は何かという点。

2016-08-27 22:39:14

確立→確率

Takashi Okumura @tweeting_drtaka

SSIの感染源に関する研究論文を見ると、やはりrespiratory dropletsは含まれる。まあ、ですから最高レベルの感染予防が必要な人工関節手術では写真みたいな防護をするわけで。onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.… pic.twitter.com/Db8qJmdpN4

2016-08-27 22:45:12
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Takashi Okumura @tweeting_drtaka

ですから、物証がDNAだけだとすると、どうにも弱すぎる印象。警察の鑑識、とりわけ、DNA鑑定をしている方は化学・農学枠の方のようですから、医療現場の状況が分からない可能性。法医学的に、舐めたかどうかを鑑定する技術ってあるのでしょうか?npa.go.jp/kanshiki/saiyo…

2016-08-27 22:51:13
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

「法医学的に、舐めたかどうかを鑑定する技術」、調べたらありました。法医学では、血液や唾液、精液、尿等を好感度に分析する必要があり、そのためのキットが市販されているみたいですね。ただ、同時に、興味深いこともわかりました。 onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.…

2016-08-27 23:07:18

好感度→高感度

Takashi Okumura @tweeting_drtaka

説明書を見たところ、test detects saliva from envelopes, glass bottles, cans, swabs, and plastic lids… ifi-test.com/wp-content/upl… pic.twitter.com/7wcEvq1z5w

2016-08-27 23:10:17
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引用の取扱説明書によれば、この検査キットはDNAではなく唾液中の酵素タンパク質、α-アミラーゼを検出するものです。抗原抗体反応を利用して検出を行うもので、試料を細長いメンブレンシートの一方の端の指定された位置にたらして一定時間待つと、α-アミラーゼが存在すればシート上の一定の位置に赤い線が現れます。

これとは別に、各種固体試料から付着したDNAを抽出して増幅しDNA鑑定に持ち込む技術も存在し、専用のDNA抽出キットが市販されています。
https://www.qiagen.com/jp/products/human-identity-and-forensics/human-identification-applications/molecular-forensics/molecular-forensics-workflow/pretreatment/investigator-lyseandspin-basket-kit?applicationflowStep={CD2AADAC-16E3-4C00-8AB7-9D6943136944}&StepName=Pretreatment&Page=2
このキットはタバコの吸殻から法医学鑑定用のDNA試料を抽出できると謳っていますが、患者の体表に付着した唾液飛沫の量はタバコの吸殻1個の付着量と比べてはたしてどのくらいだったのでしょうね。

Takashi Okumura @tweeting_drtaka

要するに、高感度の唾液検知って、モノに残っている唾液を検知するための技術。手術直後の患者の体を使ってやる検査とはいささか考えにくい。警察が発表した際、物証の存在は言及したのでしょうけれど、報道側はそれがDNAだったのか唾液のstainだったのか確認した上で報道してるのでしょうか。

2016-08-27 23:18:49
Takashi Okumura @tweeting_drtaka

DNA検知は感度が高いので、偶然ついた唾液を検知する可能性は少なくないのではと思って調べたら、「栃木小1殺害事件」で決定的証拠と考えられていた遺体の付着物(唾液)が、後に捜査幹部のものと判明した事例を見つけました。捜査一課長との話も。asahi.com/articles/ASJ2Q…

2016-08-28 21:12:09
リンク 朝日新聞デジタル 初動捜査ミス、逮捕に8年半 栃木小1殺害事件初公判:朝日新聞デジタル 栃木県今市市(現日光市)の小学1年吉田有希さん(当時7)が殺害された事件から10年あまり。殺人罪で起訴された勝又拓哉被告(33)は、29日の宇都宮地裁での初公判で関与を全面的に否定した 逮捕まで約8…

DNA鑑定は微量のDNAを増幅して分析するため、非常に高感度なのが大きなメリットですが、だからこそ現場での試料採取には細心の注意が要求されます。試料に採取者のDNAが絶対に混入しないよう、手袋をはめるのは言うに及ばず、唾液の付着をさけるためマスクを着け、髪の毛も落とさないようシャワーキャップのような帽子をかぶります。採取者の衣服から落ちるホコリの影響を避けるため、防護服を着ることもあります(この辺のことはニュース映像にもよく写っています)。また、試料採取前や後にも、むやみに他人に触られないよう証拠物件の保全が重要です。

記事には「ところが09年(注:2005年12月の事件発生から約3年後)になって吉田さんの付着物が、発生時の捜査幹部のものと判明。過って遺体と接した可能性が高いと考えられた。」とありますが、いったいどうしてDNA鑑定用の試料採取前に(DNA鑑定用の試料採取を担当する立場にあったとは考え難い)捜査幹部が遺体に接触するようなことになったのかと言いたくなります。

Takashi Okumura @tweeting_drtaka

外科医師逮捕の件、現時点で公開されている情報に限っても、医学的知識とちょっとした検索だけで相当な疑問点が浮かび上がります。実名報道している媒体、これら疑問点はすべてクリアしたうえでの報道でしょうか。権力監視の責務を放棄していないか。 twitter.com/tweeting_drtak…

2016-08-28 21:24:38

勾留理由開示公判