フォビドゥンフォレスト1話後編5・山小屋休憩

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フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

予定より長くなることが判明したため、後編5・6で完結に変更致します「フォビドゥンフォレスト1話後編4・森海探索開始」 togetter.com/li/1017723

2016-08-29 23:06:54
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(前回までのあらすじ:妖怪退治の為に禁忌の森へ入り、先頭を行く俺達4人。除雪をしながら順調に進んだは良いが、後方部隊と距離が空いちまったので山小屋で少し休んでくことにした。妖怪の正体も、そもそもいんのかも分かんねぇし長丁場も覚悟しねぇとな)

2016-08-29 23:15:43
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ラッタと恵里はベッドに横になると直ぐに眠りに落ちた。ラッタはいつもの様に朝から動き詰めだしスタミナが少ねぇから当然だ。恵里も結構疲れちゃいただろうが、コイツの場合はめっちゃ寝付きが良いだけだ。寝ようと思えばいつでも2秒で寝られる。どっかの野比家の息子さんと良い勝負だろう。 1

2016-08-29 23:16:45
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二人は一階の奥に二つあるベッドで寝てる。二階にはもうちょい立派なベッドがあるが、燃料の節約の為だ。森の中央から遠く、深度も浅いここはペンション並みに豪華だ。壊されにくいからな。キッチンや風呂もある。時間がありゃ、外の浄水装置に雪をぶっ込んで溶かしてシャワーでも浴びてぇくらいだ。2

2016-08-29 23:20:33
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俺と佐祐里さんは、2人の所とカーテンで仕切られた居間で茶を飲んでる。暖房は抑え目にしてるから紅茶の暖かさがありがてぇ。さっき食いかけて止めたレーションと流し込む。さて、なんか話そうかとも思ったが、改まると話題が出てこねえ。任務の話は情報が少な過ぎて憶測でしか出来ねえから無しだ。3

2016-08-29 23:27:10
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「…それで、どっちから行きます?」 俺が迷ってると佐祐里さんが話しかけてくれた。でも何の話だ? 「まず片桐くんに足を抑えて貰って、その隙に私が上半身を抑えて胸に手を…」 「いや待て先輩何の話だ」 「恵里ちゃんを襲う算段じゃなかったんですか?」 「おい、西条。おい」 4

2016-08-29 23:30:48
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「私を気まずそうに見てましたし…女性には言い難い相談かと…」 「今の流れだとむしろ先輩が主犯じゃねぇ…ですか」 位置的に俺下っ端悪党の役目だろ…いややらねぇけど。 「え、じゃあ私狙いでしたか!?すみません。次の機会には女子だけで先に休みますので」 「受け入れんなオイ」 5

2016-08-29 23:35:37
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「…いや、話題に詰まった時は天気の話、政治・宗教・スポーツの話、後はエッチな話って相場が決まってるじゃないですか」 「天気以外避けたほうが良い奴じゃねぇか…!」 「いやいやぁ~、それは初対面の場合ですよ」 「…にしたって会長とそんなアホな話する度胸ねぇですよ」 6

2016-08-29 23:39:45
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「すみません。男の子はこういうお話が好きかと思って」 「いや、アンタも大概だろ、西条さんよ」 「…私が悪かったので名字呼び勘弁して下さい。その攻撃は私に効きます」 先輩が胸と額を抑えて苦しんで見せる。 「私に…いや瑠梨ちゃんに苗字で呼ばれたらどうなるか想像してみて下さいよ…」 7

2016-08-29 23:42:55
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(はる君…いや片桐君) 「うぐっ…!!」 (さゆちゃん…じゃなかった西条さん) 「ひぃっ…!」 恐ろしいモンを想像しちまった…名前呼びの幼馴染が急に名字呼びになる…堪えるぞコレは…。 「って何、自爆してるんですか…」 「申し訳ございませんでした…私はなんて恐ろしいことを…」 8

2016-08-29 23:48:51
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自分の体を掻き抱きガクガクと震え、うっすら冷や汗と涙まで見える。明らかに俺の10倍はダメージが有るぞコレ。ドラ○エ5で言うと、はじけ飛んで一桁ダメージを与える自爆技くらい非効率だな。なんか妄想が妄想を呼びどんどん悪化してる気がする。話題を変えるか。丁度良いのが出来た。 9

2016-08-29 23:57:24
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「そういや昔、寝てる恵里に悪戯しようとしたことがあったんですが」 「えっ」 会長が座ってる椅子を手で持って、音を立てずに後ろにすっと下がる。距離を取られた。腕をクロスさせて身を守ってる。言い方は悪かったかも知れねぇが、さっきあんな話した人にこんな態度取られたくねぇぞ。 10

2016-08-30 00:05:19
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「いや、顔に落書きしてやろうと思ったんすよ」 逆回し的な動きで前に戻ってきた。 「何でまた」 「恵里ん家に泊まりに行った時で、なんだったか食事の後で喧嘩したんですよ」 「泊まりに行った先で喧嘩を…お家の人と気まずかったでしょう」 「まあそうですけど、話の腰折らねぇで下さいよ」11

2016-08-30 00:12:57
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「そしたらアイツ、俺が近づいた途端」 「寝言で『ハル…大好き』って」 「何悍まじい想像してんすか!あと俺の話の腰になんか恨みでも…!?」 俺は思わず身震いした。 「すみません、片桐くんで遊ぶのが楽しくてつい…でも片桐くんも後で恵里ちゃんに謝りましょうね…悍まじいって貴方…」 12

2016-08-30 00:18:10
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玩具扱いされた件はスルーして続ける。 「で、アイツ竹刀で俺をぶっ叩いてきたんすよ。間違いなく寝てたのに」 「あの……色々気になるんですが、まず竹刀は何処から?」 「え、そりゃ抱いて寝てたんすよ、ホラ」 俺はカーテンを少し開けた。恵里は鞘に収まった真剣を抱いて寝てる。 13

2016-08-30 00:28:54
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「………」 「あん時は剥き出しでしたからね。真剣だから当然ですけど、鞘に入れる様になっただけ成長したんすねアイツも」 カーテンを閉める。ラッタの安眠を妨害しちゃ悪い。 「常在戦場にも程がありません?」 「せめて枕元に置いて欲しいとこですけど…無駄です」 黙って首を横に振った。14

2016-08-30 00:29:47
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「それで…片桐くんはなんで生きてるんですか?」 「お望みなら何時でも死にますけど」 「そんな覚悟は要りません!…いやそんな重い話じゃなくてですね。竹刀とはいえ、恵里ちゃんの攻撃を食らって子供が生きていられる訳がないじゃ無いですか」 「そん時は恵里も子供だったの分かってます?」15

2016-08-30 00:34:55
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「いやそれでも…」 「…竹刀が焦げるような匂いしましたけどね。アイツが動いた拍子に俺の踏んでた布団だかがズレてすっ転んだお陰で躱せたんですよ」 「…追撃は?」 「ありませんでした。獲物を見失ってすぐにまた寝ました。今なら故意に転ばせて手前に引き寄せたり追撃もあるでしょうね」 16

2016-08-30 00:40:49
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「…本当に寝てたんでしょうか」 「そりゃあ、見りゃ分かりますよ。幼馴染ですし」 「むぅ…」 なんか難しい顔をしてる。 「アイツめっちゃ眠り浅い代わりに、どこでもすぐ寝てすぐ起きますからね」 「言われてみれば…」 先輩も心当たりがあるようだ。 17

2016-08-30 00:47:50
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この4人では初めてかも知れねぇが、恵里が泊まったり任務中に近くで寝てた経験があるんだろう。 「危なかった…」 「なんかしようとした覚えがあるんすか?」 「いえね、瑠梨ちゃんに恵里ちゃん並みの迎撃性能があったら、命が百個あっても足らなかったなぁ、と」 「瑠梨に何しやがったおい」18

2016-08-30 00:52:00
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「一つだけお教えしておきますと…普通に揉んだくらいじゃ、まず起きないですね」 「…おい西条……様、それは本当でございますですか」 「本当でございますですよ…私の指だからかも知れませんが」 傍から見たら俺達は悪い顔を寄せ合って指をワキワキと動かしてる感じだろうか。なんだコレ。 19

2016-08-30 01:00:18
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「…まあ、冗談はともかく…今の情報は本当ですが…私、絵里ちゃんや片桐くん達のことを結構知らないんですよね」 先輩は残りの茶を一気に飲み干す。そろそろ交代だ。 「そうなんですか…!…そうですかね」 後半に関してだけ疑問を呈する。先輩は俺達の事ちゃんと見てくれてると思うんだがな。20

2016-08-30 01:05:27
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「能力面については、私なりに見ているつもりですよ。そうじゃなくて普段の生活…プライベートの話です。無理に立ち入る気は無いんですが、出来れば距離を縮めていきたいですね」 俺も茶を飲み干す。今の体制になって半年ちょい。俺達は確かに戦闘面の体制の確立ばかりを優先してきてたな。 21

2016-08-30 01:11:27
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生徒会メンバーだけじゃねぇ…この半年間、大人も含めた僚勇会全体にそういう空気が有ったのは気のせいじゃねぇだろう。必死に戦闘態勢を安定させ、設備整備に注力して他をあまり考えなかった。実際、考える余裕がなかったのも確かだが、ある程度はわざと考えねぇようにした部分もあったと思う。 22

2016-08-30 01:15:33
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「そっすね。もうちょいして藤宮先輩たちが戻って、鳩寺が日本に帰ってきて、久浦達との連携も確立させて…そして雪融けして整備と点検を一気に終わらせたら…そんな余裕もどんどん増えて行きますよ。絶対。そしたら…」 「ええ、『今年』に何が有っても大丈夫なようにしましょう」 23

2016-08-30 01:18:59