【ヴァルプルギスの華燭】三日目夜

夜フェイズ、交流 その手を、その剣を
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アルティメット @ultbeelz

「はははっ、乾杯!」 グラスを片手に、波間打つ酒の水面の情緒も介さず、女人はフードの先を撮みながら、グラスを高々と掲げた。高らかで明瞭に、人一倍大きく声を上げていたことだろう。 喉を通る熱量に打ち震え、半分ほど飲む。 幾度として疑似なる死を体験したこの身には生きる活力が満ちている

2016-08-27 18:56:34
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

うん、と六人揃ったことに一つ頷いて、人形から杯を受け取った。深く濃い赤紫に目を細め、 「うん、乾杯」 軽く捧げて、一口。うん、美味い、と初日と同じ言葉を零しながら、一息に煽った。

2016-08-27 21:37:16
ジタ・トリウィア @walp_zi

乾杯の声に、ゆるりと相好を崩す。浮かべる笑みは柔らかく、白い双眸はただただこのときを愛しむように揺らいで。 「乾杯」 言葉は短く、杯を掲げる。杯の中で揺れるものは血よりも鮮やかで深い。いいものだな、と独りごちては目を伏せた。そして一口、ゆっくりと嚥下する。

2016-08-27 23:14:15
くちなわ @cuchinawa

「乾杯」 老酒を一度置き、赤で満ちたグラスを呷った。 くちなわにとって酒は自分で選んで飲むものであった。他者が選んだ酒を己の器に注がれる、とはどんな感覚だろう。 婚姻とはそういうことなのだろうな、とくちなわは思った。

2016-08-28 10:04:06
マリア・ガルシア @ro_akiyui

「乾杯」 三者三様の乾杯の声に、マリアもまた静かな声で後に続く。なめらかな動作でワイングラスに口をつけ、その中身を煽れば、良し悪しこそ分からないものの、美味しいとは思った。

2016-08-28 10:45:11
マリア・ガルシア @ro_akiyui

「最後の夜になりましたが」 ワインの残るグラスを揺らし、マリアは語りかける。 「皆様はどうでしたか?この三日間。私には得難い経験であり、喜ばしい三日間でしたが」

2016-08-28 10:45:27
ジタ・トリウィア @walp_zi

「夜が明けなければいい」 マリアの問いに返すそれはどこか冷たく響き、しかし一転。浮かべる笑みは、柔らかく。 「そう思う程度には、とても楽しく、幸せな、初めてで最後の三日間だったよ」 杯を回し、目を伏せる。終わりなんて。こなければいいのに、と叶わぬと分かっていながら願うように。

2016-08-28 11:46:40
くちなわ @cuchinawa

「得た物は多く。実りも多く。三夜で千年は楽しんだ」 我が何を与えられたかは知らぬがな、と続く。 「良きかな。また酒を交わし、剣戟合わせるもおかし…はまあ、我が侭か」 元の杯を取る。 「何しろ未だ二つばかり残っている故」 尼僧と、少女の頭を杯へ順繰りに乗せるよう動かした。

2016-08-28 11:55:02
ヤマナ @akumayamana

「この心を表すのに耐える言葉を知らぬ」 目を閉じて、微笑む。 「だが、この上なく、生きていた。生きて、生きた。そういう三日間だった」 薄っすらと目をひらき、戦った三人をみた。そして、戦えなかった二人も、見た。

2016-08-28 20:38:37
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

「楽しかったよ。楽しかったとも。飽きるにはまだ早いと、そう思ったよ。ああ、ひとりで過ごしていた時間を少しばかり悔やみそうになったの。…しかし、故に此度の機会があったと思えば、帳消しにして余りあるか」 この三日間を惜しむ。

2016-08-28 20:49:14
リーズヴォルプ @varp_m_rizvolp

力を交わすも言葉を交わすも懐かしく新鮮で、そしてなにより楽しかった。楽しかったのだ。 「……その、今回の催しを終えたあとでも。今後も、会えぬだろうか?」 友が欲しいと、彼は言う。

2016-08-28 20:49:35
アルティメット @ultbeelz

「妾にとって非常に有意義な日々だった。吾は満足したことだし、腹も膨れた」 いつの間にか二杯、三杯と飲み進めた女人。首の座らぬ赤子のよにして頭を揺らす。 くちなわが掲げる杯を見上げ、眺める之の口が歪んだ。 「妾も同様。妾は男を娶るのが目的だが、女も食いでがありそうだったのに」

2016-08-28 23:40:43
アルティメット @ultbeelz

そこばかりは残念なところ。もう一杯ぐびっと呷りて、から。 ふいとリーズヴォルプの声に反応した 「妾は無論。友になることも伴侶を得るでも構わない。共にあるというのはそれだけで愉快なことよ」 その先に何があるかは推して測るべし。

2016-08-28 23:41:19
マリア・ガルシア @ro_akiyui

各々の話に耳を傾け、その全てを聞き終えた時、マリアはただ「喜ばしいことです」と言ってグラスの中のワインを飲み干した。後に残るのは美しく磨かれた透明のガラスで、灯りを反射して輝くのをほんの少し眺めた。 「私は……どうでしょう。力を試したいわけではありませんので」

2016-08-28 23:57:44
マリア・ガルシア @ro_akiyui

くちなわとアルティメットの言に、マリアは頷くのを躊躇った。 マリアが殺すのは信仰だ。それは欲求に由来するものでなく、命の価値を示す為の儀式に近い。 戦わずにいるのなら、それはそれで良いような気もする——そのように思って、マリアは自分が感傷的になっていることに気が付いた。

2016-08-28 23:57:58
マリア・ガルシア @ro_akiyui

久しぶりに人前に目を晒したが為に、寂しさを思い出したのかもしれない。 マリアは自嘲気味に笑むと、リーズヴォルプへと顔を向け。 「会えるかどうか、私は分かりません。連絡手段がありませんし、常に旅の身であったが故に定住の地も持ちませんので」

2016-08-28 23:58:36
マリア・ガルシア @ro_akiyui

共に過ごす者でも無い限り、己の居場所を知る者は無いでしょう、と。マリアは言う。友を得られれば、それは良いことだと思いますが、と。

2016-08-28 23:59:58
ジタ・トリウィア @walp_zi

「また集えばいい」 彼はそう笑って、杯に口をつけた。ゆらゆらと中身を揺らして、皆を見回し。 「個別に会いにいくも、またこうして集うも、強き者(おれら)なら、可能じゃないのか?」 どれだけ離れていようと、距離でそれを諦める弱き者はこの中にいるだろうか。煽るように笑って。

2016-08-29 00:17:02
ジタ・トリウィア @walp_zi

「マリアのように定住を持たないのなら、連絡を取れる者が伝えればいい。連絡手段はこれから作ればいい」 不可能ではないだろう? と言外に滲ませ、ジタは笑っていた。それは傲慢な笑みでもあった。豪胆な微笑みでもあった。 「それか、マリア」 白い双眸が動く。 「定住を持つ気はあるかい?」

2016-08-29 00:17:12
マリア・ガルシア @ro_akiyui

ジタの言葉に、ああそうかと頷く。マリアは長い時を己の足だけで旅をして過ごして来た。果てしない距離も大したことではないと思えるほどに長く、長く。 会おうと思えば会えるだろう。マリアはただ考えなかっただけだ。誰とも長く触れ合わず、何処にも留まらず、一人でいることを当然としていたから。

2016-08-29 00:45:33
マリア・ガルシア @ro_akiyui

マリアはグラスを人形に渡し、祈るように手を組み合わせ。 「私一人では、ありません。ですが……」 ジタの白い双眸に向き合い。 「たとえば、ですが。もしも貴方のような強きお方が私にそれを求めるのであれば。私は何処か一処に留まることも考えましょう」 柔らかな声で、そう言った。

2016-08-29 00:48:37
ジタ・トリウィア @walp_zi

「うん」 その声は、柔らかく、穏やかに。 「なら、マリア。俺のとこにおいで?」 ジタは、彼女に向かって手を差し出した。黒衣から覗くそれはただただ白い。 「俺は『異端』だし、あまり心地の良い生活をさせてあげられる気はしないけど」 それでもいいのなら、と微笑み、双眸を緩めた。

2016-08-29 01:14:15
マリア・ガルシア @ro_akiyui

差し出された白い手を見つめ。 「私、」 白い手袋に包まれた手を伸ばす。それがジタの手に触れよう、と言う時、マリアはその手を躊躇うように止めた。 「……心地良い暮らしなど、私、してきませんでした。野宿の方が多いですし、いつだって死体と共に暮らしてきたようなものです」

2016-08-29 01:41:37
マリア・ガルシア @ro_akiyui

育ったのは石の山、粗末な祭壇で。心地良いと思ったことなど殆どない。 「だからきっと、何処であれ私にはそう辛いことはないと思うのです」 人と人との諍いごとについては分からないけれど、と苦笑して。 「むしろ、私で宜しいのでしょうか」 私は殺すことしか知らないのに、と。

2016-08-29 01:41:45
ジタ・トリウィア @walp_zi

「殺し以外知らないのなら、これから覚えていけばいいんだ」 俺も似たようなものだけどね、と付け足しながら微笑む。そうして、自らの生まれた処を思い返すように窓の外、夜空を見上げて。 「物的には困ることはない、と思うよ。柔らかい寝台も、部屋も、君が望むなら何でも用意できる」

2016-08-29 02:07:20