フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #1 「交戦」

フォビドゥンフォレスト＠カクヨム投稿中 @fbd_forest

小グモの死体を脚にぶつけられた中グモが転倒する。恵里が跳ぶ。宙舞う鞘の下では、片膝立ちのラッタが恵里のいた場所へ光弾を放つ。転んだ中グモが吹っ飛ぶと同時、恵里は組まれたラッタの両腕の上に着地し、俺は鞘をキャッチする。鞘のスライド部をずらしロックを外す。３つのダイヤルを回す。 18

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ダイヤルについた小さい宝珠が光る。上から赤、黄色、緑。それぞれ炎、光、電気の属性のミニオーブだ。３つのダイヤルはそれぞれ属性自体の力、剣に付与される効果、使い手への付与効果になる。スライドを上へ戻すと電子音が響く。 ＜ファイヤー！ブロード！スキッピング！＞ 19

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「おぃ恵里ぃ！」 ラッタの補助で高く跳んだ恵里に鞘を投げ渡す。 「嵌めろ！」 「うん！…え。あ、ああ～！」 今思い出しやがったなコイツ……！恵里の分際で上出来だ褒めてやろう。 鞘を貫かんばかりの速度で剣が突き出され、ぴったりと納刀される。魔力が剣と使い手に送り込まれる。 20

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鞘を俺に投げ返す勢いで振り捨てると、刀身から炎が延びる。 「うわぁ」 恵里が変な声を出す。 「こんなのもあったわね…忘れてた。おっと」 地上のクモが吹きつけた糸を炎の剣で焼き払い、俺の刃を踏んで跳ぶ。後半を小声で言ってたが聞こえてたぞ。刃のセンサーは俺に連動してんだからな。 21

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不安定な足場ながら、恵里の跳躍は今さっきのラッタの補助付きの時に迫る勢いだった。炎は１つ目の赤オーブ、長い追加刀身は２つ目の黄オーブ、跳躍力は３つ目の緑オーブの効果だ。恵里の武器はミクスカリバー。剣と使い手に能力を付与する。これは先輩じゃなく作った博士が名付けた。 22

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３つのダイヤルに７つずつ付いたオーブで組み合わせは３４３通りだが同じ色が一番相性が良いらしい。さっきまでは全部黒い風系統で、風の力で剣をコーティングし命中補正を与えてくれていた。一番地味だが相性が良かったのか、恵里はコレばっか使ってるうちに他を忘れちまったらしい。 23

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恵里は俺の刃と樹上を連続で飛び渡って撹乱し、最後の中グモを行き掛けに瞬殺、大グモの一匹の脚を半壊させる。同時に俺達も最後の小グモを全滅させた。大グモどもは俺達の足止めに加えて仲間を踏み潰さねぇ様ににしてたから今追いついたとこだ。殺気が強まってんのは気のせいじゃねぇだろうな。 24

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残った大クモは今脚を斬られたのと、繭みてぇ塊を背負ったの、そして他より２割増しででデケえのの３匹だけだ。第一陣の連中が引き返してくる様子も後続がいそうな様子もねぇ。 「さあ、一気に勝負をつけましょう。油断しないで！」 先輩の掛け声と共に決戦が始まった。 25

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