フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #1 「交戦」

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「フォビドゥンフォレスト１話・英雄たちの遺産　全編まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1020459

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「フォビドゥンフォレスト登場人物紹介（主要人物１）」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1020993

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（前回までのあらすじ：俺は片桐。高校生だ。毎朝幼馴染の神社の娘、北里瑠梨を起こしに行ったり、仲間のクワガタの面倒を見たり、学校では生徒会をして過ごしてる。そんな俺の住む風科(かざしな)は緑ばっかの平凡な田舎だが、裏には秘密がある。北の禁忌の森に人を喰う妖怪が住んでやがるんだ）

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（その妖怪どもを僚勇会(りょうゆうかい)っていう地元の人間で作った組織が秘密裏に退治してる。俺や幼馴染の永友礼太、的場恵里、それに瑠梨の幼馴染の西条佐祐里先輩もここに所属してる。周りは大人ばっかだが、俺達は森の瘴気に対する抵抗力が強いんで、森に入るときゃ先頭の主力をやってる）

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（年が明けて暫くした月曜。北東で確認された謎の反応を追って、俺達は森へ入った。発見から半日経っても、種類も本当に妖怪かも分からねぇとは滅多にねぇ事態だ。警戒しながら進んでった俺達が出くわしたのはバケグモの大群だった。人も動物もロクにいねぇこの時期にどうしてここまで増えやがった？）

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(北から２０匹位の集団が２つ。俺達４人だけじゃ厳しすぎるんで、やり過ごして後続部隊と挟み撃ちにするつもりだったが、２つ目の集団の通過中に気付かれちまった。雪に掘った穴に隠れてた俺達はこのままじゃ包囲されちまう。こっちから打って出るしかねぇ！行くぜ！)

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フォビドゥンフォレスト２話「バケグモ大進撃」 #1 「交戦」 実況・感想タグは #禁森実況 でお願いします。

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バケグモが迫る。雪穴の中で背中から二本の剣を取り出す。俺の専用武器だ。刃渡りは５０ｃｍ程、２０枚のＳ字の刃がカッターナイフみてぇに連なってる。持ち手の上にはこの２０本を支えるＬ字状の刃が前方へ延びてる。魔力を込めると、左右の剣の先端側から十枚ずつ刃が離れて空へ飛んだ。 1

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「跳べ！」 俺の合図で全員が雪穴を跳び出す。クモどもの口からの毒液や尻からの糸を、回転させた１２枚の刃が防ぐ。残りの８枚を踏み台にして、さっき倒れた木の上に着地する。二陣が来る前に切れ込みを入れて、倒れやすくしておいたんだ。先輩、俺、ラッタ、恵里の順で木の先端、東側へ走る。 2

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俺の能力はブランチ・ブレインっつう並列思考能力だ。先輩が名付けた。最大５０個くらいの思考を並列できる。全開にすりゃ俺の剣の４０本の空飛ぶ刃と本体の２本での同時攻撃も出来る。まあ切れ味は恵里の剣には全然及ばねぇが、今みてぇに足場にもなるしセンサー付きだから戦場の把握も出来る。 3

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俺達が東へ走る間に、さっき電源を切った通信機が再起動した。逃げながら手元から放っといたコクワガタのノゾムがスイッチを入れたんだ。奴はこれといった特技はないが、割と知能が高い。これで後方部隊の桐葉さん達にも状況が伝わる筈だ。同時に俺の背後で先輩の中から電子音が鳴る。 4

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<cyclone！/ゼニス！> 英語発音とカタカナ発音の電子音が響く。銃口から放たれた光弾は、敵中央の頭上３ｍのところで一瞬止まり、そっから両側へ拡散し包み込むように敵の両翼に降り注いだ。小グモが何匹か吹っ飛ぶ。中グモ以上には足止めにしかならねぇが、それが今の攻撃の目的だ。 5

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先輩の武器は、魔力と術の入った二枚の８ｃｍレコードの力を混ぜて使える。今のは必中効果もある風と、雨みてぇに攻撃を降らす奴の組み合わせだ。左の属性１２種・右の追加効果１２種と左右共用２種で、剣と銃の２モードある。組み合わせは３３８通りか…使えねぇ組み合わせもあんだろうけどな。 6

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この武器はレコードアームズっつって「裏」の世界では今も量産されてる。２枚併用するコレは特注品だけどな。術の記録容量はＣＤやＵＳＢメモリ型の奴のほうが多いらしいが、耐久性と入る魔力の容量はこっちが上だ。先輩は低めの耐魔力を魔力を燃やして補ってるんで、レコードのほうが都合が良い。 7

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先輩と俺の攻撃を主軸に敵を食い止め、包囲を脱する。クモ共は俺らの周りにいたチビ連中を先頭に幅広の∨字陣形で追ってくる。まずこれを始末し、次に前進の勢いのまま向かってくる北側の親グモ、最後に切り返し中の南側の親グモ、の順で相手出来そうだ。狙った訳じゃねぇが最善かも知れねぇ。 8

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連中のサイズと能力を整理しとく。小グモは体高３０ｃｍ、糸は粘着力が弱ぇ上に真後ろにしか出せねぇ。威力が低い俺の刃でも簡単に殺れるが、身軽で牙には溶解毒があるから油断は出来ねぇ。５０ｃｍの中グモからは、牙の溶解毒に加えて、麻痺毒を吐く上に尻を背の方に曲げて前方に糸を吐く。 9

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１ｍの親グモは更に上位互換だ。毒の濃度も噛む力も上がるし、踏みつけにも注意だ。尻を腹側にも曲げるようになり、体高が上がっても死角が無ぇ。走力も時速３０ｋｍは軽い。さっきまで鈍かったのは、小グモに合わせてただけだ。大中小通して体が柔らかく、角度によっちゃ弾も刃も弾いちまう。 10

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残りは大型３、中型は恵里が殺ったのを除いて５、小型が今蹴散らしたのを除いて１２だ。中・小の連合から突っ込んでくる。 「せりゃああっ！」 中グモが恵里の一閃で真っ二つになる。剣を振り切った恵里に小グモが２匹突っ込む。恵里は無視して、走ってくる次の中グモに注意を向ける。 11

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「ビィィィ！」 だっせぇ掛け声と共に、ラッタが突き出した腕から光線が放たれる。恵里狙いの２匹は光に飲まれ跡形もなく消滅した。光と熱を操るラッタの能力はブレイブ・ビーム。これも会長が名付けた。掛け声はだせぇが威力は折り紙付きだ。だせぇけど本人には言うんじゃねぇぞ。 12

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二人を主力に、俺と会長は後方の敵を左右から牽制して包囲を防ぎ、殺れそうなら数も減らす。今んとこ大回りしてまで包囲を狙う知恵は見られねぇ………それは良いがこっちにも知恵が見られねぇのがいる。 「おぃ恵里！」 中型２匹目、いや最初のを入れて３匹目をぶった切った恵里に呼び掛ける。 13

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「何！？」 こっちへ振り向き様、鞘の振りと蹴りでチビを２匹倒しながら恵里が聞き返す。 「お前、毒腺と糸袋斬んなよ？体の真ん中だぞ！？」 「え、でも神経節も真ん中だし。今んところ平気よ？」 一回転して小グモをもう１匹ぶった切りなから、もっぺんこっちを向いた。 14

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「切れなくなったらどうすんだアホ！」 恵里はクモを正中線沿いに綺麗に真っ二つにしてやがる。確かに神経節も真ん中だし、虫系の妖怪は脳と神経節をまとめて壊さねぇと即死しねぇ。一見すると正しいが、毒腺と糸袋まで一緒に斬っちまうのは不味い。頭と尻は角度を逸らして斬るべきだ。 15

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「もー。大丈夫だって。糸と毒がつく前に斬り抜けちゃえば」 後ろを振り向く。 「平気でしょ」 迫ってきた中グモの脚四本を斬り頭を落とし胸から尻近くまで斬って止め、頭を突き刺す。 「それになんか分かんないけど剣に風くっついて、邪魔なの吹き飛ばしてるし」 「え、お前何つった今？」 16

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「糸と毒が…」 駄目だコイツ。完全に忘れてやがる。剣が纏ってるその風は鞘の効果だし、今の状況ならもっと良いのがあるってのに。 「違ぇよ！恵里お前…鞘こっち貸せ！」 「え？良いけど…はい」 恵里はチビを踏み殺し、つま先で後ろに放りながら鞘をこっちに投げてきた。 17