フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #2 「繭」

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フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

衝撃が響く。周囲の木から雪がドサリと落ちる。 「はぁぁぁっ……!」 空中のラッタが両腕を糸巻き遊びみたいにしてグルグル回す。 <Lightening/ウェーブ!> 先輩もレコードを交換して右手でしっかりと抑え、恵里も剣を再納刀して力を貯める。俺は繭を救出中。 20

2016-09-09 00:05:58
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「ビイイイイイイイ!!!」 「ライトニングウェーブ!」 二人の掛け声が重なり、デカブツが光線と雷光に飲まれる。瞬く間に見事に消し炭になった。あれ、恵里は? 「ハル!行くわよ」 「…は?」 なんかこっち見てる。 「せりゃああああっ!」 特大のS字波が俺の足元へすっ飛んできた。 21

2016-09-09 00:14:07
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待て待て。この死に損ないをぶった切って、救助しやすくしようってのは分かるが、そんな強いの飛ばされたら繭もやべぇ…と思ったが、波は飛んで来る間に程よいサイズに縮んだ。クモを殺しながら、厚さ数cm程の表皮が後ろへと滑り落ちていく。短期間でコツ掴みすぎだろお前よ…。 22

2016-09-09 00:19:39
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<Joker/ウェーブ!> 魔術無効化の属性レコードを使い、糸を広範囲に薄く打ち消す。密度の薄くなった繭を俺と恵里で一気に切り裂く。 「大丈夫。生きてます」 先輩が生死を確認し、安堵の溜息をつく。すぐに回復属性のレコードに再交換して撃ち込む。ラッタは周囲を警戒してる。 23

2016-09-09 00:30:58
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既に桐葉さん経由で、後方両翼の部隊には敵集団のことは知らせてある。中央の桐葉さんの部隊は既に反応をキャッチしたらしい。間もなく交戦すんだろう。繭に入ってた人は20歳位の女、恵里が所持品をチェックしてる。スキーウェアを着てるが、ところどころボロくなってる。 24

2016-09-09 00:36:09
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俺はといえば、圏外になったりダメになった刃を拾い集めてるところだ。 「ハル…大丈夫?」 「まあな…誰かさんに3枚も蹴り壊された以外は必要経費だろ…」 「え…私?いや…だって。ハルが急にあの鞘使うから」 「お前が普段から使って慣らしときゃよかったんだろうがよ」 25

2016-09-09 00:39:59
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「だって普通モードが一番使いやすいんだもん」 「せめて模擬戦では色々使えよ。データ取れねぇだろうが…博士に頼まれてただろ?」 「博士が『使いやすいように使って』って言ってたもん」 「社交辞令だろ…」 あの人、押しに弱そうだもんな…。無理にデータ取れとか言いそうにもねぇ。 26

2016-09-09 00:44:34
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「お前、やりゃ出来るんだから普段からやれよな…」 「やめてよ!私がダメな子みたいに聞こえるじゃない!」 「ダメな子だって言ってんだよ…」 「え…あ、お財布見つけた」 財布が服を探ってもねぇと思ったら、繭の底にくっついてたらしい。これ幸いと話題を打ち切り、カード類を探す。 27

2016-09-09 00:48:29
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「う…」 「気付きましたか?もう大丈夫ですよ」 救出された女が目を覚ましたらしい。先輩がゆっくりと話し掛け、水を飲ませる。意識がはっきりするにつれ、徐々に呼吸が荒くなる。 「助け…助けて…!」 「大丈夫。もう大丈夫ですよ」 先輩がそっと女を抱きしめ、背中を撫でる。 28

2016-09-09 00:53:53
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それで安心したのか呼吸は落ち着いてきたが、起きているのにうわ言のように同じ言葉を繰り返すばかりだ。 「助けて…助けて!!」 「大丈夫。本当に大丈夫です。もうすぐ町へお連れしますから」 「違うの!…………あの人を助けて!」 「!?」 29

2016-09-09 00:56:14
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フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #2 「繭」終わり #3 に続く 実況・感想タグは #禁森実況 でお願いします。

2016-09-09 00:57:47