(新連載まとめ7)朝の三分小説〜おかん〜(二人のさだみつ編)

カメックスシ @agodenderu

おかん七十七 おかんは日頃の疲れを癒すため大町温泉街に立ち寄っていたが、おかんは温泉に入る金も温泉まんじゅうを買う金も持ってはいなかった。 「どっかにいい車落ちてないかなぁ」 とか言ってると違法駐車されている島根戦車をみつけた。

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おかん七十八 おかんが島根戦車をレッカー移動させようとすると車の持ち主の悪魔神官レザロが戻ってきた。 「てめぇ、うちの車に何しやがる、奉行所に提出してやる」 しかし、騒がしい二人は島根戦車の中で冬眠していたツキノワグマを起こしてしまい、一方的に叩き潰された。

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おかん七十九 おかんとレザロはツキノワグマの十万ボルトによって瀕死状態まで追い込まれ、自分の戒名はエコライフ院リサイクル居士にしようと考えていた時だ。大きな刀と千羽鶴て出来た鞭を持った青年が地中から現れ、ツキノワグマに関節技を決めて追い払った。 「大丈夫ですか、おかんさん」

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おかん八十 「あんた私のこと知ってるの？」 おかんはそう言いつつも青年の素肌に袖無しデニムジャケットをズボンに入れてるファッションは未来人とか異次元人レベルの謎センスだとか考えてた。 「ずっとツイッターで探してましたよ、用があるんです」 「えっしまむら連れてって欲しいの？」

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おかん八十ー 謎の青年とおかんはしまむらで新しいマフラーを買って取り付けた。 「それであんたなんなのよ、ストーカー？」 「私は剣豪探偵のムーンライトさだみつって者です」

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おかん八十二 「兄ちゃん僕と同じ名前だね」 「そうか、君もムーンライトさだみつっていうのか。それはさておき、今世界は破滅の危機を迎えているのです、 ドクタークロの楽しい人造人間軍団によってね」 「いや、私シングルマザーだし関係ないよね」 おかんは今の生活の方が一大事なのだ。

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おかん八十三 「関係ないじゃないです。あなたは一度ドクタークロに勝利している」 「そこが引っ掛かるんよ。奴は佐渡島の爆発に捲き込まれて死んだはず、死人が生き返るなんてことは決してありえないんだ」 その後、結局おかんはクオカード五千円分に釣られて参戦することになった。

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おかん八十四 ドクタークロの自宅がある豊科に向かうためおかん達は飛行艇に乗り込んだ。 「ドクタークロはこの夏、七体の人造人間(特許出願中)を使って世界中で悪さするつもりです」 「ヤバいねそれ」 おかんは特に興味はなかった。

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おかん八十五 ドクタークロの実家(一軒家)に乗り込むと中ではマグロ解体ショーが行われていた。 「やっぱり大トロは大きいなぁ、ってさだみつめ、またハローワークの人を連れて来やがったな」 「私はハローワークの人ではない。どっちかというとそっち側の人だ」

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おかん総集編十五 ドクタークロは別に無職ではない。今は人造人間ふれあいセンターのオーナーをやっているが従業員もいなければ場所もない。そして、週末に駅前で無許可の交流イベントを開いては警察に連れていかれている。つまり、無職ではない。

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おかん八十六 「あんた佐渡島の爆発に巻き込まれたんじゃなかったの、健康そうだけど」 「わしはスーパーしが様から新たな命を授かったのだ」 ドクタークロは体内から信玄餅を取り出して見せる。これを核として生き長らえたという訳だ。

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おかん八十七 ドクタークロは焦っていた。人造人間はまだ二台と三分の一しか完成していない。 「くそぉ７０型、７２型、わしがＳ７２型を造るまで時間を稼いでくれ」 ドクタークロが居間の襖を開けると炬燵で不良少年(７０型)と半裸のおっさん(７２型)がアカデミーの宿題をしていた。

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おかん八十八 「あれ、おかんさん。もしかして彼らそんなに悪い奴じゃないんじゃないですか」 「いや、ぶっ潰すよなんとなく」 おかんのその無慈悲な発言に人造人間達はおびえ、「そうだ、ワンピースの歌を歌ったら元気が出るぞ」という発想に至った。

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おかん八十九 「体中に広がるパノラマ～」 「うるせぇ」 おかんは人造人間を背負い投げて縄文土器にぶちこんだ。 そして、次におかんに立ちはだかるのはムーンライトさだみつ(大)である。 「もう、人造人間いじめはやめましょう、彼らはそんなに悪くない」

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おかん九十 二人の決戦は囲碁で行われることになった。(おかん八級、ムーンライトさだみつ十級)しかし、二人のバトルから出たエネルギーでドクタークロは風呂を沸かし、風呂に入ってリフレッシュした頭脳で人造人間の開発を進めてついに完成、培養ケースがオープン。 「さあ目覚め……死んでる」

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おかん総集編十六 人造人間Ｓ７２型の失敗の背景には図面よりも杭が三本ほど足りてないという事実があったらしい。Ｓ７２型は餌に鰹節を混ぜることでカリウムやビタミンＤを多く含み、激しい戦闘に耐えることが出来る強度を保つことをコンセプトに開発された。オオクワガタでも三分で倒す事が可能だ。

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おかん九十ー 「こうなったらわしの信玄餅を半分分けて人造人間Ｓ７２型を復活させてやるわ、お前達ももうご臨終だぞ、って誰もいねぇ」 その頃、おかん達五人はスーパーのタイムセールに参戦していた。 「こっちだ、卵パスして、卵ッ」 「ディフェンスは任せてください」

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おかん九十二 卵と味噌を買ってスーパーから出たおかん達の前に現れたのは派手なスーツの紳士だ。 「はじめまして、私が人造人間Ｓ７２型です」 「なんてことだ、ついに完成してしまったのか」 「そう恐がらないでくださいムーンライトさだみつくん。今日は楽しいＳ７２型ゲームをしに来ましたよ」

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おかん九十三 スーパーの駐車場には特設ステージが設置され、スーパーボールすくいやヨーヨーつり、わなげ、射的などが用意されていた。 「さあやれ、人造人間Ｓ７２型よ。こいつらに絶望を見せてやれ」 ドクタークロは焼きそばを焼いていた。 「お見せましょう、我が力を」

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おかん九十四 人造人間Ｓ７２型は元お祭りマスターのおかんによって叩き潰された。 「ぐおおおおん、こうなったら完全版になるしかないぃぃぃん」 Ｓ７２型はスーパーに駆け込むと牛乳を手当たり次第に飲み始めた。カルシウムを採ることで丈夫で健康な身体が作られるのでみんなも牛乳を飲もうね。

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おかん九十五 完全版になった人造人間Ｓ７２型は圧倒的な暴力によりおかん達を圧倒、それを見て恐れた小鳥達は唄い、枯れ木は花をつけた。 「んー、みなさん春が来る前に死にますなぁ」 「まだ終わりじゃない、このエコライフ院リサイクル居士は負けないよ」 おかんは一人立ち上がった。

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おかん総集編十七 おかんとＳ７２型がスーパーの駐車場でどつきあっている頃、特許庁では。 「先輩、また人造人間の特許出願ファックスが流れてきました」 「またかよ、こんなゴミアイディア却下だ。ロケットで宇宙にでも飛ばしておけよ」 これが後にポロロン星技術大革命のきっかけとなった。

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おかん九十六 「おかんとやらも大したことはなかったですねぇ、この人造人間ビームでお仕舞いですよ」 おかんが人造人間ビームから咄嗟に身を守ろうと振りかざしたのはエコバッグだ｡人造人間ビームはエコバッグに弾かれてどこかへ飛んで行った。持ってて良かったエコバッグ。

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おかん九十七 「なんですかこの邪悪なオーラは」 人造人間Ｓ７２型が感じ取った漆黒のオーラはおかんから放たれている物だとすぐに理解した。 「お前が人造人間ビームを撃つから卵が割れたんだよッ」 おかんは怒りと悲しみと食物繊維によって自らの限界を超え、漆黒おかんとなったのだ。

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おかん九十八 おかんと人造人間Ｓ７２型の闘いは一般人には目視し難いほどの激しい空中戦となり、殴り飛ばされたＳ７２型はハローワークに突っ込んだ。 「しまったここはハローワーク」 ハローワークからは無数の手が現れ、Ｓ７２型を引きずり込んでいく。 「やめろぉ、まだ働きたくないぃ」