恋を知らない君へ

こすもす@２月にログアウト @sail__fragrance

恋を知らない君へ 1 長い間来てなかったおばあちゃん家 今日はお祭りで５年ぶりに予定があったから1人で帰省中 【萌ー そろそろ太鼓がこっちにくるよー】 「今行くー！」 部活の合宿とこのお祭りがかぶってて引退して久々来れた やっぱりお祭りはかっこいいなぁ

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恋を知らない君へ 2 神輿を担いでる人がかっこよかった 「かっこいいなぁ…」 いつの間にかその人を目で追ってた 友達と話す姿、汗をふく姿… きっと私はその時からあなたに恋してたんだ 一目惚れだったんだ

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恋を知らない君へ 3 でもそんなこと思っても名前もわからないし、また会えるかもわからない いや… きっともう会えない… お祭りは無事終わった でも心残りはただひとつ あなたにもう一度会いたい でもそんなこと叶わない… そんなこと考えながら眠った

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恋を知らない君へ 4 『おばちゃーん！ これ回覧板！』 【はーい！】 朝っぱらからうるさいなぁ その声で目が覚めた うるさいなぁ… あっ… 昨日のお神輿の人だ… 『おばちゃん この人は？？』

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恋を知らない君へ 5 【孫の萌なのよー 今夏休みでこっちにきてんのよー 昨日も祭でずいぶん喜んでくれてねぇ笑】 「で… おばあちゃんこの人って？」 【あぁ～ この子は隣の家の子の錦戸さんとこの息子さんの亮ちゃん いつも困った時は助けてくれるのよ】

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恋を知らない君へ 6 「あぁ… どうも」 『どうも…』 【この子ね8月いっぱいまではこの子こっちにいるから亮ちゃんと仲良くね！ 萌もこっちに来るの久しぶりなんだから、亮ちゃんに案内してもらったら？ 亮ちゃんお願いしてもいいかしら？】

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恋を知らない君へ 7 『俺は別にえぇけど…』 【じゃあ、亮ちゃんお願いね 萌、はやく用意してきなさい】 「はーい」 昨日のお神輿を担いでた時とはなんだか雰囲気が違った… お祭りマジックだったのかな？ これから私の8月がどんなふうになるのか予想もしていなかった

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恋を知らない君へ 8 『いつぐらいから来てんの？』 「7月28日からです…」 『そっかぁ… あとタメでえぇよ』 「わかった あの… 錦戸さんって何歳なの？」 『亮でえぇよ？ 俺は高３やで 萌ちゃんやっけ？ いくつなん？』

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恋を知らない君へ 9 「私も高３」 『あっ そうなん！？ 同いやん！』 「ほんとだね！」 『萌ちゃんは進学するん？』 「うん！」 『じゃあもう将来の夢とか決まってんの？』 「保育士になりたいなぁって」 『すごいなぁ』

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恋を知らない君へ 10 「まだなんとなくだし なれるかどうかわかんないしすごくなんかないよ笑！ 亮くんは？」 『俺はどーやろ笑？ やりたいこととかわからんからなぁ笑』 その時、あなたの顔が切なそうに見えたのは気のせいですか？

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恋を知らない君へ 11 そこからいろんな話をしながら、いろんなところを案内してもらった 「今日はありがとう！」 亮くんって思ったよりも話しやすかったなぁ… こっちに知り合いがいなかったけど亮くんがいてくれると残りのおばあちゃんの家での生活も楽しくなりそう…

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恋を知らない君へ 12 【萌ー ちょっとお願いなんやけど】 「なに？」 【これ錦戸さんとこに届けてくれへんかな？】 「なにこれ？」 【貰い物やけどおすそ分け】 「ん わかった」 【じゃあ頼むわねー】 錦戸さんって亮くんのお家だよね？

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恋を知らない君へ 13 ご近所なのに全然ご近所じゃない… 「やっとついた… あれ？ 亮くん？」 亮くんがギターを弾いて歌ってた 『おう！ 萌ちゃんやん どーしたん？』 「これおすそ分けだってー」

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恋を知らない君へ 14 『あっそうなんや！ じゃあちょっと母ちゃん呼んで来るからちょっと待っててー！』 さっきのギターも歌もうまかったなぁ… 安心するような感じ… 『萌ちゃん！ お待たせ！』 亮くんのお母さんにわたすと私はここにいる意味がないわけで…

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恋を知らない君へ 15 「じゃあ！ 私帰りますね！」 [ここまで遠かったでしょ？ ちょっと上がってお茶でもどう？] 『せやな！ 萌ちゃん上がってき！』 [じゃあ亮、あとは頼んだわよ] 『おん 萌ちゃん上がりー』 「おじゃまします」 『萌ちゃんは何のむ？』

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恋を知らない君へ 16 「あっ 何でも！」 『ほんま笑？ じゃあ麦茶でもえぇ？』 「うん！ ありがとう」 『ごめんなぁ うちのオカンめっちゃ強引やろ？』 「そんなことないよ 私こそお言葉に甘えてごめんね」 『そんなん別にえぇよ』

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恋を知らない君へ 17 「亮くんってギター上手いんだね」 『そうか笑？ 普通やろ笑？』 「そんなことないよ！ 亮くんの音って安心するし、東京で頑張ってみたらいいのに！」 『なにがわかるん？』 「えっ？」

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恋を知らない君へ 18 『ごめん 俺ちょっと用事あるから出ていくわ』 「あ… うん…」 さっきの亮くんなんか変だった 何か変な事行ったのかな？

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恋を知らない君へ 19 次の日おばあちゃんに話してみた 「ねぇ 亮くんってギター上手いんだね」 【そうなのよ 亮ちゃんのお父さんもギターが上手くてねぇ】 「そうなんだ」 【亮ちゃんも出し物とかギター披露してくれてねぇ】 「そんなに上手いならプロになったらいいのに」

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恋を知らない君へ 20 【亮ちゃんも本心ではそう思ってるんだろうけどお家がお仕事やってるからそれのあとを継ぐって責任感じてるんじゃないかしら？】 「えっ？」 【小さい頃から責任感が強い子だったからねぇ】 だとしたら私、亮ちゃんにダメなこと言ってしまった…

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恋を知らない君へ 21 だからあの時あんなこと言ったんだ… だから将来の話すぐに辞めたんだ… 亮くんに誤らないと… でもそんな簡単に謝れないし、会えない… 私って無神経だ…

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恋を知らない君へ 22 『おばちゃーん 萌ちゃんおる？？』 亮くんだ… 「亮くん！」 『今からヒマ？ みんなで川行こってなってるんやけど萌ちゃんどう？』 「いく！！」 『じゃあ準備しといで♪』 「うん！」

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恋を知らない君へ 23 急いで準備をする 「お待たせ！」 絶対に言わないと… 亮くんに謝らない… 「亮くん？ 昨日はごめんね？」 『昨日？ 昨日なんかあった？』 「なんでもないや笑」

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恋を知らない君へ 24 亮くんは昨日のことを忘れたんじゃなくてこれが亮くんの優しさなんだ… 川に着くと亮くんのお友達がたくさんいた 亮くんのお友達もとっても優しい人達ばっかりで、ますます亮くんの人柄に惹かれてく このまま夏休みが続きますように…

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恋を知らない君へ 25 そう願う反面、私の夏休みは少しずつだけど確実になくなっていく… こっちには友達なんていないからまいにち亮くんが私に付き合ってくれる 亮くんのお友達とみんなで自転車の旅に出たり、夏休みの宿題をやったり… 亮くんの友達とも仲良くなった