月の友ツイノベ【十五夜】2016

綺想編纂館（朧） @Fictionarys

月が人を狂わせるから、月夜に出歩く人も随分と減った。今宵はその昔、十五夜と呼ばれた月の夜。月光避けの傘をさして外に出れば、眩いばかりの光が降り注ぐ。どこかにこの月を見上げている友はいないのだろうか。狂おしいほどの願いを込めて月を見上げる。 #tw月の友15 #twnovel

陽野あたる@BOOTH Festival 参加 @hinoataru07

今宵も眩いばかりの金色の光を供に連れ彼女がこの星に帰還する。「やはり団子はお前の手作りが一番旨いでな」あの日罪を犯したと流されて来た彼女と出逢ってから幾年時間が過ぎたのか。寸分違わず美しい彼女とは違い僕は年老いて老人になった。来年も迷わず見つけてくれるだろうか。 #tw月の友15

麗慈(たぬき) @vis1213

月が綺麗な夜。喫煙所と化したベランダに出ると、ピアノの音色が聞こえてきた。静かな熱情を込めた月光ソナタ。煌めきながら走る音に誘われて、見上げた空には満月が青白い光を注いでいた。どちらの月光の仕業か、小さな願いがぽつりと浮かぶ。君に会いたい。 #twnovel #tw月の友15

姜間水結 @miyu_kyouma

仄かな月の光は、誰もいない水面を静かに照らした。小さな魚ですら眠りに落ちるこの夜に、目当ての人に会えるはずもないと思うのに。ついと河を覗き込んで、もしかしたらと淡い期待を膨らませてみる。どうか今宵、かの人が優しい夢を見ていますようにと願う。#tw月の友15

姜間水結 @miyu_kyouma

川面に鋭く突き出た岩端に、消え入りそうな焚火の跡がひとつ。くゆる煙にまぎれた残り火は、まるで小さなその命を繋ぐように、ひっそりと、ささやかに揺らめいている。そこに貴方の姿はないけれど。月光は銀の矢のように、鋭く、切なく、見えない貴方を包み込んでいる。#tw月の友15

綺想編纂館（朧） @Fictionarys

時計台から響く鐘の音に、目を開けて伸びをひとつ。月のない夜の真夜中頃が僕らのいつもの待ち合わせの時間。太陽の明るさを知らない僕と、月の美しさを知らないキミの、共通の光は灯火だけだけど。いつかキミを連れ出せたら、月光のベールの中で僕に笑って。 #tw月の友15 #twnovel

いぐあな・創作アカ @sou_igu

ゆるゆると薄雲の向こうで満月が揺れている。白い萩の花の影で笑い声が零れ、縁側に飾った団子を盗って行く子供達の足音が遠ざかる #tw月の友15 「おんや、今年は減りが早いねぇ」お婆が団子を足しながら首を捻る「お月様がかくれんぼしているから、色んなモンが子供達に紛れ込んでいるのかね」

瑞樹 @kossri1

#tw月の友15 9月の満月に願いをかければ叶うという噂を聞いた。それ以来、毎年中秋の名月の光の下で祈っている。けれどもまだ叶った事は無い。そして今年衝撃的な事実を知ってしまった。今まで叶わなかった訳がわかった。

ドーナツ @donut_no_ana

#tw月の友15 終電を降り、俺は家路を急いだ。足元を睨んで前へ前へと進む。夜道はいやに明るかった。新設された街灯のせいだろうか。仰いだ目を光が射る。俺はひさしぶりに月を見た。金貨のように輝いている。角を曲がった拍子に俺の背後へ退き、追ってきた月に口笛を返した。 #twnovel

リュカ @ryuka511

隣国へ嫁ぐ姫様を乗せた馬車が国境沿いの街に着きました。馬車から姫様は降りようとなさいません。そっと声をおかけすると「今行くわ」と、か細い声が返ってきた時、私は見てしまったのです。月光に照らされた姫様の頬をつたう涙。姫様は何を願い今夜の月を見ておられたのでしょうか #tw月の友15

雷華@兎屋本舗 @raikausagiya

厚い雲の合間から微かに気配を感じる。折角またこうして帰るのだから、見たかったなと残念そうに言う貴女。だから、珍しく自分からお願いをしてみた。１３夜の日もこうして二人で見ましょう。言い終わると同時に雲合間から月が輝く。わずかな間の月光が貴女の顔を照らしていた。 #tw月の友15

町 @miyamaibotaru

射し込んだ光に釣られないようカーテンを閉める。貴方は今頃、何処かで空を仰いでいるんでしょう。だから私は見ないでおくわ。別々に見上げる月は、もう同じ月とは呼べないから。今度逢ったときに話を聞かせて。そうすればきっと、今夜の月はたった一つだったの。 #tw月の友15 #twnovel

綺想編纂館（朧） @Fictionarys

中秋の名月に #tw月の友15 にご参加頂いた皆様、素敵な満月ツイノベありがとうございました！月の光に照らされた物語は後ほどまとめさせて頂きます。 また、願わくば10月13日の十三夜で同じ月を。（日程が近づきましたらまたお題と共に告知します。）十三夜からの参加も歓迎です！