船曳建夫『「日本人論」再考』読書メモ集

船曳建夫『「日本人論」再考』(講談社学術文庫、2010)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

「福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石の三人が、それぞれ「大日本」、「国際日本」、「小日本」の主導者であり、それが二〇〇四年まで流通していた紙幣の肖像となった「国家的偉人」と見なされていることは興味深い」(船曳建夫『「日本人論」再考』)。なるほど、たしかに。

2016-09-20 12:38:13
荒木優太 @arishima_takeo

「「日本人論」とは、近代の中に生きる日本人のアイデンティティの不安を、日本人とは何かを説明することで取り除こうとする性格を持つ」(船曳建夫『「日本人論」再考』)。ハイ。

2016-09-20 12:41:21
荒木優太 @arishima_takeo

船曳建夫『「日本人論」再考』読了。繰り返される日本人論を、西洋近代の外部性から来るアイデンティティ的不安の現れ、という仮説のもとに読解する。定番文献のほか、横光『旅愁』、『近代の超克』、京都学派の仕事が日本人論としてカウントされている点はユニークな気がする。

2016-09-21 11:09:50
荒木優太 @arishima_takeo

他方、「日本人とは、と語り出せば同じ循環にはまりこむので、日本人論とは、と語ったわけだ。つまり日本人論・論である」とはいうものの、様々な日本人論(日本文化論)に対して、いささかベタに受け取りすぎて、メタ視点が確保されてない感じがする。

2016-09-21 11:17:00
荒木優太 @arishima_takeo

たとえば、中根千枝に関しては、これは研究であってアイデンティティ不安の徴候としての種々の日本文化論とは一線を画する、との評価のようだが、本当にそれでいいのだろうか。研究もまた所詮は歴史的・文化的現象にすぎず、この手のアプローチでは、学の客観性さえも疑うべきでは?

2016-09-21 11:22:03
荒木優太 @arishima_takeo

あと、些末なことだが、『「いき」の構造』は人々に全然読まれていない、との認識のようだが、比較対象によるものの、たとえば九鬼の主著『偶然性の問題』とか西田の『善の研究』とか、それ以上に哲学書一般から考えてみても結構読まれてるんじゃないか? 薄いしさ。

2016-09-21 11:26:17
荒木優太 @arishima_takeo

天皇はラジオで戦争に「敗れた」と言ったことは敗戦を誤魔化すレトリックとよく言われるが、かつて勝ったときの文章だって割と謙虚だから、ぼかして言うのは詔勅の基本的文体、というのは勉強になった。別名、永久敗戦論批判。

2016-09-21 11:29:08
荒木優太 @arishima_takeo

しかし、小谷野・青木・船曳と同系統の本を連チャンで読んでみたけど、この中じゃ、やっぱり青木がイチオシだな。よく練れてる感じがする。というわけで、次は青木批判をしてるやつでも読むか。

2016-09-21 11:35:46