日々の療育から~大人を呼び捨てする子②・暴力への対応

日々こんなことを考えて療育しているよ、というお話。前回はこちら。 療育の中の一コマ~大人を呼び捨てにする子の事例~ http://togetter.com/li/1025042
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松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

このまとめに出てくる「オイ!松本!」と挨拶してきたHくん。今日教室に入ると、彼が「オイ!松本くん!」と挨拶してきた。先週より少々扱いが上がっている。 療育の中の一コマ~大人を呼び捨てにする子の事例~ togetter.com/li/1025042

2016-09-20 19:31:42
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

私は例によって無言。「松本・・先生」と言い直すHくん。「ハイこんにちはHくん。今日はたくさん雨が振っているね」と言葉を返す。出し抜けに「松本先生さようなら」とHくん。「ハイさようなら。ゲームはまた来週だね。」と私が帰る素振りを見せると「ウーン!」と唸って背中をポカポカ叩いてくる。

2016-09-20 19:34:56
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

「ハイハイ叩かない」と言ってHくんと一緒に教室に入る。出会い頭の言葉の使い方に非常な工夫がある子なのだ。相手との関係に応じてこれほどまでに言葉を随意的に扱えるならコミュニケーションは心配いらないように思う。あとは周囲の大人の接し方の問題だけだ。

2016-09-20 19:39:47
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

はい。Hくんは見た目もとても可愛らしく、だからこそこんなコミュニケーションなんですね。多分@makumaan さんも、何も知らずにHくんに「オイ!どす恋!」と呼ばれたら「このやろ~♡呼び捨てにしたな~♡」って笑顔で言っちゃうでしょう。そこを矯正するんだから中々難しいのです(笑)

2016-09-20 19:46:09
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

このHくんの独特な、必ずしも適応的と言えないコミュニケーションは彼の外見的な魅力にも根ざしているだけに中々にシリアスなのです。飯食ってきたら解説します。

2016-09-20 19:48:19
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

Hくんが大人を呼び捨てにしてもその愛嬌で大人の興味を惹きつけられるのは、せいぜい後数年。それまで適切なコミュニケーション手段を身に着けられなければ代わりに出てくるのは暴力だ。それは私との言葉のやり取りで自分の思い通りにならなかったときに私の背中を叩いたことでも明らかだ。

2016-09-20 20:12:17
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

数年後、すでに愛嬌もない彼が言葉の代わりに大人の気を惹くために使う暴力はポカポカでは済まない。だから今のうちに、適切な言葉遣いをすれば相手は応える、そうでなければ応えないことを伝えないといけない。同時に無理に大人の気を引かなくとも自分は尊重されているのだという思いを持ってほしい。

2016-09-20 20:17:35
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

小学校高学年のDくん。他害が強く、発達障害から行動障害へと診断が移行している。プログラムに参加せず、お気に入りの女性指導員と二人で絵を描きながら過ごすことが多い。自分で描けない絵は指導員に代わりに描かせている。

2016-09-20 20:24:30
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

その絵を描いている女性指導員の手を、彼がゲンコツでドンッ、ドンッ、と上から押し付けるように叩いている。指導員は「Dくん、痛いよ~」と苦笑いしながら、絵を描き続けている。私はそれをみて指導員とDくんと引き離し、指導員に注意した。「Dくんの暴力を許容しないでください」と。

2016-09-20 20:27:54
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

「彼が暴力を振るうのであれば、手で制止しつつ『やめなさい』と毅然とした態度で注意すること。それができないのであればその場を離れて、代わりにS先生(男性指導員)に代わってもらってください」と指示した。このときはそれ以上Dくんが指導員に暴力を振るうことはなかったのでそのままで済んだ。

2016-09-20 20:31:30
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

事後のフィードバックでこういう話をした。「Dくんの暴力にとりあわないように、もし暴力をやめないなら毅然とした態度でやめさせるように教室としての方針を徹底しています。そうすることで彼に暴力がいけないことだと教えています。その際、一人でも暴力が通用する指導員がいたらどうなりますか。」

2016-09-20 20:36:13
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

「彼に伝えたい『暴力はいけない』というメッセージが『世の中には暴力を振るって良い人と良くない人がいる』というメッセージに変わってしまいます。例えばあなたのように大人しい女性なら暴力を振るってもよいという認識を与えてしまう。その認識を持ったままDくんが成長したらどうなりますか」

2016-09-20 20:38:57
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

指導員さんも理解され態度は改善し、今は男性指導員と交互に担当してDくんの状態も安定している。彼がゲームの輪にはいって(徐々にその頻度は上がっている)、他の子供達と一緒に、安心して遊べるようになるのが当面の課題だ。

2016-09-20 20:45:48
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

このまとめと関連して、もう一つ興味深い出来事があった。先日はHくんがたかしくん(仮)のことをわざと間違い「しんじくん」と呼び、呼ばれたたかしくんもそれが面白くて二人笑いあっているのを正しい名前を呼ぶよう指導すべきかという話だった。 togetter.com/li/1025042

2016-09-20 20:51:26
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

このとき、私はHくんに相手を正しい名前で呼ばせることより、Hくんとたかしくんの子の関係が深まることを優先し、Hくんが「人を間違った名前で呼ぶと相手は注目を寄せてくれる」と誤学習するのをあえて承知の上で、そのことを注意しなかった。

2016-09-20 20:55:45
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

だから、先週と同じように、今日もきっとHくんはたかしくんのことを「しんじくん」とわざと間違って呼ぶだろうと思っていたら、予想と反対のことが起きた。たかしくんがHくんのことを「しんじくん」と呼んでいる。こうなると「しんじくん」なる架空の人名は、二人だけが共有する一種の符号である。

2016-09-20 20:58:13
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

いえ、Hくんの挨拶無視も、Dくんの暴力制止も、基本同じ原則に基づくものです。Dくんが指導員を叩き続けるのを甘んじて受けているのは暴力を認めており、無視したことにはなりません。さらに先生は「痛いな~」と言葉で反応してしまっている。Dくんの狙ったとおりの反応です。 @adlfin

2016-09-22 00:36:02
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

「無視」を徹底するなら、たとえば指導員が痛いなとも言わず、叩かれることにも一切反応せず、さも何もされていないかのように振る舞う、ということも考えられるでしょう。しかし、その場合はDくんが反応を得るためにさらに強い力で指導員を叩くことが予想されます。@adlfin

2016-09-22 00:37:14
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

それは物理的に許容できませんね。結論としてはDくんの暴力に「無視」という手段は適用できません。基本、暴力に「無視」という対応は適用できないです。なんらかの反応を強いられる。だからこそ、子どもたちは相手の気を惹くための最終手段として暴力を用いるわけです。 @adlfin

2016-09-22 00:39:27
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

Dくんの暴力を「消去」しているのか、という点についてですが、まず前提として彼は相手によって暴力を振るう振るわないを決めている。たとえば男性の私やS先生に暴力は振るわない。この女性指導員や他の子に暴力を振るう。つまり暴力は関係性の問題として現れていると捉えます。@adlfin

2016-09-22 00:48:24
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

逆に言えば、彼には「暴力を振るわない」という選択もできるのです。相手によって使い分けている。感情が激すると誰彼構わず叩いてしまうというのとは違います。だからこそ、大人側の一貫した対応が必要だと判断しているわけです。@adlfin

2016-09-22 00:51:38
松本太一@放課後等デイサービスコンサルタント @gameryouiku

スタッフ全員が「この教室では全員があなたの暴力を拒絶する」という態度を見せます。それをもって彼に「この教室では暴力にうったえても自分の思い通りにならないのだ」と理解してもらいます。その代わりスタッフはお絵かきとかゲームとかを用意して彼の活躍できる場を確保します。@adlfin

2016-09-22 00:55:03