作詞法の教科書としての Mr.Children 「PADDLE」、Aメロを音韻的に考察
- yaoki_dokidoki
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これを聞いて僕はまず「か」の音に注目した。カタカナにして示すと「ほんのつカのま むねのなカにまきおこる カぜ カぜ カぜ」
2011-02-19 01:45:19そうすると次は「の」の音に僕は注目したくなった。「ほんノつかノま むねノなかにまきおこる かぜ かぜ かぜ」
2011-02-19 01:47:10いっぺんに「か」と「の」と「ま」の音に注目すると、「ほんノつカノマ むねノなカにマきおこる」つまり、「ノ~カ~マ」という押韻が行われていることがわかる。
2011-02-19 01:50:06音数をしらべると「ほんのつかのま:むねのなかにまきおこる」→「6音:11音」で、ノの音がそれぞれ3番目、カの音が5番目、マの音が7番目に来ている。
2011-02-19 02:38:04さらにもう少し指摘したい。「ほんのつかのま:むねのなかにまきおこる」で前半にのノの音が2回でてくる。「ほんノ つかノま」。対して後半では1回だ。「むねノなかに」。ここでなにが起こっているのかを指摘したい。
2011-02-19 02:45:00前半の「ほんのつかのま」では、いったん「ノ~カ」として出てきた音の順序が「カノ」というふううにすぐさまひっくり返されている。このように音の順序が入れ替わることを僕は「倒置」と呼んでいる。
2011-02-19 02:59:16前半「ほんのつかのま」と後半「むねのなかにまきおこる」で前半のフレーズには「ノ~カマ」の直後に2音が倒置された形「カノマ」が含まれているので、後半のフレーズの「ノ~カ~マ」という押韻を隠蔽している。
2011-02-19 03:21:16押韻を隠蔽しているとはどういうことかというと、視聴者に気づかれずに押韻することで、自然な感じで心地よさを与えるのだと思う。これはJ-POPらしい歌詞というものを考えるときに欠かせない要素だと僕は考えている。
2011-02-19 03:26:15たとえていえば、伏線をしいてそれを回収するようなものだ。基礎的なテクニックで天性や感覚の鋭さで身につけているひとも多いと思う。
2011-02-19 03:27:56さて、こうしてみると「ほんのつかのま:むねのなかにまきおこる かぜ かぜ かぜ」の押韻音だけをとりだすと「ノ~カノマ:ノ~カ~マ~カ~カ~」。ざっくり言えばここでは「ノ~カ~マ」で押韻している。
2011-02-19 03:35:55そして次のフレーズを見てみよう。「今しかないよな って呪文みたいに繰りかえす 日常の下敷きになって埋もれたものをとりかえすんだ」
2011-02-19 03:50:22「いましかないよなってじゅもんみたいにくりかえす にちじょうのしたじきになってうもれたものをとりかえすんだ」中のノ、カ、マに注目すると「いマしカないよなってじゅもんみたいにくりカえす にちじょうノしたじきになってうもれたもノをとりカえすんだ」。
2011-02-19 03:55:00だから、「マ~カ~カ~ノ~ノ~カ」という順で出てきているわけだ。ここまでをまとめると、「ノ~カノマ」→「ノ~カ~マ~カ~カ~カ」→「マ~カ~カ~ノ~ノ~カ」となっている。重複を削除すると、「ノカノマ」→「ノカマカ」→「マカノカ」という見事なならびかえが行われている。
2011-02-19 04:00:49さらに抽象化すると「ノカマ」→「ノカマ」→「マカノ」となっており、基本的にはこのシンプルな押韻を隠蔽するために「ノカマ」を「ノカノマ」や「ノカマカ」にして順序を混乱させている。ここにつかわれているのが「ノカノ」や「カマカ」を作り出す倒置という技法。
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