スピン・ザ・ブラック・ヘイズ #3

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そして、おお、ナムサン!ゴナイダのガスマスクを無慈悲に剥がし取ったのである!中から現れたのは、爆発で損壊した皮膚をバイオ・サイバネティクスで継ぎ接ぎにした男の顔であった。「アバババーッ!?」天井の穴から流れ込む緋色の煙を生身で吸い込めば、非ニンジャのゴナイダはひとたまりもない!

2016-09-25 23:28:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴナイダの目が飛び出さんばかりに見開かれ、ジゴクめいた呪いを込めてブラックヘイズを睨んだ。「貴様……アバババーッ!」「イヤーッ!」ブラックヘイズはガスマスクを床に叩きつけ、踏みつけて破壊すると、天井の穴から上へ上がり、最後にこの哀れな男を一瞥した。

2016-09-25 23:33:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「善悪、正当、その手の問いに答えはない。確かなのは、要するに俺が勝ち、貴様が負けたという事だけだ。そして憎悪を向けられた相手は当然それなりの反応を返す。覚悟はしていたか?」「アババーッ!」「カラダニキヲツケテネ」ゴナイダの叫び声を背後に、ブラックヘイズは再び走りだした。

2016-09-25 23:38:02
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「イヤーッ!」ペスティレンスの右チョップが命中!「イヤーッ!」左チョップが命中!「AAAARGH!」フェイタルが膝をつき、うなだれる。「キュロロロ!」ペスティレンスは天を仰いで吠え、両手を高く振り上げた。「カイシャクする気なのか?」フェイタルの4つの目がペスティレンスを睨んだ。

2016-09-25 23:43:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まさか勝ったつもりじゃないだろうなァ!」フェイタルは弾丸めいてペスティレンスにタックルし、組み付いた。「ゴアアオオオン!」締め上げながら持ち上げる!そして後ろへ倒れ込みながら、ペスティレンスの身体を床に叩きつけた!KRAASH!ナムアミダブツ!伝説のカラテ技、バックドロップだ!

2016-09-25 23:46:57
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「キュロロローッ!」ニンジャでも爆発四散を免れぬ程のダメージを受けながら、ペスティレンスはなお動いた。床を跳ね、バック転を繰り出し間合いを…「グワーッ!」その身体が宙に釘付けとなる!邪悪ゾンビーの身体を受け止めているのは、たった今、背後のブラックヘイズが展開したヘイズ・ネットだ!

2016-09-25 23:50:25
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「キュロロロロローッ!」「GRRRRR!」すかさずフェイタルが突進した。助走をつけて振りかぶった拳を……叩きつける!「アバーッ!」ペスティレンスの身体がミシミシと音を立て、ヘイズ・ネットが軋み……断裂した!「アバババーッ!」床に転がるペスティレンスの身体にネットが絡まる!拘束!

2016-09-25 23:55:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「トドメヲサセーッ!」フェイタルが叫んだ。ブラックヘイズは制止した。「無駄だ!俺達の今の装備では奴を殺すことは出来ん」もがくペスティレンスの身体が蒸気を発する。ニンジャソウル由来の信じがたい高速自己修復プロセスだ!「殺す必要も無い。一銭のカネにもならん」「できる!今なら殺せる!」

2016-09-25 23:58:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「頭にバカげたボロ布を巻くのはゴメンじゃなかったか」ブラックヘイズはハンドヘルドUNIXの表示を示した。赤点滅。「直ちに退避」のアラート。フェイタルは唸り、変身を解いた。一瞬にして、そこには美しいプラチナブロンドの美女の姿があった。ブラックヘイズは彼女の肩を叩き、走りだした。

2016-09-26 00:01:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フェイタルは舌打ちし、後について走りながら、思い出して装束のジッパーを上げる。後方では暴れるペスティレンスとネットの断裂音。回廊を突き進み、スロープを上がり、螺旋状の通路を越えた。大掛かりな四重の隔壁を手動で閉じ、再びロックした時には、アラート表示は「青・異常無し」に戻っていた。

2016-09-26 00:04:07
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シリンダー型エレベータで数十メートルの上昇を開始した時、ようやく彼らは緊張を解いた。「お前の用心に付き合ったばかりに、散々な目にあった」フェイタルはエレベータ内で座り込んだ。ブラックヘイズは懐からフロッピーディスクを振ってみせた。「……だが、カネにはなる」フェイタルは渋々頷いた。

2016-09-26 00:07:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

かくして、恐るべきヤマイ・ニンジャの憑依者、ゾンビーニンジャ第九号たるペスティレンスは再び隔壁によって施設ごと封じられた。データ回収が行われた今、もはやこの施設を訪れる者はあるまい。

2016-09-26 00:10:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ネオサイタマ郊外某所の深い闇の中、それは死ぬ事も、生きて外へ逃れる事も無く、訪れられる事も、かえりみられる事もなく、ただそこに在り続けるだろう。傍らに新たに加わった眷属、哀れなシブサマ・ケミカル研究者のゾンビーを従えて。

2016-09-26 00:12:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「地上階。お疲れ様ドスエ」マイコ音声が告げ、重々しいエレベータ・フスマが開いた。ボンボリライトの白い明かりと、地底に比べれば遥かに静謐なネオサイタマの空気が彼らを出迎えた。ブラックヘイズは葉巻を咥え、親指のライターで火をつけた。

2016-09-26 00:15:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「呆れた。煙を逃れて、早速また別の煙か。今度は別のアラートが出るぞ?」フェイタルが顔をしかめた。ブラックヘイズは紫煙を吐き出した。そして言った。「リスク無しでは生きられんのがフリーランスのサガ、人のサガ、といったところだな」やや得意げだった。フェイタルは顔を背け、肩をすくめた。

2016-09-26 00:19:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【スピン・ザ・ブラック・ヘイズ】完

2016-09-26 00:21:36