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スピン・ザ・ブラック・ヘイズ #1

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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【スピン・ザ・ブラック・ヘイズ】#1
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ゴウン……ゴウン……ゴウン……ゴウン……用途不明の計器類が鳴らす唸りに混じって、湿った足音と、人の声帯が発する奇怪な音が聴こえてくる。「キュロロロロロ……キュロロロロロ」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
その足元に緋色のガスが漂い、既に殺めた白衣姿のヤクザ数名の死体を覆い隠す。ブラックヘイズはハンドヘルドUNIXを操作する。黄色く明滅する「許容値」のミンチョ漢字と横の数字は、彼が曝された空気中の毒素の総量の推定値を示す。数値は少しずつ、だが確実に上昇してゆく。
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それまで通路の角で身を沈め、動かずにいたブラックヘイズは、観念するかのように立ち上がった。「タイガーの尾を踏む以外に無しか」 「キュロロロ……」進み出たブラックヘイズを知覚し、異様に長い手足を持つ不気味なニンジャが不自然な角度で首を巡らせた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
手足に穿たれた木のウロのような孔から緋色の煙が溢れ、足元にわだかまる。ブラックヘイズは挑発的にステップを踏んだ。「来い、ペスティレンス=サン」「キュロロロロ!」ペスティレンスと呼ばれた奇怪なニンジャは瞬時に蛙めいて身を縮めたかと思うと、恐るべき敏捷性で跳びかかった!
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「イヤーッ!」ブラックヘイズは前転した。その頭のすぐ上を、逆棘つきの恐るべき爪が通過した。ブラックヘイズはそのままペスティレンスの股下をくぐり抜け、更に跳躍、床に手をついてフリップジャンプした。「キュロロロロロ!」ペスティレンスが振り返った。
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ブラックヘイズは全力疾走を開始。「キュロロロロローッ!」ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!床を蹴り、恐るべき速度でペスティレンスが迫ってくる。ペスティレンスがガバと両腕を拡げた。アブナイ!とらえられる!
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「キュロロロ……グワーッ!?」だがペスティレンスはブラックヘイズを掴む寸前でその動きを止めた。否、止めたのではない。動かすことができないのだ。ブラックヘイズは床を転がり、間合いをとって起き上がった。ペスティレンスはパントマイムじみて窮屈そうに虚空でもがく。
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一体これはいかなる事か?サイキックか?否。闇の中、執拗に目を凝らせば見えることだろう。壁から壁に蜘蛛の巣じみて張られた複数のワイヤーが。これはブラックヘイズの自家薬籠中の戦術……腕先から射出するネットで敵を捕らえて離さぬヘイズ・ネット・ジツである!
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「キュロロロロロロ!」「動けまい……!」ブラックヘイズは呟き、注意深く後ずさった。ハンドヘルドUNIXを見る。黄色からオレンジのグラデーションで明滅する「許容値」のミンチョ漢字。数値はゆるやかに上がり続けている。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
この表示が黄色から赤へと変われば、待ち受けるのは、即ち死……否、死よりも酷い運命である。壁には「酉年」「ナンバシックス」と書かれたプレートが埋め込まれている。「キュロロロ……イヤーッ!」KRAAACK!ペスティレンスは両腕を跳ね上げた。ブラックヘイズは目を疑った。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ペスティレンスは力任せにヘイズ・ネットを引きちぎり、裂いて、強引に自由を取り戻してしまったのである!「これほどまでか……!」「イヤーッ!」回避が間に合わない! 「グワーッ!」ペスティレンスのヤリめいた飛び蹴りを受け、ブラックヘイズは身体をくの字に曲げて吹き飛ばされた。
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「チイーッ!」舌打ちし、受け身を取るブラックヘイズに、床を蹴ったペスティレンスが再び襲いかかった。「イヤーッ!」右手爪!「イヤーッ!」左手爪!ブラックヘイズはバック転を繰り返して飛び下がった。
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「キュロロロロロ!」ペスティレンスが上半身をぐるりと捻じり、両手の爪を振り上げた。ナムサン!これをバック転で回避するすべはない。なぜなら彼は今や閉じた鋼鉄のシャッターフスマを背にしていたからだ!「……さて……」ブラックヘイズは呟き、カラテを構え直す。その時である。
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KRAAASH!「ゴアアオオオン!」背後のフスマが向こう側から引き裂かれた。そしてその奥からも、鋭利な爪を生やした巨大な影が現れた!「GRRRR!」白い毛皮で覆われ、4つの目と猪めいた鼻、サーベルタイガーじみて鋭く長い牙を持つモンスターは、両腕をひろげ、怒りに満ちた咆哮をあげた!
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深さ80メートル。ネオサイタマ郊外に設けられた隔離施設の最深部に、二人のニンジャが立った。ガンメタルカラーの装束を着た男の名は、ブラックヘイズ。プラチナブロンドの髪を長く伸ばした美しい女の名はフェイタルという。
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「こいつ一匹の為だけに、こんな大仰な施設をね……」フェイタルは呟き、強化ガラスショウジ戸越しに、ほんのタタミ十枚程度の広さの独房の中央に佇む異様な存在を見る。異様に長い手足を持ち、身長は3メートル超。顔をうつむかせ、微動だにしない。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
「うらやましいならこいつと代わるか。独房の中は冷房も完備だ。死ぬほど涼しいぞ」ブラックヘイズは葉巻をふかし、UNIXをタイプしながら、モニタの3Dワイヤフレームを見つめる。 摂氏マイナス90度の表示。フェイタルは肩をすくめた。「代わっていいのか?お前が奴の相手をする事になるが」
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「クチの減らない女だ」「それにしても、こいつ、この状態で生きているのか?」「死んでいるさ。ゾンビーだからな」「そういう意味じゃない。わかっているくせに」「ああ。依然、危険だ。俺達を……目で……追っている」
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
ペスティレンス。イモータル・ニンジャ・ワークショップの実験体第九号。古代の邪悪なニンジャソウル、ヤマイ・ニンジャを憑依させたゾンビーであり、奇怪な病原菌を撒き散らす恐るべきニンジャだ。感染者は更に周囲の生物を襲い、際限なく感染者を拡げてゆく。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
将来的にはソウカイ・シンジケートとヨロシサン製薬の協業として、治療薬のマッチポンプ販売による利益創出が期待されていた。だが、このゾンビーニンジャはあまりにも危険かつ強力に過ぎた。ソウカイ・シンジケートの闇ビジネスにすら不必要なほどに。
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ヨロシサンの治療薬開発も難航し、運用計画自体が無期延期となった。だが一度生み出されてしまった以上、無機質なUNIXデータめいてアンドゥする事もできぬ。関係者は、いつとも知れぬ将来に解決可能性を賭けた。先送りだ。かくして、研究施設まるまる一つが専用の隔離チャンバーに作り変えられた。
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
現在も、こうして自動制御のUNIXが、いつ使うかもわからぬデータ・モニタリングを続けている。ブラックヘイズとフェイタルはまさにその場所を訪れているのだ。目的は、無人のままに採取された、彼らには何の価値があるかもわからぬ、ペスティレンスのバイタル・ヒストリー情報の回収である。
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