- tsutsujishika
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「……あの!」 「なに?」 「……結婚して、幸せですか」 バカなことを聞いたと思う。彼女は新婚なのだし、答えは決まっていた。 「……もちろん」 僕は、彼女の照れた笑顔を、初めて見たかもしれない。
2016-09-28 15:31:03おそ松にお弁当、と考えるとなんだかはりきった気持ちになって、勢い余って色々買いこんできてしまった。でも結局何を作っていいかわからなくて、僕は今鮭を焼いている。4切れ入を買って、1切れは今焼いている今日の晩御飯。弁当用は明日の朝に焼いて、余る分は鮭フレークにして保存する。
2016-09-28 19:42:03本当は他にも色々作れるはずなんだけど、いざ誰かのために、と考えるとどうしたらいいかわからなくて、こうなった。鮭なんて焼くだけだ。あとは適当に作りおきする副菜と卵焼き、プチトマトくらいしか入れられない。あーこんなので満足してもらえるかな。
2016-09-28 19:43:01弁当の献立でこんなに悩むのは初めてだ。あたまがいたいのは確かだけれど、誰かのためにあれこれ考える野は楽しい。好きな人に、お弁当。だって。なんだか、くすぐったい幸せを感じる。
2016-09-28 19:44:01僕はおそ松にだったら、なんだってしたいし、あげれるものなら全てあげたい。でも、そういう、人並みの幸せみたいなものは、与えてあげられないのかもしれなかった。
2016-09-28 19:46:02なるべく人に邪魔されたくないので、社食の一番目立たない席に座る。(特に邪魔する人なんていないはずなのだが、今この時間を独り占めにしたかった。)
2016-09-29 12:11:04チョロ松が緊張した面持ちで弁当箱を差し出してくる。受け取る俺も神妙な心地だ。とても今から楽しくランチ☆みたいな空気じゃない。だってなんか緊張するんだもん!
2016-09-29 12:12:04ぱっと見て、メインは塩じゃけだ。ピンク色が眩しい。そして卵焼きが二切れ。豆苗とシーチキンの炒め物と、にんじんとナッツのサラダが少しずつ。プチトマトの赤が彩りを添えている。くわえて、ごはんはおにぎりにしてあった。たわら型で、海苔とふりかけのものが交互にお行儀よくならんでいる。
2016-09-29 12:15:06「色々悩んだんだけど、結局大したもの作れなくて。しゃけなんて焼いただけだし」 「いやいやいやいや。めっちゃ美味そうありがとう。食べても良い?」 「どうぞ、めしあがれ」ご丁寧に用意されていた箸を持ち、いざ……!まずは卵焼きから。箸で切って、一口サイズにして、つまみあげる。
2016-09-29 12:16:04そのまま口へ迎え入れて、食べる。柔らかく、噛めばすぐにほろりと崩れる。同時に卵の優しい味と、塩と、控えめな砂糖の味。ああ、どうしよう。
2016-09-29 12:17:04「美味しいとしか言えない」 「ほんと?よかった」 「いやいやまじでめっちゃ、美味い。毎日食いたいくらい」 「毎日は大変だから無理だなあ」 「……もしかして早起きした?」 「ちょっとだけ」 「そっか。ありがとな。こんっなにいいもの作ってくれて!」 「おおげさ」
2016-09-29 12:18:03チョロ松は笑ったが、正直毎日食べたいし美味しいのも本当だった。それからおにぎりや他のおかずにも手をつけたが、どれもこれも美味しい。うー俺の恋人が料理上手でつらい…!幸せ…!
2016-09-29 12:19:04俺の量が多めで、チョロ松のほうが少な目だったせいか、珍しく同時に食べ終わった。かしこまってごちそうさまでしたというと、同じような調子でお粗末様でしたと返される。変に丁重で、お互いに笑ってしまった。
2016-09-29 12:40:02「結構食材買いこんじゃってさ、色々余ってるんだよ。どうしようかなあ」 「明日も!って言いたいとこだけど、俺も昼忙しいんだよなあ…」 「月末だもんね」 「お前も作るの大変でしょ?強請っといてなんだけどさ」 「さすがに毎朝は無理。休みの日にちゃちゃっとやって作り置きしようかな」
2016-09-29 12:41:04「なあ。弁当箱持って帰って良い?俺洗う」 「え、いいよべつに」 「さすがにタダで食うのも気が引けるしさ。やらせてよ。んで、時間が有ったらまた今度作って?」 「…ん。わかった」 はにかんで笑う顔が最高に可愛い。俺よく今まで好きだっていうの我慢できてたな。褒められたことでもないが。
2016-09-29 12:41:05「…それだ」 「は?」 「なあ、土曜か日曜暇?」 「うん、予定ないけど」 「じゃあさあ土曜日行くから、晩飯作ってよ!」 「え…?あー、なるほど」 「俺いっぱい食うし!」 「そんな大食いキャラじゃないでしょ」 「少なくともお前よりは食うよ」 「確かに」
2016-09-29 12:42:01よっしゃ!と声をあげたら、少々食堂の注目を集めてしまった。チョロ松にアホ、と文句を言われたが、その顔は大層真っ赤でめちゃくちゃ可愛いモノだった。
2016-09-29 12:44:02