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26 口の横に手持ってきて、 「りゅう、待ってる!いってらっしゃい!」 って呼びかけられた。 …もぉ、どんだけ俺を惚れさすん? 競技の直前やからって変なプレッシャーかけんように、やろ? 頑張って、って言葉は使わんで、いってらっしゃい、っていうとこ。 …めっちゃすき。
2015-12-20 18:24:4227 あー!!もう!!集中! まずはこっち片付けなあかんわ! ほっぺたぱちん、って古典的な気合いいれして、競技に向かった。 ***
2015-12-20 18:25:0428 閉会式も全部終わって着替えて、支度して、選手出入り口をでると、 「あ、りゅう、お疲れ様」 あいつが待っててくれた。 「順位は惜しかったけどさ、自己ベスト出たね」 「おん、だからそんなに悔いないねん」
2015-12-20 18:25:4929 あと順位が1つ上だったらインターハイ本戦に進めたんやけど、自己ベストが出たから俺の実力はここまで。全く悔しくないっていったら嘘やけど、やりきったからそんなに落ち込むほどやないなあ、って。 って、本題はそこやないやん。
2015-12-20 18:25:5530 「なぁ、ちょっと待って」 俺のちょっと前を歩くあいつを止めた。 ん?て振り返るあいつが愛おしくて。 あがった気持ちを、ほぉ、って息を吐いて、落ち着かせた。 競技場がある公園の出口、立ったまま向かいあって。 「話きいて」
2015-12-20 18:26:0331 「なんの?」 「ええから、手ぇ出して」 頭に?マーク浮かべながらも、差し出された両手を握った。 「……え、りゅう。なんで緊張してんの…?」 手、触れただけで、バレてまうねんな。 緊張してること。 それだけの仲を俺は今、壊すかもしれへん。
2015-12-20 18:26:1132 そんなん、いくら深呼吸したとこで、緊張なんて全部はとれるわけなくて、手汗びちょびちょやねん。 それでも落ち着かせようって、もう一回ほぉ、って息を吐き出した。
2015-12-20 18:26:1933 「今日な、応援来てくれてありがとう。めっちゃ嬉しかった。 … あんな、どうすればかっこつくかなとか、どうすれば胸に刺さるかな、とか色々考えたけど俺アホやからさぁ、よう考えつかんかった。 だから、まどろっこしいことなしに言うな? … 好き。お前のことめっちゃ好きや。」
2015-12-20 18:26:3934 真っ直ぐ目見ると、あいつの目の中がちょっと揺れて、へっ、て小さな声が漏れた。 「幼馴染だけじゃなくて、俺を彼氏にしてくれませんか」 びっちゃびちゃのまんまの手できゅっと握ると、あいつはうつむいて肩を震わせた。 「えっ、ちょ、なんで泣くん…」
2015-12-20 18:26:4835 「……嬉しいから」 「え?」 「嬉しいから泣いてるの!」 ううう…って俺に手を繋がれたままやから、目ぇこすれなくて、涙こぼしっぱなしで、ぶすだから見ちゃやだ〜ってうつむいたまま。
2015-12-20 18:26:5336 「…なぁ、それって答えはYESってことやんな?」 あいつは、こくん、って首を縦にふった。 …夢かなこれ… 握ったままの手、自分の方に引っ張って、腕の中におさめる。 …はぁ、夢やなかった…
2015-12-20 18:26:5737 「ちょっ、えっ、りゅう、恥ずかしい、ねえ、ちょっと汗!」 「しゃあないやん、夏やもん」 「恥ずかしいって…」 「なあちゃんと言って?そしたら離す〜」 安心して余裕でてきたら俄然いじわるしたくなってもうた。 やってぇ、聞きたいやん? ちゃんと彼女の口から、俺への気持ち。
2015-12-20 18:27:0238 「……りゅうの彼女にしてください」 「……あぁ〜もーー!!かわええなぁー!」 もっとぎゅーーってする。 離したらんよ、やっと壁壊せたんやから。 そのあと約束が違う!って真っ赤な顔して拗ねられたけどなぁ〜♡
2015-12-20 18:27:06