神の花嫁【テドイア】

重音テッド×IA 異世界からやってくる『神の獣』とその花嫁になったイアの物語。 テーマは『身体から始まる関係』。
0
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアたんが人知れず一人で泣いてたのを見つけた時から、気にはなってた。 やっと見た顔は可愛いと思える程だったし、事情はわからないけれどずっと傍にいたイア自身は嫌いじゃなくて。 ただ一つ。気になったのは、テッドさんに抱かれている間、イアがずっと声を殺して泣いていた事。

2016-10-08 19:26:06
大崎巧実(裏) @mboxtw2

初めてなんだろうなと言う事は抱いてみてわかったから戸惑っているのか、それとも怖いのか。そんな風に思ったからひたすらテッドさんは優しくした。 痛くないように、気持ち良くなるように。物凄く優しく、精一杯の想いも込めて。

2016-10-08 19:27:40
大崎巧実(裏) @mboxtw2

まあ、そんな一件でテッドさんはイアを花嫁にするって決める訳なんだけど。 別にそれを宣言したわけじゃない。 ただ強力を要請した時、拒否しなかったから知れ渡っただけ。 いいよ、って。イアのいる国だから守ってやるよって。

2016-10-08 19:29:41
大崎巧実(裏) @mboxtw2

神の獣は花嫁と決めた娘だけを守る。だから花嫁がいる国しか守ってくれない。 そうして喜んだのは父親。でかした我が娘!ってそんな時だけ実子扱い。 けれど父親に褒めて貰った事なんてないイアはただそれだけでも物凄く嬉しかった。

2016-10-08 19:31:27
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そしてその日を境にイアの世界は大きく変わり始める。 今まで虐げられてきた事しか知らなかったのに、テッドさんは物凄く優しくしてくれる。そして花嫁の為に、と沢山愛してくれる。 初めて与えられた『嬉しい事』にイアは包まれていくんですね。

2016-10-08 19:33:24
大崎巧実(裏) @mboxtw2

愛された事がなかったイアたんは優しく包んでくれるテッドさんの愛情にあっと言う間に溺れていくんですね。 それと同時に後ろめたさも大きくなっていく。テッドさんが好きだと思うたび、そしてテッドさんに抱かれるたびに『最初』が『嘘』だった事が重荷になっていくから。

2016-10-08 19:35:32
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんはイアたんが告白してくれたからそれを受け入れたって思ってる。 イアたんが愛してくれるからその想いを返そうとしてくれた。 でもそれがすべて嘘だった事。そんな始まりはなかったんだとテッドさんに言う事は出来なかった。

2016-10-08 19:36:50
大崎巧実(裏) @mboxtw2

国からの要請のままテッドさんは戦場を駆け抜け、国は栄えていく。 まわりにイアのお陰だと褒められ、祝福されるたびにイアの心は追いつめられていく。 誰にも言えないまま。ずっと、ずっと一人でその『嘘』を抱え込んでた。

2016-10-08 19:38:25
大崎巧実(裏) @mboxtw2

けれど。その『嘘』がとうとうテッドさんに知られてしまうのです。 イアたんが自分の事を愛してなんかいなかった事。誰にでも抱かれる女だよ、みたいな感じに吹き込まれてしまうんですね。 それをテッドさんはイアに問いただした。本当なのか?って。 愛した花嫁の言葉を信じたかった。

2016-10-08 19:39:45
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんに問いつめられてもイアは何も言えなかった。 否定する事が出来なかったから。 あの時、命令されて抱かれた事。相手がもしテッドさんじゃなくてもきっとイアは抱かれにいった。それは否定出来ないし、そして命令されたのも確かに事実。

2016-10-08 19:40:55
大崎巧実(裏) @mboxtw2

当然、イアの反応にテッドさんはショックを受けるわけですよね。 「俺じゃなくてもよかったのか」って。「お前は命令されれば誰でも抱かれるんだな」って。 罵られる言葉だったけれど、イアは何も言えなかった。だって事実だったから。 けどテッドさんは否定して欲しかったのだけれど。

2016-10-08 19:42:36
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアが好きだと言ってくれた事が嬉しかった。ずっと好きだと信じてた。 裏切られたのだと思っても、でもやっぱり花嫁の事は好きで。 「愛してくれていたと、思っていたよ」って寂しそうにテッドさんが笑うんです。「さよなら」って。

2016-10-08 19:45:37
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアたんに裏切られたと思ったテッドさんは元の世界に帰ってしまうんですね。 一回の繁殖期で『花嫁』はただ一人しか選べない。繁殖期が終わるまで約百年の間、ずっと獣達は一人の娘だけを想い続ける。 だからテッドさんもイア以外を探す事は出来ずに帰ってしまったわけです

2016-10-08 19:47:57
大崎巧実(裏) @mboxtw2

今回の花嫁捜しは失敗だったな、なんて泣きそうな顔で笑いながら消えてしまったテッドさん。 当然国は大騒ぎ。失敗したイアたんは父親に酷い折檻をうけ、挙げ句の果てには捨てられてしまうのでした。 お前のような使えない娘に用はない、と。

2016-10-08 19:49:41
大崎巧実(裏) @mboxtw2

もうイアたんは処女じゃないから他の貴族の嫁にして繋がりを得ようとかは出来なくて。そして父親にとっては汚い孤児でしかもうなくて。 身一つで追い出されたイアたんはたった一人であちこち彷徨うことになるのでした。

2016-10-08 19:51:29
大崎巧実(裏) @mboxtw2

辿り着いたのはテッドさんが出てくる祠。もうイアたんにはそこしか行く所がなかった。 ごめんなさい、って何度も何度も泣きながらずっとそこにいた。 もう意味はないとわかっていても、それでもあなたが好きだったってやっと本当の告白をしたけれどもう届く事はなくて。

2016-10-08 19:52:37
大崎巧実(裏) @mboxtw2

追い出されてしまったイアは金を稼ぐ事も出来ず食べていく事も出来なくて。このままのたれ死ぬ事しか出来なかった。 けどあんなに優しかったテッドさんを傷付ける事しかできなかったから、当然の報いなのだろうとさえ思ってた。 愛してくれた気持ちをすべて自分は踏みにじったのだと。

2016-10-08 19:54:10
大崎巧実(裏) @mboxtw2

そんな風に一人でいたイアだったのだけれど、ある時野党に襲われてしまうのね。 金目の物は何も一つ持ってない。そう気付いた男達はイアたんをいたぶり始めた。 逃げるイアたんを追いつかない程度に追いかけて、そして戯れに傷付ける。 そんな『遊び』。

2016-10-08 19:56:29
大崎巧実(裏) @mboxtw2

傷付けられ、犯されそうになりながらただ耐える事しか出来なかった。 きっと自分は殺される。そんな風にも思ってた。 国民にとって自分は神を怒らせた罪人で、助けてくれる人なんて誰一人としていない事もわかってたから。

2016-10-08 19:58:43
大崎巧実(裏) @mboxtw2

ぼろぼろな身体になりながら、それでも痛めつけられて気が遠くなった時。 あんなに煩かった男達の笑い声が消えた事に気が付くんです。 あぁ、自分は死んだのかな、って思ってた。 最後にもう一度テッドさんに会いたかったな、って。会って、ちゃんとごめんなさいって言いたかったな、なんて。

2016-10-08 20:01:27
大崎巧実(裏) @mboxtw2

もしももう一度会えたらどうする?って誰かが聞いた。その声にイアたんはもう一度好きですっていうのって答えた。 じゃあ言ってごらん、ってまた優しい声が聞こえた瞬間、イアの意識が戻るわけですね。 目の前にはテッドさんがいた。真っ白な中で聞いた声は当然彼の声。

2016-10-08 20:03:26
大崎巧実(裏) @mboxtw2

テッドさんはずっと祠の中にいた。帰ってしまおうと思ったけれど、どうしても出来なくて。だから祠の外でずっとイアが泣いてたのを聞いてたし、イアが嬲られる所もずっと見てた。 裏切ったのだから、と見捨てるつもりでいたけれど、でもどうしても出来なかった。

2016-10-08 20:04:50
大崎巧実(裏) @mboxtw2

イアが男達に殺される、とテッドさんにもわかった。それほど酷い状態だったから。でもやっぱり花嫁の事は好きで、どうしても見捨てられなくて出てきてしまったのです。 もう会えないと思ってたテッドさんに会えてイアはぼろぼろ泣き出すんですね。言葉も言えない程。

2016-10-08 20:06:35
大崎巧実(裏) @mboxtw2

優しく涙を拭ってくれるテッドさんが「俺に言いたかったんだろ?」って促してくれるけれど、でも中々声が出てこなくて。 宥めながら、ずっとテッドさんは待っていてくれるんですよ。イアたんはもう一度「好きです」って言ってくれるまで。

2016-10-08 20:08:16
大崎巧実(裏) @mboxtw2

「本当に好きです、今度は本当です」ってしゃくりあげながら必死にイアたんは伝えた。「嘘じゃないの」って何度も何度も。 そんなイアたんに「今度こそ、信じていいか?」って笑ってくれた。 ごめんなさいって泣くイアたんにもういいよって言ってくれるのでした。

2016-10-08 20:10:44