長時間労働が病気を引き起こす

「長時間労働が病気を引き起こす」ということに関して,少し書いてみました。
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篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

「長時間労働が病気を引き起こす」ということについて,少し書きたいと思います。連鎖投稿していきます。

2016-10-09 17:41:52
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

長時間に渡る過重な労働は,脳血管疾患や虚血性心疾患と関連が深いことが知られています。脳血管疾患は例えば脳卒中で,虚血性心疾患は例えば心筋梗塞です。労働者の生命や生活に関わる問題が深刻化しており,過重労働についての対策が重要視されてきています。

2016-10-09 17:45:05
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

2002年,厚生労働省は「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を策定しました。この対策の中では,過重労働のせいで起こる疾患を防ぐために事業者,つまり雇用主が講ずるべき措置が定められています。

2016-10-09 17:46:51
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

例えば… [1]時間外・休日労働時間の削減 ・時間外労働時間が月45時間以下となるよう努力する義務 ・労働時間を適正に把握すること ・過重労働を注意喚起すること [2]年次有給休暇の取得促進 ・有給休暇を取得しやすい環境を作ること

2016-10-09 17:50:11
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

[3]労働時間などの設定の改善 ・『労働時間の設定の改善に関する特別措置法』に基づいて必要な措置を講ずる努力をする義務

2016-10-09 17:52:34
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

[4]労働者の健康管理に関わる措置の徹底 ・健康管理体制を整備したり,健康診断を実施したりする ・長時間の労働外労働を行った労働者に対して面接指導などを行う ・過重労働により業務上発生した疾患に対して必要な措置を取る …といった内容が含まれています。

2016-10-09 17:52:57
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

さて,上述した「長時間の労働外労働を行った労働者に対して面接指導などを行う」に関してです。2006年に『労働安全衛生法』が改正され,脳・心臓疾患の発症を予防するため,「長時間労働により疲労が蓄積した労働者に対して,医師による面接指導を実施すること」が事業者に義務付けられました。

2016-10-09 17:56:57
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

その内容です。労働者が月100時間を超える時間外労働をした場合,本人に申し出があれば,事業者は必ず医師による面接指導を行わなければなりません(義務)。

2016-10-09 17:59:26
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

労働者が月100時間を超える時間外労働をした場合,本人の申し出がなかったとしても,事業者は医師による面接指導を行うよう努力しなければなりません(努力義務)。

2016-10-09 17:59:32
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

労働者が2か月から6か月の中で,平均で月80時間を超える時間外労働をした場合,本人の申し出がなかったとしても,事業者は医師による面接指導を行うよう努力しなければなりません(努力義務)。

2016-10-09 18:00:32
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

労働者が月80時間を超える時間外労働をした場合,本人の申し出があれば,事業者は医師または産業保健スタッフによる面接指導を行うよう努力しなければなりません(努力義務)。

2016-10-09 18:02:31
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

労働者が月80時間を超える時間外労働をした場合,本人の申し出がなかったとしても,必要ならば,事業者は医師または産業保健スタッフによる面接指導を行うよう推奨されています(推奨)。

2016-10-09 18:03:57
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

労働者が月45時間以上の時間外労働をした場合,本人の申し出の有無に関係なく,事業者は医師または産業保健スタッフによる面接指導を行うよう推奨されています(推奨)。

2016-10-09 18:04:38
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

そして,面接指導を行った医師の意見を聴いて,事後措置を実施することが求められています。例えば,就業場所を変更したり,労働時間を短縮したり,といったことです。

2016-10-09 18:06:43
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

実は厚生労働省は「医師国家試験」を通して,新たに医師になることを目指す人たちに向けて,「長時間労働は健康を害する」というメッセージを発しています。2014年2月に実施された第108回の医師国家試験で,こんな問題が出されています。

2016-10-09 18:14:49
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

「52歳の男性。職場の健康診断で高血圧を指摘され来院した。45歳の時にも高血圧を指摘され2年間降圧薬(血圧を下げる薬)を内服したが,その後は内服していなかった。食後の塩分摂取量も意識していない。喫煙は20本/日を32年間。飲酒はビール350mLを週2回程度で20年間。(続く)

2016-10-09 18:16:43
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

(承前)仕事は事務職で最近2か月の週当たりの労働時間は65時間以上が続いており,運動はしていない。身長168cm,体重74kg。脈拍72/分,整。血圧166/102mmHg。(続く)

2016-10-09 18:19:31
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

(承前)血液性化学所見:AST 23IU/L,ALT 18IU/L,γ-GTP 23IU/L(基準値8~50),空腹時血糖 102mg/dL,総コレステロール 210mg/dL,トリグリセリド 104mg/dL,HDLコレステロール 52mg/dL。(続く)

2016-10-09 18:20:59
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

(承前)この患者に対する指導として優先度が「低い」ものはどれか。 a:禁煙 b:禁酒 c:減塩 d:運動の奨励 e:労働時間の短縮 選択肢のeに「労働時間の短縮」という文言が入っているのです。つまり「この患者さんの労働時間はどうなのでしょうか」というメッセージです。(続く)

2016-10-09 18:24:44
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

(承前)厚生労働省が用意した答えは,指導の優先度が低いのは「b:禁酒」というものでした。逆に言えば,指導の優先度が高いのは「a:禁煙(タバコを吸いすぎているから)」「c:減塩(血圧が高いから)」「d:運動の奨励(肥満だから)」,そして,「e:労働時間の短縮」だということです。

2016-10-09 18:27:34
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

『医師法』の第1条に曰く「医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」。そして医師免許を与える厚生労働省が医師国家試験で「労働時間の短縮」という選択肢を出してきたということは,(続く)

2016-10-09 18:31:51
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

(承前)「長時間労働は健康を害する。健康を害する前に何とかしなければならない」というメッセージを厚生労働省が出している,ということに他なりません。

2016-10-09 18:33:04
篠ノ目くぬぎ_CNS @CrushedNumbers

補足:先程の医師国家試験の問題は,「108F-25」という番号で知られているようです。

2016-10-09 18:35:09