第13話 輸送任務と黒い波 パート3

脳内妄想艦これSS 独自設定注意
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

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2016-10-10 22:01:22
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

__ 第13話 輸送任務と黒い波 パート3 __

2016-10-10 22:02:15
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-3-1 それはとある佐伯勤めの提督の怠慢。 上から与えられていたノルマを熟せず、ギリギリまでそのままにしてしまった所で突然のオリョール海への『出撃禁止勧告』。 彼は焦った。備蓄資源も殆ど無く、アテにしていたのは優勢海域での強襲部隊狩りを兼ねた資源調達だったのに。

2016-10-10 22:05:33
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13-3-2 そしてそれはとある提督達の下の艦娘達の実直さ。 彼女らは提督が切羽詰まった状態になってしまった事も、自分達の鎮守府に資源が無いことも把握していた。 故に、気の利いたことの一つしてみようと思い立ってしまった。 自分達の派遣された海域が出撃禁止とされている事も知らずに。

2016-10-10 22:06:17
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13-3-3「まぁ皆そんなだからブラック企業は無くならないのでち」 「でっちは誰に向かって喋ってるの?」 佐伯の潜水艦隊は、普段自分達が使用するルートを一通り巡回した後、更に奥地まで足を運んでいた。 「だって提督だいぶサボってたの。このままじゃまた偉い人からおーめだま食らうのね」

2016-10-10 22:07:07
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13-3-4 伊58達は普段より余分に探索を行い、資源を多めに確保、そして追加の戦果をあげるべく東寄りのエリアで獲物を探していたのである。 「でも、肝心の敵の姿が見えないですねぇ…」 伊26が不思議そうに辺りを見回す。 「うーん…最近どうも極端に少なくなったような気がするでち」

2016-10-10 22:09:17
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13-3-5「あれ?ねぇねぇでっち、あれ何だろ?」 「ん、何か見つけたでちか…」 呂500の指差す先。真っ直ぐに此方に向かって突き進んでくる黒い何かがー… 「!!?」 …それは最早、先に『鳶』を襲撃しようとした時のように波に擬態したまま彼女らに接近しようとはしていなかった。

2016-10-10 22:09:57
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13-3-6 重油でも浮いているのかと思った途端、其処から人の様な形…どうやら雌形の上半身が生える。頭部が生える。そして、胴体に不釣り合いな長さの鉤爪を伴った2本の腕が生える! 「な、な…!!?」 異形の存在はゴボゴボと激しい音を立て、水上を文字通り『這い進んで』来る!

2016-10-10 22:10:18
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13-3-7 __ 『…危機的状況なのは良く分かった。で、その液体の巨人とやらに挑んで勝算はあるんだろうな?』 「無いッ!!」 『鳶』4名は主機に鞭打って海を駆る。そしてその道すがら、風見に先程見た存在と現在の状況について説明する。 『お前らなぁ、人の心労を増やすんじゃねぇ!』

2016-10-10 22:13:10
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13-3-8「でも放っておく事なんて出来ません!」 既に遠目には人型の形態で一直線に這いずっていく、黒い巨人の背中が見えている。 それは最早一刻の猶予も無いことを物語っていた。 『ったく、バカ共が!犬死にするんじゃねぇぞ…!とにかく先ずは攻撃が通用するか、それだけでも確かめろ!』

2016-10-10 22:14:01
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13-3-9 悪態をつきながらも、風見は指示を飛ばす。 4人は佐伯の艦隊を見捨てるつもりは無い。しかし、ひとたび交戦状態になれば逃げる事は叶わず。 通信機越しにしか伝わってこないその正体不明の敵を倒さない限り、ハッピーエンドは望めない。 風見も腹を括り、頭をフル回転させ始める!

2016-10-10 22:14:21
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13-3-10「任せな!」 血が滾り完全に照海の『素』の状態が表に出た雲龍が、幡を振るい発艦した艦載機を黒い巨人の背中に向かって突撃させていく。 前方に夢中でどうやら此方には気付いていないらしい! 背、頭、腕にありったけの爆撃、更に水面近くの基部に雷撃を開始!

2016-10-10 22:17:40
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13-3-11「ひ、ひぇっ、今度はなんなのー!」 巨人の向かって後ろ側から突然の爆炎、轟音! 自分達に向かって伸ばされた巨大な液状の手は、目前すんでのところで静止した… 「でっちー!怖いよー!!」 「泣くな!良く分かんないけどチャンスでち!」 伊58もこれが勝機と魚雷を撃ち出す!

2016-10-10 22:20:02
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13-3-12「てぇええい!!」 …撃ち出した魚雷は基部に命中し、爆発を起こす。 発声器官の無い怪物は叫びも唸りも上げないが、確かに身を捩って身体にぶつかって来る焦熱を振り払おうとしている。 効き目はあるらしい! 「よっしゃー!ゴーヤの魚雷はお利口さんなのでち!」

2016-10-10 22:20:23
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13-3-13 だが、好転したかと思った戦況は直ぐに元に戻ってしまう。 爆撃と魚雷を真っ向から受けて飛び散り、凹みを生じた巨人の体は直ぐに再生を始め、元通りの形に戻ってしまった! 「…もしかして、効いてないでち…?」 巨人も何やら腕を振り回し、叩かれた水面から激しい水柱が上がる。

2016-10-10 22:23:30
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13-3-14「喋らないからわかんないけど、これ絶対怒ってるの!」 潜水艦達に向かって突き出された手は、今度は掴みかかろうとする『パー』の形ではない。 形は完全に『グー』だ…叩き潰そうとしている! 「-ッ!もう一発…!」 伊58も他の潜水艦も魚雷発射のために構える。 だが、遅い!

2016-10-10 22:23:46
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13-3-15 握り込まれた液体の拳は潜水艦達に振り下ろされ… バシャンッ!!! …彼女達の横の水面を叩き割った! 「え!?」

2016-10-10 22:26:09
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「間にあったわね!」 予想外の位置に落ちた拳を目で追っていた伊58達の前に、見覚えのある4人の艦娘達が水飛沫を上げて飛び込んでくる!

2016-10-10 22:26:19
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13-3-16「あんた達は…」 飛び込んできたのは『鳶』だ。 伊58達に拳が振り下ろされたその時、側面に回り込んだ綾波と浜風は両の連装砲で腕に向かって一斉砲撃を繰り出し、軌道を逸らす事に成功していた。 「間一発って感じだけど、ね!!」 水面の拳に向けて、五十鈴が機銃を乱射!

2016-10-10 22:26:41
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-3-17 銃弾が刺さり蜂の巣のように窪んだ手を、巨人は慌てたように引っ込めた。 「痛覚、あるのかしら?だったら倒せるかも…!」 銃を構え直す綾波に、伊19が後ろから声を掛ける。 「でも、でも!さっきゴーヤの魚雷を命中させたけど、ふっ飛ばしたカラダは元に戻っちゃったのね!」

2016-10-10 22:28:54
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-3-18「そうみてぇ…みたいね。さっきの爆撃跡も修復されてる」 (潜水艦達を前に、照海は慌てて男口調を引っ込めた) 『再生能力…』 謎の巨人の情報が少しずつ集まると、またしても風見の頭の中で何かすっきりとしない感情が広がっていく。 先程の…『ホロウズ・アイ』と同様の感覚が。

2016-10-10 22:29:24
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13-3-19「提督?」 『…何か頭に引っかかってる事が思い出せそうなんだ』 無論、敵は風見のそんな心中を知る由もなく、待つ理由も無い。 …目の前で両の腕が横一閃に避け、巨人の腕が4本に増えた! 「本気になったみたいね!」 細い触腕となった腕が鞭のようにしなり、水上の8人を狙う!

2016-10-10 22:29:47