不知火に落ち度はない 52(浜風)

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はじめに

※ この話は艦これ二次創作的な何かのネタ帳じみたものです。
独自設定がちらほら混じってるので、適当にご笑覧ください。

今回は浜風のお盆話。
いろいろ成長してみせた浜風がいます。
どうぞお楽しみください。

感想はハッシュタグ #落ちぬい か コメントまでいただけますと喜びます。

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、腰痛で横になることしか出来ぬようになったんで、さくっとひとつ思いつき更新。 はまかぜのおはなし、な。 #落ちぬい

2016-10-14 21:25:35

本編

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「国内事情の安定に伴い、諸外国提督との交流会なあ」 『豪華な参加メンバーで、お待ちするわよー』 「不安しかねえよ龍田。お前の手持ちの施設でだろ?」 『そうだけどなにかー?』 「爆弾仕掛けてるとか、ねえよな」 『あら。その手は考えてなかったわー』 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:28:48
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、出席者にちゃっかり俺の名前入ってるのな」 『一応は屈指の古参提督だものー?』 「新進気鋭の提督いるだろ。そっちのほうがよくねえ?」 『海外にパイプのある提督ってそう居ないんじゃないー?』 「李大佐はともだちです」 『うっそくさーい』 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:32:05
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そんじゃ切るぞ。子細決まったら連絡しろ」 『はいはーい。それじゃ貴重なオフを楽しんでねー』 龍田の奴、俺がどこで今何してんのかわかってんのかよ。 俺はスマホでの通信を切り、本日の相方に手を振った。 「お仕事の話──終わりました?」 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:35:21
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「おう。休日気分台無しで悪いな。浜風」 「いいんです。その間に私、満喫してきましたから」 紺色ワンピ姿という中々な装いの浜風が、笑顔で俺の前にキンキンに冷えたビール…… ではなく、カップに入った空色したドリンクを置いて下さった。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:40:25
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お? なにこの青色1号タップリ入ってそうなドリンク」 「見ての通り、電話の間に溶けちゃったブルーハワイです。ちゃんと処理して下さいね」 サービスエリア名物だったものの残骸である。 俺が長電話の間に、浜風はちゃっかりかき氷を食べていた模様。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:44:46
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「浜風、ちょっとベーってやってみて?」 「……? こうですか?」 おう。 ガンガンに食紅を使ってイチゴ含有率ゼロのシロップのようだ。 どうやら値段だけでまず、かき氷と決めた模様の浜風くんである。 主婦型駆逐艦の鑑である。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:47:29
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お値段お聞きしていい?」 「さすがに、お金はいいですよ。運転手にしてもらってますから」 にこやかに仰る浜風。おおよそ200円と見た。 では遠慮無く頂くとしよう。 「どうぞ、半分溶けてますけど」 「やっぱ怒ってんのか?」 にこやか度がアップした。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:52:59
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「いーえ。中に入って涼しいところで、電話すればいいのにって思っただけです」 ぷいっと横を向いたあたり、ご機嫌斜めであらせられる。 「そりゃ悪い。一般市民様に聞かせられない会話だったんでな」 両手を合わせてごめんねポーズをアピールするおじさんである。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:56:38
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「兵頭さんは、提督ですもんね」 「浜風が、艦娘であるようにな」 むくれて見せて、そしてくすりと笑う。 「じゃあ、今私は日本一恵まれた立場の艦娘ってことですね」 「お──どゆこと?」 急にそんなこと言い出すとか。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 21:59:09
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「だって、提督に運転手をして貰ってるでしょう?」 「まあ、頼まれたしな」 「貴重な休暇を使ってくれてますし」 「まあ、盆休み欲しかったしな」 「この後美味しいものも選んでくれますし」 「まあ、それぐらいは──え?」 今なんかさらっと乗せられた? #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:05:53
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「こないだのお返しです」 ぺろっとまだ赤い舌を見せて、そう言ってくださる浜風くん。 これはおじさん一本取られたね。 「おう、見事なお返しだ。なんでもいいぞ、食いたいもの言えよ」 「あら? 私さっき、『選んでくれる』って言いましたよね?」 おやおや。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:08:52
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「わあったよ。ツーリング名人の選択見てびっくらこくなよ」 「え。ツーリングなんてしてたんですか?」 してたんですよ。提督になってから全然だけどさ。 自販機うどんとか自販機バーガーとか経験済みのおじさんを侮ってはいかんぞ。 「当然ココも、網羅済みだ」 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:14:05
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、決めポーズをしたところで、さっさとSAの中にある自販機コーナーに行くとしよう。 ここんところは、たしかバーガーがあったはずなんだよな。レンジ内蔵自販機の。 「滅多に味わえない珍味だ、楽しんでくれよ」 「ええ……楽しみにしますね♪」 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:17:28

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

──結論から言おう。 「憩いの思い出が消えた悲しみってデカいよな」 「まあ……10年以上前なんでしょう?」 「おう。今も現役だと思ったんだけどさ」 そう。俺と長門の愛したハンバーガーは消えていた。 代わりに目の前には、新名物のラーメンがある。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:22:20
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや。悪くないんだ。 つーか、あのビミョーにカチカチになっちまう、レンジでチンする安バーガーと比べれば天と地の差なんだ。 これ、出汁は雉で取ってるし、焼いた雉肉がチャーシュー代わりにあるだろ? しかも白髪ネギは特産品の地の物使ってるし。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:27:35
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「それに、これ。すっごく美味しいですよ! ねっ」 「うむ。SAのクオリティは日々進化してんだな。ちょっとこのラーメンは感動ものですよ」 それだけに。 俺の思い出は、過去に流された感がはんぱねーわけですよ。 風化して消えたっつーわけですよ。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:37:07
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや、ぶっちゃけバーガーって『カップ麺選ぶよりはマシ』というレベルなんだけどな。 SAの改装やらの流れを見れば、当然駆逐されるものなんだけどな。 さよなら、微妙にカチカチな俺の思い出ハンバーガー。 ようこそ、超うまい雉ラーメンちゃん。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:41:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、俺の雉ラーメンちょっと味見するか? 浜風」 「え、いいんですか。兵頭さん?」 一方の浜風のどんぶりには、麺とつくねが浮いている。 これもこのSAの名物で、雉かと思ったらこっちは地鶏のつくねらしい。 桜エビとの組み合わせが最高にいい感じに見える。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:47:29
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「じゃ。ちょっとだけいただきます」 「おう。食いねえ食いねえ、育ち盛り」 そして育つがいい。出来れば縦方向に──などという内心のつぶやきは聞こえないわけで。 浜風は箸を用いて小器用にレンゲの中に具と麺と汁をちょんちょんと入れる。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:54:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そして、そのままぱくっと一口。 つるるっと、麺が吸い込まれていき。 「……はあぁ❤」 お。ちょう嬉しそうに目が細まった。 どうやら、思った以上にお気に入りの味だったように見える。 浜風わりと、こってり目好きだもんな。 あと出汁大好きっ子。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 22:58:03
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お気に入りですか、お姫様?」 「すっっごく、美味しいです! この出汁が雉なんですか? こんな味になる……あっ」 何かに気づき、そのまま座って小さくなったお姫様がいて。 「あの……えっと、いえ。違うんですこれ……」 もそもそと言う。耳まで真っ赤だ。 #不知火に落ち度はない

2016-10-14 23:02:24
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