- laurassuoh
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爬虫類よりも無様に這いつくばって、薄手のコートだけを羽織る。段ボールを敷いてどこででも寝る。涙を流しながら灰色の空に蓋をされ、広すぎる世界を恐れて狭い暗闇へと逃げていく。長く美しい黒髪が自慢だった。苛まれる記憶たちの呟き、耳の内側におしゃべりな唇。クラスで一番の黒髪。
2017-09-04 00:05:39ゆくゆくは斎王代に。肩を抱いて泣く。髪の毛が数本、どこかへ歩いていってしまった。指先の赤は静脈を探して針を射した時のもの。血を抜いた。少しだけすっきりした。長い黒髪が風に煽られて三条大橋の上、目立つ鴉、切り落としたのは家への反抗。何かを探していて、それは斎王代ではなかった。
2017-09-04 00:12:27どうして生かされているのか分からない。流れていきたい。留まりたくない。目的地のない旅ならば心地良かったはずなのに。脳味噌まで一巡した氷が心臓に達する。止まった鼓動、引き伸ばされた時間、白い息の粒子、どこへも行けない。いつか辿りつける場所なんて、もうなくなってしまった。
2017-09-04 00:14:54扉を開けたら世界がある。自分を守るように肩を抱く。小さく丸まってなくなってしまいたい。くしゃっと紙を握りつぶすみたいに。冴えた感覚と鈍くなった感傷。どうだ、見ているか。どうしようもない閉鎖。行く道もなく来た道もない、私の身体とちょうど同じ大きさの棺。風の音に擦れる木の葉。
2017-09-04 00:17:16どこなのか、いつなのか、恐らく夜で、狭くて暗くて見つからない場所。誰なのかだけはしっかりと分かる。塩見周子は死にました。嘘。生きているのかは分からない。三条通りの橋の下、明け方のマクドナルドでコーラを買った。ボトルに入れた粉雪を、残った氷で液状にして、使い古した注射器の針を射す。
2017-09-04 00:19:54崩壊していく橋桁に自分の脳味噌が重なって心地いい。ローソンの青い光。脳味噌が白くなっていく。髪の色を抜いたのは、自分の過去を消したかったから。斎王代になるために。正座をするのが苦手だった。借金なんてしなくていいよ。めまぐるしい車の明りは流星群、鴨川の水に垂れ流された排泄物。
2017-09-04 00:23:20眠ってしまえれば楽なのに、いつでも起きていた分だけの涙と後悔を出し尽くさなければ眠らせてくれないみたい。吐息を耳元で聴きながら、ぼろ雑巾みたいに暗がりへ丸くなる。水滴の音が千分の一秒、献血で抜かれた分だけの砂糖。お湯をかければ崩れる形。身体中燃えるように熱いのに震えが止まらない。
2017-09-04 00:26:40最後の視力、目脂が邪魔をするけれど、見上げた空。クラスメイト、幸福だった。帰りたいのに道が分からない。もう思い出すことしかできない。あの日の放課後。日常。家族の温かさ。空の黒さは私の過去、鴨川の揺らぎ。確かに見つけた、尖った空気の向こうに浮かぶ遠すぎる一番星。残酷な、冷たい青。
2017-09-04 00:29:38塩見周子を周子と呼ぶ速水奏が2歳年下で、速水奏を奏ちゃんと呼ぶ塩見周子が2歳年上なの、夜空に星が輝いていることと同じくらい計り知れない尊さがあるよね
2017-09-08 01:18:17奏周子はロードムービーなんだけど、同時に、二人のことを誰も知らないような遠い遠い小さな街で決して広くはないけれど居心地と日当たりのいい二人だけの家を見つけて幸福に暮らしていて欲しいと願っています
2017-09-08 01:27:25速水奏「『どんな暗闇の中ででも、あの温かな場所であなたが待っていてくれるなら……私は大丈夫』」 塩見周子「なんや大げさな台詞やなぁ」 速水奏「そういう劇なのよ。ぜんぶが大げさ」 塩見周子「どひゃ~! そりゃ大変そう~」 速水奏「もぅ、周子ったら」 塩見周子「かんにんかんにん~」
2017-09-08 02:04:01桃の缶詰から桃を二つ出して「唇~」ってやる塩見周子と「あら、こっちの方が美味しいわよ」とキスしてくる速水奏と「ほんまやな~」と笑う塩見周子と「でしょ?」と笑う速水奏~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^^
2017-09-08 02:06:49塩見周子と速水奏も車旅、日が沈む前にモーテルへ着く日もあれば、深夜近くに着く日もあって、とにかくシャワーを浴びたらビールを飲んでセックスをして眠ってしまう
2017-09-09 03:38:29時々世界には苦しいのは自分一人しかいないのかと思うのだけれど、そんな孤独はあり得なくて、ただ苦しい人たちが個別に苦しんでいるという事実だけが存在しているのでつらい
2017-09-09 03:48:14