僕らに愛を

はち公。 @funkastic_8er

101 「君と･･･この景色を見てたね」 だけど ごめんね 「君を･･･思い出せないよ」 悔しくて 涙が溢れそうになった 次の瞬間･･･ 〈栞乃！ちょお･･･ こんな所で何してんの！？〉 息を切らした彩香がやって来た 「ごめん、なんか勝手に･･･」 #僕らに愛を

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102 〈それより！ さっきの先生に事情話したら 卒アル見せてくれるって！〉 「ほんと！？」 〈うん！ほら、早く！〉 彩香に促され 職員室に向かう するとさっきの先生が 来客用のテーブルに アルバムを開いてくれた 〈栞乃、何組？〉 「わ、わかんない」 #僕らに愛を

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103 覚えてないから 片っ端からページをチェックする 〈あ！栞乃おった！！〉 彩香が見つけたのは 6年3組のページ 「･･･ほんとや」 懐かしみながら 他のクラスメイトに目をやれば もちろん知ってる子が溢れてて その中に ただ1人･･･ #僕らに愛を

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104 〈え･･･これ･･･〉 見つけた彩香も 驚いて私を見つめた 「うん･･･いたね」 そうとしか 言えなかった 呆然とする 私達をよそに 傍らにいた先生が呟く ［それにしても今日は 高校生の来客が続くなぁ･･･］ ･･･え？ #僕らに愛を

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105 〈私らの前に 誰か来てたんですか？〉 ［あー、はい。 あ、ほら、あの子 今校庭を横切ってる･･･］ 指さした先を確認して 私は反射的に職員室を飛び出した ･･･そうだよ 私、君と会ってる ここで 会ってる 〈栞乃！？走ったらアカンって！！〉 #僕らに愛を

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106 全力疾走で 胸が痛んでも 私は走り続けた 「まって･･･」 外に飛び出せば 視界に その人が映る 「まって」 やっと見つけたんだよ私 君を だから･･･ 「待って！！！」 その声に驚いて その人は立ち止まった （声･･･届いた･･･） #僕らに愛を

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107 安心した瞬間 一気に襲う眩暈 「う･･･」 立ってられなくて 足元から崩れていく 視界は･･･ スローモーション ────声に気づいた君は 振り返って ゆっくり倒れる私に手を伸ばす あの日と 同じように #僕らに愛を

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108 『栞乃！！！』 その声に 思わず顔が綻ぶ そう 君は私を 【吉川】じゃなくて 【栞乃】って 名前で読んでくれてたね もちろん私も 君を苗字でなんか呼んでなかった 「しょう･･･ちゃ･･･」 思い出すの 遅くてごめんね？ 許して？ 章ちゃん #僕らに愛を pic.twitter.com/ASFz3NlqOv

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109 ･･･栞乃？ 俺な ずっと待っててん 君が俺を 【安田君】やなくて 【章ちゃん】って 昔と同じように 呼んでくれる瞬間を もし･･･それが叶ったら この恋は、間違いなく運命で もう二度と 絶対に 君の手を離すもんか そう、思ってた #僕らに愛を pic.twitter.com/THtUCOGduO

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110 目の前でぶっ倒れた栞乃を抱き上げ 保健室にやって来た そこにいた先生は あの頃と同じ人で ［あら、安田君と･･･吉川さん？］ 昔から体が弱くて 保健室によくお世話になってた栞乃と 喧嘩ばっかりでお世話になってた俺を 先生は覚えていた #僕らに愛を

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111 〈栞乃、めっちゃ走ったから 眩暈で倒れたんやと思うんです たまにあるから･･･ せやから 少し休ませて貰えませんか？〉 噂に聞いてた【彩香】は 思ったよりしっかりしていて ［もちろんええよ。 ほら、どうぞ］ 俺はそのまま栞乃を ベッドに下ろした #僕らに愛を

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112 ひと段落すると 彼女が切り出す 〈で･･･安田君 あんた、何もんなん？〉 『いきなりあんたかぃw 後藤 彩香さん？』 〈ええやろ。栞乃から聞いてて 初対面な気ぃ、全然せーへん〉 『確かに』 俺は笑いつつ 隣の空いたベッドに腰掛けた #僕らに愛を

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113 『さて･･･どっから話したらええ？』 〈どっからもなんも･･･最初から〉 『長なるで？』 〈時間ならあるやろ？ この状態やったら･･･ 1時間は起きへんよ〉 その感じに 栞乃と後藤の確かな絆を感じて ちょっと安心した 栞乃、ええ友達出来たんやな #僕らに愛を

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114 『最初からか･･･』 すやすやと眠る栞乃をちらりと見て それから 思い出を辿っていく 『俺と栞乃が出会ったんは 小学6年の春･･･ 俺が転校してきたんが始まりやった』 栞乃･･･ 目が覚めたら 君は思い出してるかな？ 俺達の最初の会話を #僕らに愛を

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115 あの頃･･･ 両親の離婚によって 急に母親の実家に 世話になる事になった俺は この街に越してきた それまで住んでた所に比べて 田舎だし、何もないし クラスの 既に出来上がったグループには 馴染めないし （何もおもんないわ） 俺はやさぐれていた #僕らに愛を

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116 そんな中で 彼女は特別やった 休み時間 みんなが教室を出て遊びに行くのに いつもひとりで 本を読んでる彼女 『吉川さんは･･･行かへんの？』 思い切って声をかけたら ふわっと笑って 「うん。私ついてったら みんなの邪魔になるからw」 #僕らに愛を

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117 『なんで？』 「運動苦手なんよ 息切れもすぐするし･･･」 『そーなんや･･･』 どうりで色白 「安田君は？」 『へ？』 「なんでみんなのとこ行かへんの？」 『なんでって･･･ 俺、嫌われてるもん』 喧嘩っぱやいし 愛想笑い出来へんし #僕らに愛を

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118 「そうなん？」 だけど君は 優しく笑って 「私は嫌いちゃうよ？安田君の事」 ────その言葉に 幼いながら どれだけ救われたことか この いきなり放り込まれた世界の中で 君だけは 俺を認めてくれてる それが すごく嬉しかったんだ #僕らに愛を

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119 吉川 栞乃は ほんとに不思議な子で 体育はいつも見学 か弱くて 守ってあげなきゃいけないような 雰囲気なのに 反面、俺を守ってくれる 強い子やった 『栞乃ちゃん！ 俺な！今日あめちゃん 持ってきてん！』 「ええ！？ 見つかったら怒られるよ！？」 #僕らに愛を

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120 ルール違反をするのを怖がるくせに 「うぅ･･･」 廊下の隅で泣いてて どうしたもんかと思えば 「章ちゃんが悪口言われてる時 何もできへんかったぁぁ･･･」 人一倍、正義感が強くて ･･･そうそう 休み明けの朝 俺の机が落書きされてた時は #僕らに愛を

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121 俺が来る前に 必死に消そうとしてて･･･ 『栞乃･･･もうええってw』 だけど君は ぐちゃぐちゃになって泣きながら 「なんも、ええこと無いよ こんなん、全然良くない」 かわいいキャラもんの消しゴムが 真っ黒になるまで それを消し続けてくれた #僕らに愛を

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122 おかげで 君までクラスからは 孤立してしまったけど 『栞乃！どうした！？ なんかされたんか！？』 「へへ･･･でも大丈夫！」 たぶん 突き飛ばされて転んで 手にはすり傷 それでも君は笑ってて 『章ちゃん！？』 俺がボコボコにされた時は #僕らに愛を

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123 常備してる絆創膏で 手当してくれて 「いたいのいたいの、飛んでけー！」 泣きながら 魔法をかけてくれた ･･･どんなに辛くても 君が居てくれる 「え！？屋上！？」 『せや♡ そこ、秘密基地にしよーや！』 「でも･･･私高いとこ苦手や･･･」 #僕らに愛を

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124 『大丈夫やって！ 俺が手ぇ握っててやるから！』 君だけが 僕の全てだった 『ほら･･･怖ないやろ？』 君と たくさんのものを共有したかった 「ほんとや･･･」 君と 「章ちゃんおったら 怖いもん何もなくなるわ！」 ずっと一緒にいたかった #僕らに愛を

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125 ────だけど、現実は残酷で 〈章大。 小学校終わったら引っ越すよ〉 『･･･は？』 〈この街･･･息苦しいわ だからお母ちゃんと、引っ越そう〉 当たり前に 中学も君と一緒だと思ってたのに 『そんなん･･･嫌や！ 母ちゃん一人でいけや！！！』 #僕らに愛を