妖怪松設定まとめ

兄松編
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兄松分

おそ松

半妖であり、巫女であり、陰陽師の倅であった妖狐

Crux's @whose_novels_

おそ松:紅毛九尾の母と時の帝との間に生まれた半妖。生まれながらにして二股だった。討伐で母を亡くし、陰陽師に拾われ、おそ松と名付けられる。陰陽師の元で式神兼息子として長く暮らしていたが、ある時、正気を失った陰陽師がおそ松を襲う。それを悔やんだ陰陽師はそのまま別れを告げ、東国へ去る。

2016-08-12 17:52:09
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その時に植え付けられた人の恐ろしさと、育ててくれた陰陽師の別れが原因で、暫く都を暴れまわった。その所為で大妖と名を馳せる。四尾の赤狐。暫く暴れまわって都を離れ、各国を放浪する。百数十年後に常陸の百目鬼の噂を聞きつけて常陸に向かったが、既に百目鬼は退治された後だった。

2016-08-12 17:56:26
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百目鬼がかつての陰陽師ではないかと思っていたおそ松は消沈し、馬捨をふらふらしていたところで気のいい烏天狗と出逢う。烏天狗になりたての若い天狗と意気投合し、兄弟の契りを交わして常陸から武蔵へ移住。鎌倉に幕府が置かれてからは城下町で遊んでいた。

2016-08-12 17:58:58
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馴染みの天狗が人に懸想した時は揶揄いに行ったが、天狗の情人が海妖の贄にならんとした時は泡を食って天狗に報せた。海妖を封じる手伝いをし、情人を喪って変わってしまった天狗に人知れず心を砕いていたが、変わった理由を知るだけに止めることはできなかった。

2016-08-12 18:01:51
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それ以来天狗とは疎遠になっていった。江戸の世になってからは、江戸の稲荷社の一つに住まうように。似非陰陽師のイヤミやたぬきのおでん屋のチビ太と仲良くなり、段々と人に情が戻っていく。江戸に入った頃に四尾になり、東国の御狐衆でも一目置かれるようになる。西国では未だに都を荒らした大妖。

2016-08-12 18:04:35
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ふらりと立ち寄った赤塚山で、旧友の様子が気にかかって山の天辺の神社に訪れたところ、あまりの腐臭と呪いと穢れに驚き、また兄弟の祟り神になりかねない雰囲気に恐れを抱いて、一松の相談屋の戸を叩く。

2016-08-12 18:07:04

カラ松

人を愛し、妖を憎むに至った心優しく愚かな大天狗

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カラ松:東国の烏天狗、今は山一つを支配する大天狗の末席に坐す。 元々は捨て子で、里山伏に拾われて育てられた。目が良く、人ならざるものや霊魂を見抜くことが出来、カミサマとして崇められていた。しかし、そのことで増長し天狗道へ堕ちる。養父や村から逃げさった先で雪女の倅と出会う。

2016-08-12 18:10:28
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雪女の倅に妖について教えてもらい、もう二度と人には戻れないと知る。それでも、良いことを重ねれば大天狗になれると聞き、人であった頃よりも山伏としての修行に励むようになる。しかし、増長した心はそのままであり、時に傲慢で自己愛的な天狗となってゆく。暫く後に常陸の馬捨の百目鬼と知り合う。

2016-08-12 18:13:10
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百目鬼に天狗ならば山を持たねばと言われ、ちょうど主を喪っていた赤塚山を住処とするものの、支配はしなかった。百目鬼が秀郷に退治されたと聞き馬捨へ行き、そこで佇む気のいい狐と出逢う。気のいい狐と仲良くなり、兄弟の盃を交わす。 赤塚山の百穴の中に百目鬼がいたことはついぞ知らなかった。

2016-08-12 18:16:07
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暫くは赤塚山の主として何の仕事もせぬまま、前の主の後釜に座り、崇められていた。東国天狗衆の中でも若輩であったが、木っ端天狗ではなく、山持ちの天狗として扱われ始めていた。 そんな頃に、山裾の漁村に住む男と仲良くなった。

2016-08-12 18:18:05
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男は人であった頃のカラ松と同じく、目も鼻も良く、妖や霊魂をよく見通した。その為か、漁村のカミサマのような扱いを受け、村からは少し離れた場所に住んでいた。 カラ松が漁村のカミサマとして扱われる男をよく思わず、幾度も祟りを下していたが、呪い返しなどでそらされてしまっていた。

2016-08-12 18:21:04
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カラ松は山を支配してはいるが山神ではない。それでは直接殺しにいこうと男の家に乗り込んだものの逆にもてなされてしまい、出鼻をくじかれた。まともに人と話したことがほとんどないのだという彼は、妖のカラ松を客人として扱った。 人と馴れ合ったのも久方ぶりなカラ松は、調子良く彼の話を信じる。

2016-08-12 18:23:36
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彼と会い、山に帰り、また会いに行く生活は段々とカラ松を変えた。気安い友人のような関係へとなっていく。物事をきっぱりという男との関係は、増長し傲慢になって天狗道に落ちた性格が段々と和らぎ、人であった頃に持っていた優しさや思いやりを思い出すようになっていった。

2016-08-12 18:25:54
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友人から、情人へと変わったのは漁村に流行った流行病を治してからだった。男は流行病に倒れカラ松は初めて、人に執着した。この事件でカラ松は羽扇を作り出して病を追い払い、木の葉天狗から大天狗に位を上げた。 以来、情人の家に住み込むようになり、暫く幸せな生活を送る。

2016-08-12 18:28:48
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人に懸想しているのかと狐が遊びに来たり、世話になった雪女の倅が冬に遊びに来たりと数年楽しく過ごしていたが、数年後、奇妙な噂が村々に広まった。 男の村が周りの村に呪いをかけているというのだ。数年前の流行病以降、男の村には病はなく、厄災があってもカラ松が追い払っていた。

2016-08-12 18:31:17
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その厄災はどこへ行ったのか? 周りの村に相違なかった。 カラ松は慌てて山に戻り、赤塚山の領地である村々を助けに行った。それもまた、男との暮らしを守るためだ。 しかし、一度膨らんだ疑念はもはや晴れることはない。カラ松が行った病払いも、呪いの事実を隠蔽するためと思い込まれていた。

2016-08-12 18:33:27
Crux's @whose_novels_

周りの村を駆けずり回っていた頃、男の村では最悪な出来事が起こっていた。 村人たちは周りの村の怒りを逸らすためありもせぬ犯人をでっち上げ海妖へ捧げると言い張ったのだ。 その犯人こそがカラ松の情人だった。 それを知った狐は大慌てでカラ松を探したが、カラ松が戻った頃には、船は出ていた。

2016-08-12 18:36:10
Crux's @whose_novels_

村に伝わる海に出てはならぬ夜に、白装束に手足を縛られた情人と村の若衆たち、男の村を恨む他の村の者たちが小舟で沖へと漕ぎ出した。 ――その夜は、普段は海底にいる海妖がうきあがる夜だった。 小舟は次々と海妖に喰われ、人喰いの穢れを溜めた海妖は膨らんでゆく。

2016-08-12 18:39:55
Crux's @whose_novels_

小舟で乗り出した狐でも、羽を持つ天狗でも人を喰った海妖には苦戦する。人の漁火が沖で暴れ、暴れては消え、浜で見守っていた村々の人間はぞっと総毛立った。 白装束の男を抱きかかえて、天狗は空へと登る。荒ぶる波のうねりのように海妖は身を攀じらせ、小舟を飲み込もうとした。

2016-08-12 18:42:55
Crux's @whose_novels_

一度人を喰うた妖を、人を守る妖は許してはおけぬ。カラ松は小舟に情人を下ろし、海妖と争った。日が明らむまで狐と天狗は海妖と争い、最後は狐が海の岩に妖を封じた。 満身創痍で、天狗は息を吐き、情人を載せていた小舟を振り返った。

2016-08-12 18:45:16
Crux's @whose_novels_

――そこに居たのは、白装束を真っ赤に濡らしてぐったりと船縁に凭れかかる情人の姿だった。 海妖こそ神だと、神に捧げると、気の狂った生き残りが、情人を刺したのだ。その生き残りもまた海に落ちて死んでいた。 助からぬ情人を抱いて、カラ松は途方もなく後悔をしていた。 自分がもっと――。

2016-08-12 18:48:17