- MikanPolarin
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「はー、お腹いっぱい」 「俺も。ごちそうさまでした」 食器を片付けて、今日も食後のコーヒーを嗜む。あさなさんも昨日と一緒でミルク(牛乳)。 そのあさなさんは、汚れた服の代わりに貸した俺のYシャツを着ていた。
2016-10-28 23:11:21「時間、まだ大丈夫?」 「今日は1限はないんだ」 「おー、じゃあこのまま君とゆっくりできるんだね」 「うん……」 「あれ? なんかお疲れ?」
2016-10-28 23:11:27「あーいや、ちょっと考えちゃって。こうやって、まとまった暇な時間があるんだったら、バイトしたほうがいいのかなとか」 「バイト?」 「一応、親と大学入ったらバイトするって約束してたんだ。でも、まだやってないんだよ俺」
2016-10-28 23:11:34「なるほどねー。その理由だったら、わたしはしなくてもいいと思うな」 あさなさんの言葉は、俺にとっては少し意外だった。 「でも、やらないと親には悪いっていうか」
2016-10-28 23:11:43「それ。君がバイトをやる理由は親のためでしょ? 自分のためにやるんだったらいいけど、人のためって始めたことは長続きしないよー」 誰のためにやるのか。そんなことは考えたことがなかった。 「自分のため……」
2016-10-28 23:11:50確かに、親に悪いからという理由だけでは、何かあった時にすぐ辞めるかもしれない。 「うん、もうちょっと考えてみる」 「ん。あ、でも……」 「どうかした?」
2016-10-28 23:11:59「どうかした?」 「もしするなら、朝にシフトが入らないバイトがいいな……君にあんまり会えなくなっちゃう」 「…………わかった」 かわいすぎか。彼女の中にある俺という存在の大きさが伝わってきて――こういうと自意識過剰かもしれないけど――素直にその気持ちを嬉しいと思った。
2016-10-28 23:12:05「朝弱いからやるにしても、絶対午後だよな」 「んふふー。それなら安心♪」 あさなさんが腕に抱きついてくる。 「……ねえ、目を閉じて」 「え……うん」 言われた通り、目を閉じる。すると、腕からあさなさんの感触が消えた。
2016-10-28 23:12:12「まだダメだよー」 いったい、何をするんだろう? 「まーだだよー」 声が後ろに移動していく。 「わたし、君に会えて幸せだよ」 耳元で、それはほとんど囁き声で。 「君も、今日1日が幸せなものになりますように……んっ」 頬に何かが優しく触れて、離れる。
2016-10-28 23:12:21「あ、まだ目開けないでね……今、すごい恥ずかしい」 どうやらあさなさんは、お搾りモードの時以外はかなり恥じらいが強いらしい。 「すぅ、はぁ……よし……大丈夫……もういいよ」 目を開けると、あさなさんはまた隣に座っていた。
2016-10-28 23:12:29「まだ顔真っ赤だけど」 「えぇっ!?」 「うそ」 「う~~~っ!? ちょっとー!」 今度こそ、本当に顔を真っ赤にして抗議する彼女を見て、心の底から笑ってしまった。
2016-10-28 23:12:38