始まりの場所

亮ちゃん×パラレルワールド的なお話です。 #妄想なので、ご注意ください
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ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story①】 なんでなん…っ 俺を置いていかんといて…っ 目を覚ませば、また同じ〝時〟に戻ってくる 何度も何度も 始まりは、いつもココ そう、お前が居らんくなる この瞬間に なぜか戻ってくんねん pic.twitter.com/155szEnD3F

2016-10-05 20:36:40
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ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story②】 何度も足を運んで 今ではココに来るんが俺の日常になっとって 『調子どない?』 扉を開けた先には 『ココ来る途中で可愛ええ花あったから買ぉてきた』 俺の大事な人がベッドに横たわっている 『お前の好きそうな匂いやねん…こっち飾っとくな?』

2016-10-07 21:08:11
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story③】 元々身体が弱くて、体調がええ時なんか殆どない それでも普通の人なら見過ごしそうな小さな幸せを見つけては 嬉しそうに柔らかく微笑む奴やった 『あ、』 外を見ると いつの間にか降りだした雨 『誰か、泣いてるみたいや…』 ポツリと呟くと

2016-10-07 21:08:35
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story④】 「亮、ちゃ…?」 か細い声が耳に届いた 『ん、ココ居るよ』 ベッドの横に腰掛け、白く細くなった手を握る 『よぉ寝れた?』 小さく頷くと 「あ…お花…?」 近くに飾った花に気付き 『可愛いやろ?』 嬉しそうに目を細めて眺める

2016-10-07 21:09:46
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑤】 「ありがとう」 それだけで俺も嬉しなる 普通の人みたいに出掛けたりとかは出来んけど お前が居ってくれるなら 笑ってくれるなら もう充分やってん せやけど… そんな願いさえ 呆気なく打ち砕かれた

2016-10-07 21:10:15
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑥】 『はい、もしもし……え、…』 今まではなかった病院からの呼び出し 『はぁ…っ、はぁ…っ』 それは…最期が近いってこと ガラッ…! 真っ白な部屋の、真っ白なベッドの上 色んな管が身体に取り付けられて もうすぐ 会えんくなる所に行くんやって

2016-10-07 21:11:43
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑦】 目から情報として入ってはくるんやけど 気持ちは、そんなん受け入れられんくて 『なんで…っ』 どうしようもない想いばかりが溢れる 「りょ…ちゃ…」 喋るのもやっとの状態で俺の名前を口にし 「なか…ない、で…」 そっと重なる白い手

2016-10-07 21:12:10
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑧】 嘘や…お前が居らんなるやなんて… 『そんなん…ムリや…っ』 まだこんなに温かいねんで? 「…ょ、ぶ…」 小さくなってく声 「りょ…、…じゃ……から…」 聞き取る事さえ出来ない 『聞こえへん…、なんて言うたん…っ?』 「…ら…っ……て…」

2016-10-07 21:12:37
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑨】 ふっと微笑むと一筋の涙が頬を伝い 『返事してや…っ!なぁ…っ!』 不意に握っていた手が だらん…と落ちた 『イヤ、や…っ!』 閉じた瞼が開かれる事は 『俺と居るって…!ずっと一緒やって言うたやん…っ!』 …もうない

2016-10-07 21:12:55
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑩】 『なあ…っ!!』 嗚咽を繰り返しながら、冷たくなっていく身体を抱きしめる 俺1人でどうやって生きてったらええん…? あんなに眩しかった世界が 一瞬で光を無くした …お前が隣に居らん未来なんか…要らん… pic.twitter.com/22HwRcFsmJ

2016-10-07 21:13:14
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ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑪】 気付けば彼女の病室の前 『……え』 壁に掛けられたネームは外されたハズやのに 『…なんで…?』 おそるおそる病室の扉を開けると、そこにはベッドに横たわる彼女の姿 『…っ、』 生きてんのか、死んでんのか分からんくて… そっと頬を撫でた

2016-10-14 21:47:00
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑫】 『…温かい…っ』 生きてる それだけで涙が頬を濡らす 「…亮ちゃん…なんで泣いてるの?」 目を覚ました彼女が心配そうな眼差しを向けたから 『なんでもない…、なんでもないよ…っ』 俺は無理やりにでも笑顔を作った

2016-10-14 21:47:39
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑬】 「変な亮ちゃん」 きっと可笑しかったんちゃうかな でもな? またお前に触る事が出来て また笑った顔が見れて ホンマに嬉しかったんよ もう、ないって…思っとったから 『ホンマやな、変やな俺』 こんな風に笑い合うことなんか、2度とないって

2016-10-14 21:48:07
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑭】 「ねぇ、お花の香り…しない?」 不意に気付いた 『え…?あ、うん…そやねん、お前の好きな香りやと思って持ってきたんやった』 いつの間にか、しっかりと握りしめていた花 これは…前に俺が病室に飾った花や… 「ありがとう」

2016-10-14 21:48:40
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑮】 ふわりと彼女の顔が綻ぶ 『待ってな、花瓶に水入れてくるわ』 病室の扉を後ろ手で閉め、横の壁に持たれかかると 『…うそ、やろ…』 開いた携帯の日付けを見て、ズルズルとその場にへたり込んでしまった 表示されたのは 彼女が死ぬ2日前

2016-10-14 21:49:07
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑯】 俺は確かに彼女の最期を見届けたハズやのに 『ど…なってんの…?』 ワケが分からず呆然としてしまう ただ言える事は… “今”はまだ彼女が生きているということ それだけはハッキリと分かった ・-・-・-

2016-10-14 21:49:27
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑰】 翌日 『気分どぉ?』 再び彼女の病室を訪れた 「なんか今日はすごい調子いいの♪」 『そっか、良かった』 ベッド横にある椅子に座り 『あんな?先生から許可もらってん』 首を傾げた彼女の手を握る 『ちょっとくらいやったら外出してもええって』

2016-10-15 20:49:00
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑱】 大きく目を見開いた後 「本当…っ?」 嬉しそうな笑顔が零れた 『ドコ行きたい?』 「お花…お花が沢山咲いてる所行きたいっ」 『よっしゃ、じゃあ行こっ』 頭では分かってんねんで? ホンマは安静にしといた方がええって

2016-10-15 20:49:14
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑲】 でも…あかんかったやん 我慢いっぱいして 文句も言わんと耐えてきたのに 結局あかんかった 安静にしとっても変わらんのやったら 今まで諦めとった事してさ、楽しいって思ってくれたらええなって思ってん 「うわぁ…っ」 車椅子借りて出掛けた先

2016-10-15 20:49:32
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story⑳】 『ここ、覚えとる?』 「もちろん、忘れるワケないよ」 一面に咲き誇る花に囲まれて ここで…告白した 「あの時の亮ちゃん、ずっとそわそわしてたよね」 『え、ちょ、気づいてたん!?』 「ふふ…っ、可愛いかったよ?」 『~っ//』

2016-10-15 20:51:50
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story 21】 思い出すのも恥ずかしなるくらい、あの時はテンパってたんやもん 「ねぇ亮ちゃん、あそこまで連れてってもらっていい?」 秋桜、ペチュニア、マリーゴールド 秋に咲く花の中でも、彼女が特に好きな花たち 「綺麗…」

2016-10-15 20:52:04
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story 22】 ゆっくり深呼吸して、今の景色を胸に刻む 『うん、綺麗やな…』 このまま時間、止まってくれたらええのに そしたら明日が来ることもないやん なぁ、神様 そこに居るんやったら コイツ助けたって 俺、なんでもするからさ 助けたってよ…っ

2016-10-15 20:52:24
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story 23】 どんなに願っても“時”は虚しく流れていく 「今日はありがとうね、亮ちゃん」 『や、そんなんええねんて。俺が連れてきたかっただけやねんから』 「ううん、すごい嬉しかった」 あっという間に見慣れた病院に帰ってくると 「まだ離れたくないなぁ…」

2016-10-16 20:46:18
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story 24】 ポツリと彼女が呟く 「あ…何言ってるんだろ、私…」 無意識に自分が発した言葉に驚いて 「ごめん、忘れて?」 笑いながら慌てて誤魔化す彼女の頭をやんわりと撫でる 『謝らんでええやん。一緒に居りたい思ってくれたんやろ?』

2016-10-16 20:47:19
ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【RYO story 25】 「だって…亮ちゃんお仕事あるのに、こんなこと…」 もしかしたら ずっと、俺の事気にして言わん様にしてたんかな… 『そんなん気にしとったん?明日は仕事ないねん、俺』 「そうなの?」 寂しくても 辛くても 自分の中に気持ち押し込んで

2016-10-16 20:47:33
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