キミに読む物語〜ラプンツェル（亮ちゃん）

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

26 ｷﾞｼﾘとベッドが音をたてた 『…あなただって、私を自由にしてくれるなんて建前で本当は───っ』 言い終わる前にルカをベッドへ押し倒した 「本当は…なに？｣ 絞りだした声はひどく掠れていた #キミに読む物語 pic.twitter.com/tGXPri5GNS

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27 息をする度にルカの胸が上下する その中を確かめたい欲求に駆られ 制服のボタンに手をかけた ルカは素直に従った ずっと目を瞑り 時々大きく目を見開いた 「…初めてやろ｣ 彼女の足を開かせてそっと触れる 彼女は目を閉じたまま頷いた #キミに読む物語

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28 「ほんまにええんか…？｣ なんて、言いながらも少しずつほぐしていくと、薔薇の花がほころぶように彼女のソコは濡れて開いた 「誰もおらんねんから声我慢せんでええよ…｣ ってそんな余裕もないか 少なくとも俺は家庭教師の先生相手に童貞は捨てた #キミに読む物語

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29 ちょっとお願いしたらすぐやらせてくれた やけど何回かそうしてるうちに親にバレて彼女はやめさせられてもーたん。苦笑 悪いことしたわ。それなりにわかりやすい授業してくれてたんやけど ───できるだけ優しいしたりたいって思う気持ちと 暴走しそうな下半身… #キミに読む物語

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30 宥めつつゆっくりとルカの中に沈むともう何も考えられなくなった ───。 「…先輩大丈夫？｣ コトが終わった後声をかけると彼女はのろのろと起き上がった 『…へーき』 それから脱いだものを身につけて、陰り始めた空を窓から見ていた #キミに読む物語

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31 『私、今日誕生日だったの』 「え、マジ？｣ 『マジ。笑 誕生日の思い出、ひとつできた』 「思い出って…｣ そんなん知ってたらもっと優しくした 『どうせ誰もお祝いしてくれないから』 最初から諦めてるふうな口ぶりで だから 「ちょっと待って｣ #キミに読む物語

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32 確かあるはず 本棚の中を指で辿る 彼女にぴったりな【塔の上のラプンツェル】 母親の趣味の童話名作選 こんなとこで役に立つとは 取り出してルカへ渡した 「おめでとう｣ 『いいの？』 「ん？…ええよ。笑 僕の趣味やないし。読んだことある？』 #キミに読む物語

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33 『うん、小さい頃に…でもこれってハッピーエンドじゃないよね』 「そぉなん？｣ そうやったんや… そんなもんあげたらアカンかな… こんなことなら1回でも読んどくんやった 『大丈夫だよ？ そんな顔しなくても。苦笑 …大切にする』 ……… #キミに読む物語

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34 綺麗な笑い顔はすぐにかげって 寂しそうな微笑に変わった 『帰らなきゃ』 「っ…待って！…あの、｣ このまま帰したらそれで終わりな気がして 「俺っ…僕とっ…付き合ってください！｣ 思わず叫んだ 『………』 「あ…あの…好きです//｣ #キミに読む物語

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35 『………//』 「…ずっと好きでした！//｣ ルカが何も言わへんから バカみたいに何回も 「僕がラプンツェルをハッピーエンドにする！｣ ……// 『っふ。笑…ふふ…w』 なんで笑うん？ そりゃちょっと自分でもどうかって思ったけど #キミに読む物語

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36 『笑…じゃあ、お願いします…』 大きな瞳に涙を溜めて 泣き笑った彼女が今にも崩れ落ちそうで 俺は全力で彼女を抱きしめた… #キミに読む物語 pic.twitter.com/JQPqqvpmZJ

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37 ───翌日 彼女は学校へ来なかった 次の日も その次の日も… 風邪でもひいたんやろか… あの時俺が激しくし過ぎたん？ 俺は呑気にそんな事を考えていた ─── おかしいんちゃう？って思ったのは１週間が経過してから #キミに読む物語

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38 ようやく俺はルカの家を訪ねようと思いたった やって、連絡先も交換してへんかったし 先生も誰も何も教えてくれへんかったから 彼女の自宅はホテルグループに相応しく、高層ビルの最上階のフロアにあった 「高っか…｣ 見上げてその高さに圧倒された #キミに読む物語

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39 1階のインターフォンを押すと暫くして[はい]とやけに冷たい声がした 「あの、、錦戸と言います。ルカさんの学校の…後輩です｣ 彼氏って言えへんかった [お嬢様は誰にもお会いになりません。お帰りください] プツッと通話が切れた はっ！？マジ？ #キミに読む物語

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40 もう1度、今度は何回も押してみる けど…スピーカーからは何の応答もなく… どうなってんねんっ 外へ出て彼女の家を見上げた ……ホンマにラプンツェルになってもうたん…？ ルカが窓辺に佇んでいるような気がして、俺はしばらくそこを動けなかった… #キミに読む物語

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41 「なあ…オヤジ、南川ホテルグループの子供のことなんか知ってる？｣ 家に帰るとその夜 俺は珍しくオヤジに声を掛けた ルカのことを知るにはもうそれしか思いつかへんかった [なんだ急に。そんなことより勉強はしてるのか？] でた いつもの #キミに読む物語

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42 だからいややねん！ 「してるやろ！｣ [成績はあがったのか？] うっせぇな… [人の事を考えてる余裕はないぞ』 「っ…わかってるよ！勉強する、ちゃんと、｣ 半分口からでまかせやったけど、ホンマは話もしたないオヤジに必死に言い募った #キミに読む物語

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43 それぐらい ルカが大切な存在になってたんや… ＊＊＊ ──あれから 俺はなんとか大学へ進学した とにかく必死で勉強した そうしなきゃ彼女を救えないと思ったから オヤジから聞き出した話は自分が思ってたのより残酷で悲しかった #キミに読む物語

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44 高校生の俺には何もできないと うちのめされた ルカが両親を亡くして叔母さん夫婦に引き取られてすぐはそれでも赤ちゃんのルカを大事に育てていたらしい やがて2人に息子が生まれると夫婦は変わった 遺産は欲しい でも息子が可愛い #キミに読む物語

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45 南川は自分の地位を守るために、ルカに必要最低限のものだけを与え学校以外の他との接触も禁じたらしい "身体的な虐待もあったという噂だ"とオヤジは言った あの時 学校を抜け出した日…恐らくルカはそれが義理の両親にバレたんだろう 俺のせいでルカは… #キミに読む物語

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46 学校は外界との唯一の接触の場やったのに、あの日俺がルカを連れ出したばっかりに、救うつもりがかえって悪い結果を産んでもうて やのに俺は、ルカとずっと一緒におれると思って浮かれててん ヒーロー気取りで 彼女を更に高い塔へ追い込んだ事も知らずに #キミに読む物語

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47 ──それっきり 会うこともなく、ルカが留学したと知った やから俺は親父に頼み込んで 親父のツテを使って 彼女に1本のビデオを送った それはディズニーの【塔の上のラプンツェル】 ディズニーのラプンツェルは外の世界へ出て幸せになるんやって #キミに読む物語

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48 "いつか必ずそこから出してやる" そんなメッセージを込めて もちろんルカからは返事はなかったけど俺は信じてる ちゃんと届いてるって #キミに読む物語 pic.twitter.com/TiSsFISp2P

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49 ＊＊＊ [亮あれが南川ホテルチェーンの社長や] 南川のホテルの開業パーティ そこへオヤジと出席した [どこで何をみられてるかわからんからな、ピシッとせえよ] 歩きながらそちらをちらりとみて 「わかってる。…っ！｣ 答えた側から人にぶつかって #キミに読む物語

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50 手の中から滑り落ちた鍵 それは、初めてルカと話した日 彼女が屋上から落として無くしたもの 探して、お守り代わりに持っててん 「あ、すみませ──｣ 拾おうとしゃがむと相手もしゃがみ、きちんと切りそろえられたボブカットが揺れた #キミに読む物語