コバヤシさんの「RTかふぁぼ一つ毎に五冊の漫画か小説を紹介する」レビューまとめ

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コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 69 ドゥームズデイ・ブック(コニー・ウィリス、ハヤカワ文庫SF) ペスト渦巻く中世にタイムスリップした少女が、己の無力と力を逆境の中噛みしめる時間/疫病SFの傑作。シナリオテーマの参考にしてもいいが、物語に込められている意志の力こそ、勇気をくれる

2016-11-08 01:01:10
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 70 ホログラム街の女(F・ポール・ウィルスン、ハヤカワ文庫SF) サイバーパンクが安定期に入った頃合いに生まれた、SFハードボイルドの傑作。鮮烈なアーバンイメージの奔流、泥臭い場所から立ち上がり己を再獲得する男の物語。ハードボイルドの芳香がある。

2016-11-08 01:05:03
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 71 空の境界(奈須きのこ、竹箒) 月姫よりもさらに以前、奈須きのこの作家的原形質が全て宿る、ひどく不格好な青春の小説。『女の子を助けてあげる特権的男の子』という類型から抜け出している、ほぼ唯一の那須作品でもある。式が萌えるんで読むと良いぞ。

2016-11-08 01:09:27
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 72 ディスコ探偵水曜日(毎白王太郎、新潮文庫) 奇想、ここに極まれり。ハードボイルドから始まって宇宙創生を貫通するミステリーであり、一人の少女をめぐる愛の物語でもある不思議な小説。この位頭のハチをぶっ壊して、モノ考えたほうが人には刺さるんだろうな

2016-11-08 01:11:06
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 73 信長、あるいは戴冠せるアンドロギュヌス(宇月原晴明、新潮文庫) 織田信長はローマの暗君ヘリオガバルスの転生であり、男女双相を備えたふたなりだった! 奇想が博学に裏打ちされ、もう一つの真実を語りだす快楽の書物。恐れず欲望のまま、歴史を捻じ曲げろ

2016-11-08 01:13:27
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 74 獣たちの夜(押井守、角川ホラー文庫) 映画版BLOODのノベライズって触れ込みだが、押井のだるーいウンチクがどんこどんこ垂れ流しにされる最強の押井小説。吸血鬼出て来るの、マジちょっとですからね! でも面白いの、すんごく。読んでね。

2016-11-08 01:15:06
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 75 樹海人魚(中村九郎、小学館ガガガ文庫) 可愛い殺人兵器を愛で調教して、思う存分時間を飛び越えていこう! 中村九郎の異次元文体が異能バトルと出会うと、とんでもない化学反応を起こすと教えてくれた異形のラノベ。マジ時系列つながってねぇ。最高。

2016-11-08 01:17:01
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 76 極大射程(スティーブン・ハンター、新潮文庫) 狙撃小説の金字塔、カブトワリならいろはのい、そんな感じのハードボイルド・ガンアクション小説。スワガーのタフでナイーブなキャラがとにかく立っていて、グッと引っ張り込まれる。映画は見るな。

2016-11-08 01:18:18
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 77 マルドゥック・アノニマス(冲方丁、ハヤカワ文庫JA) 悪徳の街を舞台にしたうぶちんサーガ、多分最終章。悪党がのし上がる過程描くのが面白くなりすぎて、善玉全然描かない暴走っぷりがマジで面白い。スクランブルもヴェロシティも傑作なので、未読なら是非

2016-11-08 01:20:21
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 78 フェイト/ゼロ(虚淵玄、タイプムーンブックス) 虚淵玄復帰作となったこの書物を以て、Fateは一ソフトウェアから産業へと、現代の神話へと変質した。そういうメタ読みの楽しさは横において、腕力で引き込む残酷アクションとして見事な物語である。

2016-11-08 01:22:12
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 79 ブラックロッド(古橋秀之、電撃文庫) 古橋の前に古橋無し、古橋の後に古橋無し。あまりに独特すぎる世界観と苦味満載のストーリー展開が魅力な、魔術と科学が生み出した私生児小説。Kもいいけどコッチの系譜もマジ頼んますよ。

2016-11-08 01:24:12
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 80 ダブルブリッド(中村恵里加、電撃文庫) 異形種が差別されつつ人間に交じるようになった近代で、男と女の出会いと離別と死と生を血塗れに描いた痛い小説。ドンドン内破していく凶暴性が誠実すぎて、よく完結したものだと感心すらする。痛みに満ちたラノベ。

2016-11-08 01:26:30
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 81 シガレット・ヴァルキリー(吉川良太郎、徳間デュアル文庫) 卓越した洒脱さと軽やかな筆致で、スタイルのある女殺し屋を華麗に描いたサイバーパンク・アクション。仏文学への作者の傾倒が貫通力となって、作品を高い次元に投げ上げている。

2016-11-08 01:28:17
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 82私は虚無を月に聴く(上遠野浩平、徳間デュアル文庫) 月面に穿たれた美しい夢。機械の神が破綻させる、朧なる聖域。太陽系レベルの超兵器描写もイカすが、上遠野浩平らしい女々しさと凛々しさを備えた心理描写こそが、最大の魅力。

2016-11-08 01:30:00
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 85 東方香霖堂(ZUN、アスキー・メディアワークス) この21世紀に生まれたとは思えない、欲望剥き出しの耽美幻想私小説。作者の欲望が惜しげもなく投影された、美しく儚き幻想。それはポップアイコンと化し、今もなお若者を取り込んで増殖を続ける。

2016-11-08 01:31:32
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 86 機龍警察(月村了衛、ハヤカワ文庫JA) ロボットが組織犯罪の最前線に潜り込んだ時、一体警察組織はいかなる変質を遂げるのか。徹底したリサーチと思索の果に生み出された驚異的なフィクショナル・リアル。あとライザと緑が百合。すげー百合。流石了衛先生。

2016-11-08 01:33:52
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 87 長州シックス 夢をかなえた白熊(荒山徹、講談社) 韓国絡みの国辱時代小説を得意とする作者だが、表題作のジュブナイルな息遣い、ラストの見事な奇想と転倒は、荒山徹がただのネタ作家であることを華麗に否定する。いやまぁ、ネタもすげーんだけどさ。

2016-11-08 01:36:34
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 88 ヒトでなし(京極夏彦、新潮社) 鉄鼠の檻で踏み込みかけた禅宗のエッジに、今再び京極が挑む問題作。人間を超越する覚者の生き様が情け容赦なく加速していくさまは、破滅の美学香新生の快楽か。パワーと勢いのある新作で、目が離せない。

2016-11-08 01:39:37
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 89 不思議の国のアリス(ルイス・キャロル、岩波文庫) すでにポップアイコンと化し、様々なTRPGでオマージュされている本作だが、実際読んでみると相当にとっつきにくい。知的で、皮肉げで、狂的で、邪悪で、凄まじく魅力的な猥雑。読むんだ、原作を。

2016-11-08 01:42:17
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 90 ロリータ(ウラジミール・ナボコフ、新潮文庫) ニンフェットの誘惑により男が破滅する筋書きよりも、小児性愛の代名詞とかした猥褻さよりも、実はロシアとアメリカの文芸が融合した詩的言語の巧みさ、美しさこそがこの小説の本懐であろう。トレーラーでパクれ

2016-11-08 01:43:56
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 91 虐殺器官(伊藤計劃、ハヤカワ文庫JA) 社会性と個人、閉鎖と開放。伊藤計劃デビュー長編たるこの小説は、ゲーム的想像力の実体化という共通点だけではなく、そのテーマ性においてもハーモニーの似姿である。映画楽しみですね。

2016-11-08 01:46:30
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 92 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(村上春樹、新潮文庫) 二つの世界の奇妙な冒険という形式は既にRPG的だが、図式的で乾いたその場所にどのように人間の温もりを足していくか、春樹の細やかな操作にこそ、ゲームでパクるべき技術が満ちている

2016-11-08 01:49:31
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 93 江戸川乱歩傑作選(江戸川乱歩、新潮文庫) 作品を支えるに足るワンアイデアとどう出会い、どう仕上げるか。TRPGのシナリオは一瞬の雷鳴を伽藍に仕上げる過程であり、その一点において乱歩以上の作家はいない。グロテスクと夢想の詰まったおもちゃ箱である

2016-11-08 01:51:50
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 94 三銃士(アレクサンドル・デュマ、岩波文庫) 名作には名作となる理由がある。冒険青春小説の古典たるこの小説、なんで歴史に残っているかというと、とにかくめっぽう面白いから。俗欲も高潔もひっくるめて人生を描く作家の筆、たっぷり体験して欲しい。

2016-11-08 01:54:02
コバヤシ @lastbreath0902

@lastbreath0902 95 十五少年漂流記(ジュール・ヴェルヌ、新潮文庫) マイ・オールタイム・ベスト。危機、協調、奮起、怯懦、生活。物語に必要なものはいつでもここにあるし、そういう一冊が自分の胸の中にあるってことは、結構幸せなことだとも思う。

2016-11-08 01:56:26
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