アスール戦記(VER:Twitter)01
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ぼくは猛火の間隙を縫ってを縫って、急いでその場から立ち去った。 炎の隙間から何かがこちらを覗いている気がしたが、判然としない。 人だろうか。いや、瞳だけでぼくの身長ほどもあった。 ならあれは……なんだ? #アスール戦記_01
2016-11-08 22:46:55無機質な天井と通路をいくつも駆け抜ける。少なくとも、普通の住居ではない。こんな真っ白に塗り潰された場所で、普通の人間が生活を送れるわけがない。 研究所、という言葉が頭に浮かぶ。 やみくもに走り回るぼくは―― #アスール戦記_01
2016-11-08 23:01:44心配そうな目の紅い髪の少年に腕を掴まれ、ぼくは立ち止まる。 先ほど見た炎よりも原色の赤に近い、紅い瞳。 紅い髪の少年はぼくの両肩に手を載せ、その瞳で少年はぼくを見据える。 「どうした、アスール。そっちはもう、カメラが回復している。見つかるぞ」 ぼくは―― #アスール戦記_01
2016-11-08 23:49:23アスール。それがぼくを指していることは間違い。 だが、恐ろしく実感がなかった。まるで聞き覚えがなかったからだ。 呼ばれ慣れていない。どう反応したらいいか、まるで分からない。 ぼくは少年の手をはねのけると、後ろへと後ずさる。 #アスール戦記_01
2016-11-09 00:26:20「アスール……どうした?」 そう言って少年はぼくへと手を伸ばした。 その手にはべっとりと……少年のものではない血がこびりついていた。 刹那、ぼくは赤い髪の少年へと殴り掛かっていた。 #アスール戦記_01
2016-11-09 00:33:42言葉になっていない声をあげる。ぼくは少年への恐怖をそのままに拳を振るった。 しかしその拳は、いとも簡単に少年の手によって受け止められてしまう。 ぼくの拳を手のひらで受け止め、強く握る。彼がしたのはそれだけだった。 #アスール戦記_01
2016-11-09 00:46:35何度振るい払おうとしても、少年の手を振り払うことができない。尋常ではない力。まるで、機械のよう。 諦めてぼくが力を抜くと同時に、彼はぼくの拳を解放した。 その場にだらしくなく座り込むぼくの頬を、彼の手が触れる。 「アスール……本当にどうした」 #アスール戦記_01
2016-11-09 00:51:47ぼくは少年の胸に崩れ落ち、静かに涙を流した。 少年はぼくの背に腕を回し、最初は躊躇っているようだったが、すぐに強く抱きしめてくれた。 1分ほどその状態が続いたあと、彼はゆっくりとぼくの体を引き離した。 #アスール戦記_01
2016-11-09 01:01:44「その名前だけ持って行け。それが、『2月』たるお前の運命ならば」 それだけ告げ、彼はぼくの手を握って移動を始めた。 #アスール戦記_01
2016-11-09 01:02:10