『テヅカ・イズ・デッド』を批判的に乗り越えるために

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uroak_miku @Uroak_Miku

33)仮にこのお芝居を19世紀に行ったら、観客は何も理解できないはずです。特攻隊どころか航空機が発明されていない時代のひとだからしょうがない…と簡単な話ではありません。この二人の役者さんの構図が何を表しているのかさっぱりわからないからです。

2016-11-13 01:57:25
uroak_miku @Uroak_Miku

34)現代の私たちは映画やテレビでこういう構図をたくさん目にしています。 pic.twitter.com/UwrJV4Rf4p

2016-11-13 02:01:24
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36)それで舞台上で大のおとなふたりがこういう珍妙なポーズと構図をしていても「ああ戦闘機の座席だな」と脳内補完しつつドラマに引き込まれていく。 pic.twitter.com/2OQ2Gs6nN2

2016-11-13 02:03:25
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37)まんが表現もこれと同じで、テレビや映画などのほかの映像メディアに加え、詩や朗読劇の様式が私たちの脳内には刷り込まれているので、こういう幽霊の分身の術的な不思議な絵(と文の重なり)を眺めてもそこに時間の経過それにドラマが読み取れてしまうのです。 pic.twitter.com/f4kIuyYC4o

2016-11-13 02:06:14
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uroak_miku @Uroak_Miku

38)『テヅカ~』はここまで踏み込んでいない。そこがとても不満です。

2016-11-13 02:07:28

続きです。

uroak_miku @Uroak_Miku

1)「キャラ」が「キャラクター」にいつのまにかすり替わる…このときまんがはプレモダンを脱してモダンに入った、とこの本は論じています。私はそう理解しましたがあってるでしょうか。

2016-11-13 09:44:22
uroak_miku @Uroak_Miku

2)その画期が手塚治虫の最初期作品『地底国の怪人』だったと論じています。 pic.twitter.com/E5Kut2FE9w

2016-11-13 09:50:00
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3)戦前のまんがが引用されています。象やねずみが二本足で堂々と登場。誰も何の違和も抱かない。こういうのを伊藤は「キャラ」(または「プロトキャラクター」)と分類。 pic.twitter.com/FguPqzgEy8

2016-11-13 09:54:02
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4)ところが『地底国の怪人』では擬人化うさぎ「耳男」(うさぎを生体改造した)がひとびとを慌てさせる。 pic.twitter.com/L19jCFwPIu

2016-11-13 09:56:45
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5)臨終シーン。このとき耳男は「キャラ」から決別して「キャラクター」になった、と伊藤は分析。 pic.twitter.com/zi1heAjaEa

2016-11-13 09:59:09
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6)よく考えたらこの展開はおかしいわけです。うさぎは全身毛だらけなのだから人間に変装なぞ不可能なのだから。それがこのまんがでは帽子をとってかつらをとったらうさぎ男だった!と話が進む。あっけらかんと。それなのに死別の悲しみが生まれてしまう。 pic.twitter.com/JsszESzLpn

2016-11-13 10:05:11
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uroak_miku @Uroak_Miku

7)ぼうしのうえにかつらをかぶって見た目の性別まで変えるという、むちゃくちゃの極みみたいなうさぎさんです。

2016-11-13 10:06:54
uroak_miku @Uroak_Miku

8)宮崎駿が後に喝破した「読者を感動させるための作者の手管」とも解釈できます。最後に読み手を泣かせるために、かつらをとったら帽子があってそれをとったらうさぎの耳が出てきたとステップを踏む。耳男はまず帽子で少年に変身し、その後かつらで少女に変身した物語過程を逆にたどるかのように。

2016-11-13 10:09:23
uroak_miku @Uroak_Miku

9)泣かせのテクニック臭が強い。伊藤はそこをどういうわけかスルーしてキャラ→キャラクターへの変貌を訴えるのですが。

2016-11-13 10:10:47
uroak_miku @Uroak_Miku

10)私はというと、このシーンはやはり可逆→不可逆にキャラクターが「進化」したのだと解したい。

2016-11-13 10:12:05
uroak_miku @Uroak_Miku

11)手塚まんがを貫く「可逆→不可逆」の悲劇性についてはここで論じたとおりです。 ナウシカも引き返した手塚治虫の向こう側 - Togetterまとめ togetter.com/li/1045206 @togetter_jpさんから

2016-11-13 10:13:27
uroak_miku @Uroak_Miku

12) twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-13 10:14:34
uroak_miku @Uroak_Miku

うさぎが手術で人間(と同じ知性と歩行能力をもった生物)になってしまうこと自体、もううさぎに戻ることはないという不可逆性の現れですよね。つまり耳男はこの時からもう悲劇的存在なのです。楽園を永久に追放された者の悲劇。幼年期の終わり。 twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-06 01:45:39
uroak_miku @Uroak_Miku

13) twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-13 10:15:26
uroak_miku @Uroak_Miku

破滅に向かっていく日本。そのなかで十代をすごした手塚。空襲下にも描き続けたという習作のなかにも死の匂いが濃くなっていく。これは後に当時の自分をフィクションも混ぜて振り返った作品。@KaoruKumi pic.twitter.com/iLjdJhmgSC

2016-11-06 01:51:27
uroak_miku @Uroak_Miku

14) twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-13 10:16:04
uroak_miku @Uroak_Miku

宝塚歌劇団の女子学生とさ迷った地獄。この女の子は手塚の妄想ですけどね。@KaoruKumi pic.twitter.com/FbKHflJn9j

2016-11-06 01:55:28
uroak_miku @Uroak_Miku

16) twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-13 10:17:18
uroak_miku @Uroak_Miku

死ぬんですよキャラクターが。これはもう伊藤のいうキャラ/キャラクター論では説明しきれない。私が提唱する可逆/不可逆モデルでないと。血を流して死ぬとはすなわち不可逆な存在であることです。 pic.twitter.com/EAW2L7fEjM

2016-11-06 02:02:38
uroak_miku @Uroak_Miku

17) twitter.com/KaoruKumi/stat…

2016-11-13 10:18:12
uroak_miku @Uroak_Miku

手塚まんががどうして敗戦後の日本の少年少女を虜にしたのかというと、この不可逆性にあります。宮崎駿は後に「ヒューマニズムではなくペシミズム」と喝破した。楽園追放、幼年期の終わり、子どもはいつかおとなにならなければいけないという怖れ、痛み。

2016-11-06 02:05:59
uroak_miku @Uroak_Miku

18)ところでアメリカン・コミックスでも同様の「可逆→不可逆」現象が戦後にあったんじゃないかな、と思います。

2016-11-13 10:19:44
uroak_miku @Uroak_Miku

19)後の機会にまたじっくり論ずるつもりですが、徴兵されて第二次大戦に従事したコミックス・アーティストが何人もいたはずです。名前は忘れたけどノルマンディ上陸作戦に間接的に関わって帰国したひとも。

2016-11-13 10:21:20
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