Another Story はじまり

ばしこし@文垢 @bs_ks_0

「……皆、お前の下で幸せだったと、思うぞ」「ーーーっ…」。力ない瞳で微笑むスオウを前に、イースはグッと唇を噛んだ。そんな訳ない、そんな訳がない。反論はいくらでも浮かんでくる。なのに言葉に出来ない。声に出せない。「…死を覚悟で戦った彼らの意を……汲んでやれ、イース教官」。75

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堰を切ったように、イースは嗚咽した。友の前で見せる、最初で最後の涙。「…泣くなよ、…男、だろ」。からかうように笑うスオウとは対照的に、イースの表情は歪んだまま。「スオウ…スオウ、逝かないでくれ、…」「…おいおい…それは、」。スオウの指が涙を掬う。「…助けた相手に…失礼だぞ」。76

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護りたいと思えるモノをお前は持っていた。生きろ。それが、心開いた友の最期の言葉だった。情景に似合わぬ程、柔らかな表情を浮かべこの世を去ったスオウの前から、しかしイースは動かず。涙はもう流れてはいなかった。「…ああ」。再び言葉を紡いだ彼の瞳から、光は。「生きるよ」。消えていた。77

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友の遺した片腕を、力に変えて。共に歩んだ存在を、消えない懺悔の魂に刻み付けて。最期まで何も護れなかった無力な己を。「…また、違う」。ただ、標的を殺す道具へと成す為に。「瞳失き轟竜は、どこだ」。轟竜の咆哮すら、今の彼には子守唄。銀色の髪は腰まで伸び、煌めきを放っていた。78

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『ーーー髪留め、作りますね！』。昔の記憶が、イースの心を少し抉る。振り返りたくとも、決して許されない暖かい想い出。思い出す度、懺悔の意が胸を刺し、復讐の念が理性を燃やす。そう、生きている意味は。「…スオウ、」。友の名を呼ぶ。もう返ってこない声を。「俺が生きるのは、死ぬ為だ」。79

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Another Story はじまり 終

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もともとイースは「東」の英語「east(イースト)」が語源。スオウさんは「north(ノース)」という北を表す英語をもじりました。ほら、ノース→ノオス→ノォゥス→スオウ(やっつけ)。イースさんのモデルが東に関連する人だったので、周りの人物も方角を名前にしようかなぁと考えた結果。

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イースさんはハンマー使い、スオウさんはヘビィボウガン使い(という設定)。

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ちなみにイースとスオウは共に24歳。スオウの受け持つ4人も、イース班と同じで20歳の男性2名、女性2名。 簡単な紹介は次に。

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ちなみにイース班の4名の名前は、経緯度(Longitude and latitude)からとっている。単語の中の英文字を切り取って貼り合わせたような名前なのでほぼほぼ創作名。

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【イースその1】 178cm/60kg 持ち武器はハンマー。防具は激昂ラージャンの素材を使った”怒天・真”一式。 普段は兜は外しているが、正式な討伐は兜も身につける。 独りで激昂ラージャンを討伐できる程の腕前だが慈悲深いのが玉に瑕。 pic.twitter.com/CdBfJYRcHo

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【イースその2】 これ以上の人がいるのかという程のお人好し。頼み事は断れない性格。だが腰は決して低くなく、ギルドの上司に対しても厳しく言う時はハッキリと物申す。頭の回転が速いため、述べる言葉も上を頷かせる物ゆえ万人から慕われ好かれる存在。心優しく慈愛を忘れぬ狩人らしからぬ狩人。

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【イースその3】 髪は怒天と対照的に煌めく銀色。瞳は透き通った青色。 複数人とパーティを組む狩りでは、比較的周りの動きに合わせてアイテムなどを駆使したり、邪魔にならぬような立ち回りをする、周囲に重きを置く戦闘態勢を主とする。ハンマーを片手でも振るう事ができ、フットワークも速い。

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【訓練生について】 記載忘れしてたようだけど、訓練生は半年間みっちり教官に教わった上で正式なハンターとなります。ちなみに訓練生になる前は門下生として学問で狩りを習う期間が半年。なので正式なハンターになるには合計1年を要する。