【ミリマスSS】アンナの日記#2-2(前編)

今回のまとめ分はまだあんゆり要素ほとんどないのであんゆりを求めてやって来た方は後編までお待ちください……! #2-1→http://togetter.com/li/961280 #2-2後編→http://togetter.com/li/1053837
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創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

ボルドドラゴン達の放った灼熱の炎がGILに直撃する!「ぐああああっ!」炎に包まれたGILが地面に激突!先ほどの『豪磊』で掘り起こされた地盤にめり込む!草木が揺れ、小さな地鳴りが起こった!「お前らここで待ってろ」メンドスさんが満身創痍のGILにつかつかと歩み寄る。 24

2016-06-10 02:26:09
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

メンドスさんの巨大鎖鎌に、上空から飛んできた多量の血が吸い込まれていく。先ほど首を跳ねたボルドドラゴンの血だろうか。「GILとかいったな、お前」「ぐ……」GILは頭をもたげる。「貴様がギルドマスターか」「……違う。俺はメンドスだ」「その名覚えたぞ……許さんぞメンドスッ!」 25

2016-06-10 02:31:06
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

メンドスさんはめんどくさそうにため息をついた。「『弱い犬ほどよく吠える』」GILの顔が紅潮した。「なんだとッ」怒りに拳を震わせている。「そういう言葉もあるって話だ」「貴様……」「終わりにしようぜ」メンドスさんは鎖鎌を構えた。刃が首へ振り落とされる。私は思わず目をそらした。 26

2016-06-10 02:40:14
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

ゴトン。質量を持つ物体が転がる音。血の噴き出す音……。私は、プレイヤーキルをしたことはないけど、こんなにリアルな挙動をするのか。ふとvivid_rabbitの方を見ると、彼女は青ざめた顔で少し震えていた……直視してしまったのだ。GILが殺される、その瞬間を。「終わったぜ」 27

2016-06-10 02:50:31
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「メンドス……この対抗戦はPK方式じゃないぞ」ライアくんがメンドスさんを咎めた。「それがどうしたよ。PK方式じゃなけりゃ、PKしちゃいけないのか」「メンドスくん、うちのギルドは……」ギルドマスターが歩み出る。「うちのギルドは非PKの方針でやってる。あんまり、こういうのは」28

2016-06-10 02:54:20
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「そんなこと言ってられる状況だったか?腑抜けたこと言ってる場合かよ、マスター。真っ先にあいつに殺されるのはあんたなんだぜ。あんたが死ねばギルドフラッグは10分消える。その間に死んだ仲間は……」メンドスさんは親指を首に当て、首を切る仕草をする。「戦線離脱だ。意味、分かるだろ」 29

2016-06-10 02:58:11
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「そんなことより。あいつ、そのうちまた来るぜ」メンドスさんは空を見上げた。「あいつギルマスじゃねぇだろ。また復活してくる。それまでに対策を練ろう」「あ、ああ」ギルドマスターは力弱く頷く。「そうだ……そうだな、ここを、拠点を、守らなきゃいけない。とりあえずは罠の設置だ」 30

2016-06-10 03:05:40
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

ギルドマスターがギルドのみんなに声をかけ、対人用罠の設置に取り掛かった。持ち合わせの罠がなかったので、ありあわせのもので対処するしかなかった。「vivid_rabbit、lilyknight、作戦会議」二人で作業していた私たちにそう声をかけたのは、ライアくんだった。 31

2016-06-10 03:12:20
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

私たちは、ライアくんに連れられ、折れたヒガンヤシのところへ行った。そこには既にギルドマスターとメンドスさんがいた。メンドスさんはヒガンヤシの幹に座り、兜を外していた。「じゃ、僕は点検に戻る」「待ってくれ」来た道を戻ろうとするライアくんをギルドマスターが呼び止めた。 32

2016-06-14 00:08:56
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「ライアくん、今、麻痺弾は持ってるかい」「持ってるけど」ライアくんは眉根を寄せる。「じゃあ、ここにいてくれ」ライアくんは明らかに疑問の色を浮かべたが、ギルドマスターに逆らう意味もないと判断したのか、おとなしく草の上に座り込んだ。「僕は作戦なんて立てられないよ」「いいんだ」 33

2016-06-14 00:14:48
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

私はこほんと控えめに咳払いする。「それで、マスター、作戦案はあるんですか」「ああ、ある」ギルドマスターはナップサックからしわくちゃの羊皮紙を取り出した。手描きの図形や文字が書き込まれている。赤色の「ベースキャンプ」という文字があるので、これはデカレモン水没林の地図だろうか。 34

2016-06-14 00:19:53
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「これはデカレモン水没林のおおまかな地図だ……この前来たときに書いておいたんだ」そう言ってギルドマスターは羊皮紙のシワを伸ばし、私たちに見えるように両手で持って広げた。「現在地がここ。ここから北東に3ブロック先、『ロマヌ湖』がある」ロマヌ湖。以前クエストで行ったことがある。 35

2016-06-14 00:27:56
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

ロマヌ湖は最大水深約5m、底には泥が堆積していて、水は濁っている。水中には獰猛な水生モンスターが多数巣食っている。かなり広い湖であり、地質特性上湖底には多量の養分も堆積しており、そこかしこから長い木が生えている。デカレモン水没林の象徴とも言える場所だ。 36

2016-06-14 00:38:09
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「GIL……彼は恐ろしく厄介な人物だ。あの攻撃性と能力。まともにやり合ったらギルドの勝利はない」ギルドマスターは神妙な顔をしている。「だから、彼を一人だけロマヌ湖におびき出す」「おびき出す?」メンドスさんが鼻で笑った。「どうやって?相手はモンスターの大群を連れて来るんだぜ」 37

2016-06-14 00:45:49
創務丹/蝶乃雨冠(チョウノ ウカンムリ) @chou_tan_

「まさか、モンスターの大群と追いかけっこしろってんじゃないだろうな。相手もそこまでバカじゃないだろ」「うん、そうだと思う」ギルドマスターはうなずいた。「じゃ、じゃあどうするんですか……?」vivid_rabbitがおずおずと尋ねる。私は口を開いた。「追いかけっこできますよ」 38

2016-06-14 00:57:17