シェアハウスエイト【村上編】

ゆずなぎ @yuzukinagi_you

#シェアハウスエイト① 久しぶりのオフ 『あー…そろそろ買い出しに行かなあかんな』 仕事が詰まってた事もあって、ちーの食べるもんとか消耗品が底を尽きかけていた いつもは気付いたメンバーの誰かが買い足してくれてんねんけど、ツアーが決まるとそれも難しなる /村上信五

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#シェアハウスエイト② 『ほな、ちー行ってくんで』 “にゃあ” ちーの頭をわしゃわしゃと撫で、部屋を出た 《ヒナ、出掛けんの？》 リビングに居たヨコが俺に気付く 『ちーの食いもんが無くなりそうやから買うてくるわ』

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#シェアハウスエイト③ 《あー…みんな買いに行けんかったからなぁ。マネージャーには頼まんかったん？》 『…頼んだ事あんねんけど、アイツちょいちょいちゃうやつ買うてきよんねん』 《…そらしゃーないな(笑》 『ほんなら、行ってくるわ』 《おー》 車に乗ってペットショップへ

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#シェアハウスエイト④ 『コレと…コレもやな』 棚に陳列された商品を手に取り 『予備も買うとかなあかんか…』 必要なものを揃えていく 『これぐらいでええやろ』 無事に買い物を終え、帰宅すると 『おっかしいなぁ…アイツどこ行きよった？』

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#シェアハウスエイト⑤ そろそろお腹も減る時間やのに、ちーの姿が見当たらん 『この時間は部屋に居るハズやねんけどな…』 他に行くとこがあるとしたら… (コンコンっ) コイツのとこぐらいしか思い付かん 《はーいっ》 返事と共に開いた扉

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#シェアハウスエイト⑥ 『ヤス、ちょおええか？』 中を覗くと 『なんや、来客中かいな』 «あ、お邪魔してます» 俺らとも共演した事のある、同業者 『おー、久しぶりやな』 ヤスと仲ええのは知っとったけど 《どしたんー？》 連れて来とるって事はそぉいう事なんやろな

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#シェアハウスエイト⑦ 『ちー、こっち来てへんか？』 …何となくやけど 《ちーちゃん？来てへんよ…居らへんの？》 ヤスの雰囲気がいつもとちょっとちゃうのも納得やわ 『見かけたら声掛けてくれ。すまんな、邪魔して』 チラッと彼女に視線を送り、扉を閉めた

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#シェアハウスエイト⑧ 『はぁ、ホンマどこ行ったんや…』 溜め息１つ付いて頭を抱えてると 《ヒナやん。もぉ買いもん終わったん？》 ヨコの声に顔を上げ 『そんなもん、とっくに…って、お前そこ居ったんか』 腕に抱かれとる、ちーに気付いた 《え、なに？俺探してたん？》

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#シェアハウスエイト⑨ 『何でお前探さなあかんねん、ちーを探しとったんや(笑』 《なんや俺ちゃうんか。コイツ、お前の部屋のドアをガリガリしとったから落ち着かそー思て、連れ出した所やってん》 そのまま、ちーをヨコから受け取り 『そぉやったんか、ありがとうな』

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#シェアハウスエイト⑩ ヨコの肩越しに俺を睨むヨコの彼女を一瞥した 『あんま放ったらかしにしとったら…アイツ噛み付いてくるんちゃう？』 あっちに聞こえん様にコソっと呟き 《へ？》 『まぁ、頑張れってことや』 肩をポンッと叩くと部屋に戻った 『ヨコも大変やな…(笑』

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#シェアハウスエイト⑪ “にゃー” 『お前も思たんか(笑』 俺の言葉に頷くかの様に鳴く、ちーの喉元を撫で 『せや、飯の前に風呂行っとこ』 浴室へ向かう 『ほら、怖ないて』 桶に溜めたお湯で手を浸し、ちーの毛を少しずつ濡らしていく

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#シェアハウスエイト⑫ 『こら、ちー！ジッとせぇ！』 シャワーで一気に洗ってしまえたら楽やねんけど、そぉいうワケにもいかん 『ええ加減、慣れてくれよぉっ！』 つい急いてしまう俺の事なんかお構い無しに逃げ回るちーの首根っこを捕まえて

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#シェアハウスエイト⑬ 『分かったか？いくら猫やいうても我慢はせなあかんっ』 子供に言い聞かせる様に話す 『はぁー…、ほら終わったぞ』 タオルを持って身体を拭こうとすると 『うわっ！？お前なぁ…めっちゃ水飛んできたやんけ(笑』 ぶるぶると身体を震わせて水を飛ばしてきた

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#シェアハウスエイト⑭ そっから飯食べて、ちーと遊んで 足元で気持ち良さそうに寝とるちーを見てると …不思議なもんで、アイツに会いたなんねん 『今朝まで一緒やったのにな』 空が白み始めるまで求めあって 腕ん中で眠るアイツを閉じ込めて…

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#シェアハウスエイト⑮ ホンマはずっと一緒に居りたい思てんねん せやけど、お互いに仕事やら付き合いやらで結局、会うのは翌日がオフの日だけにしよかって決めた 『…寂しい思い、させてんのかもしれんな』 １回決めた事は、簡単には覆さんねんけど 『もしもし。お前どこ居んねん？』

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#シェアハウスエイト⑯ アイツの隠しとる寂しそうな顔 「え？家だけど…」 思い出してもたらジッとしてられへんやんか 『ほんなら、そのまま家居ってくれ』 「？うん、分かった…」 上着を引っ掛けて、バタバタと玄関を出る 《あれ？また出掛けんの？》

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#シェアハウスエイト⑰ 『ちょっとな。仕事までには戻るわ』 そうヨコに伝えて、アイツの家へと続く道を行く 見慣れた扉 もうどんだけココに通ったやろ 『スマンな、突然』 「ううん、全然大丈夫。でも、どうしたの？」 『大事な忘れもん、取りに来てん』

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#シェアハウスエイト⑱ 「それって、どんな物？」 『せやなぁ、まぁ物ではないわな』 「物じゃない……？信ちゃん、それだけじゃ分かんないよ？」 不思議そうに首を傾げる彼女 『ちーが遊び疲れて寝てしもたの見てたら…なんや、お前に会いたなってな』

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#シェアハウスエイト⑲ 「え…？だって信ちゃん明日は仕事あるのに…」 『そぉやねんけどな。でも会える時間も少ないし、せっかくのオフやねんからお前とまだ居りたい思て戻ってきてもたわ』 ぐいっと彼女を引き寄せ 『俺の事考えてくれるんは嬉しいけどやな…我慢、せんでええねん』

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#シェアハウスエイト⑳ 柔らかな髪を撫でる 「我慢、なんか…っ」 『帰り際にあんな顔見せられて、バレてへん思たんか？』 「…気付いてたの…っ？」 玄関を出る、ほんの一瞬 俺を見送る笑顔が、いつもより寂しげやった気がした 『当たり前やんけ』

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#シェアハウスエイト 21 「信ちゃんには、敵わないなぁ…」 そう言って笑う彼女の瞳に光るものが浮かぶ 『今度、俺ん家に来ぇへんか？』 親指でそっと雫を拭って 『お前にちゃんと紹介したい奴らが居んねん』 「じゃあ…その時はいっぱいお菓子作ってかなきゃだね」

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#シェアハウスエイト 22 『アイツらも喜ぶわ』 コイツやったら、きっとすぐにアイツらと打ち解けてまうやろな 「信ちゃん」 『なんや？』 「大好き」 『知っとる』 優しく唇にキスを落とした end． pic.twitter.com/3qJbxPY62I

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